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第二章.新たな婚約

26.哀れな妹と傲慢な妹

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長女である私を差し置いて魔法省や宮廷師団からも一目置かれるようになったベアトリスは社交界デビューをする前に高位貴族の後ろ盾を得てしまった。


ベアトリスの素行の悪さはその日を境に目立つようになった。
少しちやほやされていい気になるなんて論外だと思ったけど、お父様とお母様がいるところでは令嬢らしく振舞っていた。


「ベアトリス、最近はテーブルマナーが上達したそうで。先日のパーティーでも、侯爵様からお褒めのお言葉をいただきましたわ」

「ああ、感心していたぞ」

「はい、が私の為にレッスンをしてくださったんです」


なんなの?
わざとオリヴィアを強調していた。


「そうなの?」

「いいえ、ベアトリスは覚えが速かっただけです。この子は頭がよく、邸内の本はすべて暗記してしまっていますわ」

「まぁ、マリアナですらできなかったことを!」

余計なことを言うんじゃないわよ。
出来損ないの癖に!


「だけど、あまり学問に夢中になるのはどうなのかしら?」

貴族令嬢の基本は美しくある事よ!
そして殿方に愛されることが最優先なんだから。

学問なんて女のすることじゃないわ。


「貴族の娘が学問などはしたないわ。教養の範囲内に止めなくては…」

「そうね、マリアナの言うことも一理…」

「侯爵夫人は私に沢山勉強なさいといいましたわ。お母様は侯爵夫人の事も否定なさるの?」

「え…」

なっ…!!

この愚妹は何を言っているの!


「これまで女性は学問に精を出していなかったけど、新しい時代を築くには女性も学ばなくてはダメだと言ってました。特に女で爵位を持つならばと」

「「「爵位!」」」


何を言っているの?

女性で継承以外で爵位を与えられるなんて。


「ベアトリス、本当なの?」

「はい!今後の為にもと…士爵を賜ることになりましたわ!」

「おめでとうベアトリス。素晴らしいわ」


呆然とする私は何を言っているのか解らない。
隣で固まっている二人もそうだろう。


「お姉様、私は史上最年少で爵位を得ました。お姉様に楽をさせてあげます。侯爵夫人がもっと功績を上げれば男爵の地位を用意するとおっしゃってくださったんです」

「女男爵なんてすごいわ」

「はい」


私達を無視して、盛り上がる。

何で笑っているのよ?

ベアトリスはオリヴィアを利用して上手くのし上がっているのに。

そんなことも解らない程馬鹿なのかしら。

苛立つと同時に哀れだと思った。
オリヴィアは社交界で殿方にも愛されず、哀れな一生送るのね。


婚約者のブライトン様とも仲が悪いわけじゃないけど、オリヴィアを女性として好いている訳じゃない。


だって美しくなく地味で目立たないオリヴィアを愛する殿方なんていないもの。

可哀そうなオリヴィア。

傲慢で自分勝手なベアトリスに利用されても、気づかない。

馬鹿で愚かでどうしようもないわ。


だから私が助けてあげないと。


ベアトリスから引き離さなくてはと思っていた。

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