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第二章.新たな婚約
24.価値
しおりを挟む私が優れているのだと認められると思っていた。
でも…
「ですが、マリアナ嬢は高位精霊と契約はなさっていませんわよね」
「え?」
「貴族で魔力が使えるのは珍しくありませんわ。高位精霊の加護を持っているならば…」
何よそれ!
私は鑑定で風の魔力を持っているのに!
どうしてよ!
「シャリエール伯爵夫人、あまりそういったことを自慢なさらない方がいいですわ」
「ええ、悪意のある方から攻撃されますわ」
「私は…そんなつもりは」
お母様はバツの悪そうな顔をするも、他の夫人達が冷たい目をする。
そうか…
この人達はお母様が羨ましいのね?
だって、社交界でロマンスになっている我が家だもの。
貴族で恋愛結婚をした両親は有名で、家は裕福で完璧な家族だもの。
自分達が劣っているから。
そうに決まっているわ!
なのに…
「そういえば、今夜もオリヴィア様が参加なさらないのですね」
「えっ…ええ」
「残念ですわ。我が領地ではオリヴィア様は評判ですのよ?幼いのに優秀で、最近は隣国の言葉を流暢にお話になると娘から聞きましたの」
「私は芸術の才能もあると」
何で、オリヴィアがちやほやされるのよ!
あの子は我が家の邪魔者で出来損ないなのに。
魔力もあまりなくて、可哀そうだから仕方なく優しくしてあげているのに!
「オリヴィア様がいらっしゃると思ってましたのに」
「まだ幼いベアトリス様は既に社交界に顔を出しているのに、何故オリヴィア様は未だに顔を出されないのかしら」
「それは…」
何も知らない馬鹿な人達は勝手に勘違いをする。
社交性の欠片もないオリヴィアが社交界に出たら恥をかくのは目に見えている。
「妹は、こういった場所が苦手ですの」
「あら?そうなんですの?」
「お恥ずかしいことに不肖の妹故に…皆様にも無礼があってはなりませんし。昔から外に出るのが得意ではなく、末の妹と一緒に過ごして…」
「まぁ、ではベアトリス様のお世話を!」
「ええ…まぁ」
私の言葉を遮るなんて失礼な人ね。
声を荒げるなんて淑女のすることじゃないわ、やっぱり身分だけの人なのね。
私は冷めた目で見ていた。
でも、この人達は変な勘違いをする。
「シャリエール伯爵夫人、いくら何でもそれはどうなんですか」
「ええ、オリヴィア様にベアトリス様のお世話を押し付けているなんて…これは虐待に近しいですわ」
「社交界での噂は本当だったのですね」
何を言いたいのよ。
それに噂って何?
「どういうことです?」
「社交界で噂になってますわ。貴女が優秀な息女だけを可愛がり、魔力が低いという理由でオリヴィア様を蔑ろにしていると…現に公のパーティーではのけ者ですし」
「誤解です」
「真実は関係ないのですわ。噂とはそういうものです」
ベラベラとしゃべるこの人達は馬鹿なのかしら?
所詮は噂だし、気にする必要はないわ。
大体、あの子が社交界に出た方が我が家の恥なんだから。
領地でお父様の補佐をしている方が役に立つだから。
その方がいいに決まっているわ。
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