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第三章.高潔の条件

21.加護の証

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大勢の視線が向けられる中、マリアナが証を出そうとする。
洗礼式のように天井に紋章が浮かべば、女神様からの恩恵をいただいている証となるが。



「これが真実か」

「そんなはずは!」


もう一度魔力を発動するも、風の魔法は起きるが洗礼式の時のような輝きはない。


「マリアナ、落ち着くのよ…あの時のようにすれば」

「そうだ!」


二人の表情にも焦りが見える中、マルガリーテ様とナウシカ様が顔を顰めた。



「おかしくありません?」

「ええ…彼女、魔力を発動しているのに…どうして風の魔力を感じないのかしら」


さっきから、証を見せる為に魔力を発動しているのに、風の魔力をまったく感じない。

「彼女が女神様からの恩恵を受けているとは最初から信じてませんが、何故魔力が…」

「それに、なんですの?さっきから嫌な音が」


頭の上から歪な音が聞こえた。


その時だった。


「どうして…出てよ!出なさい!!」

マリアナがヒステリックに叫ぶと同時に歪な音がさらに酷くなり、マリアナの周りを覆う黒い風が覆いつくしていた。


その黒い風は建物を支える柱を覆いつくしているようだった。


「風が…暴走してます」

「え?マリア…」

傍にいたマリアが焦ったように告げると同時に黒い風が柱を壊してしまった。


「きゃああああ!!」

「柱が!!」


この建物を支える一番大きな柱が崩れ、会場内で悲鳴が響き渡る。


「父上!」

「なりません、王女殿下!」


アレキサンドロス様が急いで陛下の元に向かおうとされるけど、走っても間に合わない。


「マリア!!」

「はい!」


私達は手を繋ぎ、光の結界を敷いたと同時に床に二つの紋章が浮かび上がる。



私達の結界で柱の被害を食い止める。


柱は倒れてしまったが、被害は最小限に収めることができた。


「なんと…見事な光の結界だ」


陛下は驚きながらも何処か感動したような表情だった。


「これは巫女と聖女の合体技の一つだ。女神から愛された二人の乙女だけができる結界魔法。疑う余地はない…皆、よく見るのだ!これが真実だ」


陛下は貴族達に声高らかに告げた。

「そして、シャリエール令嬢よ。そなたの狂言は証明されたようだが…申し開きはあるのであれば聞いてやろう。申してみよ」

「これは…」

真っ青な表情をするマリアナは言葉が上手く出なかった。
証を出すこともできず、国王のピンチを救ったのは憎いと思ったマリアと、ずっと出来損ないだと蔑んでいた妹なのだから。


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