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第三章.高潔の条件
14.信じたくない現実
しおりを挟む久しぶりのお茶会にて。
私は居心地の悪さを感じていた。
何故か皆、私を見てヒソヒソ話していた。
何なの?
どう考えも憧憬の視線とは真逆だった。
「見て、あの方よ」
「まぁ、婚約者が学園内の施設を爆破した方の婚約者?」
「よく公の場に出られたものね」
クスクス笑う声と嫌でも聞こえてくる話し声。
不愉快でたまらなかった。
「でもお似合いではなくて…シャリエール家は財政が破綻寸前らしく。伯爵様が東の領地を手放したそうよ」
「ええ、何でも、懇意にしていらした子爵家から資金援助を打ち切られたとか…あげく投資に失敗したそうですわ」
えっ…?
お父様が東の領地を手放した?
だって東の領地は我がシャリエール家の誇る一番大きな領地で。
「シャリエールは大貴族と言えど、財源は農作物や海岸沿いで取れる真珠でしたものね…けれど、最近は真珠の品質が良くないとか」
「それで投資を狙ったのでしょうけど…聞けば悪徳商人が詐欺をしているらしいですわ。まぁ父はその手の話には乗りませんでしたが…」
悪徳商人?
そういえばお父様が少し前から投資をしていたと言っていたわ。
でも、そんなはず。
「そういえば今年の流行は毛皮ですって!母が申しておりましたわ」
「数年前までは皮が流行りましたが…毛皮の方が美しいですわ」
「ええ、私も母に毛皮のバッグを買っていだたきましたの!なんでも発案者はオリヴィア様だとか!」
何で…毛皮が流行っている?
数年前までは皮の方が流行っていたのに!
「ベアトリス様が新しく作られた商会で売られているそうですわ。お店の方にも足を運びましたがとっても素敵ですしたわ…試着もさせていただきましたが」
「ええ、着心地も良く素晴らしいようで…ウォルト商会で販売されてるとか」
ベアトリスが立ち上げた商会?
「でも、立ち上げたばかりなのに、ここまで流行るなんて…宣伝にお金をかけたのかしら?」
「それがどうも違うようですわ。ベアトリス様を支援していらっしゃる侯爵夫人が社交界で来て見せたことか…先日の王妃様主催のお茶会で特別に王妃様の為に美しいファーを送られたそうですわ」
「もしや、あのお茶会で身に着けておられた物ですか」
王妃様がに直接送った?
嘘よ…そんなのありえない!
「王妃様は体が冷えるとお困りだったことから、気の利いた贈り物に大変お喜びになったようですわ。その後絹でできたストールをお送りしたとか…なんでもそのストールは透き通るように美しいとか」
「まぁ、一度この目で拝見したいですわ」
「ええ…ですが、そのストールのデザインをなさったのがオリヴィア様とマルガリーテ様だとか」
「社交界一のファッションリーダーと、次期王太子妃様がデザインされたなんて…なんて素敵なのかしら」
何を言っているの…
オリヴィアが次期王太子妃?
そんな馬鹿な話、信じられない!
信じたくない!
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