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第二章.新たな婚約

16.本性

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もう私は偽りの家族に縛られることはない。

自分でその絆を断ち切ることを選んだ。

「…る…せない」

「マリアナ様?」


私が言いたいことを言った直後の事だった。


「ふざけないで!出来損ないの癖に!私に意見するなんて何様よ!魔力もない親にも愛されないから引き立て役にしてやったのよ…アンタなんて私の妹でなかったら生きる価値もない人形なのよ!」

怒りを吐き出すように叫ぶマリアナに傍にいた令嬢は動けないでいた。

これまで取り繕ったのを自分で壊してしまった。

なんせ社交界の華として尊敬の視線を集めていたけど、本当はヒステリックで自尊心の塊だった。

身分至上主義で、舞踏会等でも自分より身分の低い令嬢に対して親切心を見せながら恥をかかせたりしていた。

時には辺境地の令嬢が王都のお茶会に疎いことをしりながら間違ったことを声高らかに言っていたこともある。


今にして思えば、淑女としてなってない。
私が知る完璧な淑女は常に堂々として毅然としながらも他者を無暗に攻撃することはしなかった。

マナーができてないなら注意こそするけど、嫌味を言わなかった。


そう…


あの方達は本当に立派だった。


「アンタは私の言うとりに動いていればいいのよ!」

「聞き捨てならないな」


「ジルベルト殿下!」


そこに現れたのは息を切らせたジルベルト様だった。


「本性を出したか。今まで取り繕っていたようだが、なんて醜さだ」

「同感ですね。見た目は美しくても、内面の汚らわしさが酷い。これが王子妃になるなんてありえません」

「ええ、気品のかけらもありません。ちゃんとお妃教育を受けたのでしょうか」


ジルベルト様に続き、護衛を務めてくださってる近衛騎士の皆さんが口々に言う。
普段は紳士的で、女性に騎士道を貫いておられる方なのに、手厳しい言葉を投げかけていた。

「なっ…」

「何より私の婚約者を侮辱するとは許せない。何様だ」

「ジルベルト殿下の婚約者!」

「そんな!」


ジルベルト様の発言により、他の令嬢は真っ青になっていく。

「先ほどの証言と行動により、王族に対する暴行、不敬罪、殺人未遂だな」

「何を言っておられるのです。妹が…」

信じられないという顔をするマリアナは今さら取り繕うが遅い。

「無礼者!身分を弁えなさい」

「なっ…サマンサ様!」


「伯爵令嬢の分際で何様ですの?オリヴィアは私の妹、公爵令嬢ですのよ…知っていての狼藉なら許さなくてよ」

「は?」

さらに追い打ちをかけられたマリアナは困惑するも。


「お姉様!!無事!」

「オリヴィア様!お怪我はございませんか!」

「証言は取りましたわ!このクソ女の暴力行為と声も録音しましたわ」

「アナスタシア様、お言葉が汚いですよ」

「そういいながら、ナウシカ様もブツブツ言っていたではありませんか!」


ベアトリスだけでなく皆さんもこの場に集まられた。


これは一体どういうことでしょう。


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