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第二章.新たな婚約
14.失望
しおりを挟む本当は信じたくなかった。
でも、この場にいる時点で解りきっていた。
「お姉様…」
「オリヴィア」
驚いた表情をしていた姉は直ぐに表情を取り繕って微笑んだ。
「良かった。心配していたのよ」
「触らないで!」
私は初めて姉を拒絶した。
「何をなさるんです!」
「そうです。姉君に向かって…」
「何が心配したよ?貴女は私を心配なんてしてないわ…だって私を捨てたんだから」
睨みつける私に姉は言葉を失う。
あの時私に振り替えることなく逃げることだけを考えた。
「あれは仕方なかったのよ…第一、貴女のが」
「私が悪い…自分は悪くない。貴女は何時もそうだわ。自分がいつだって正しくて、少しでも意見をすれば潰そうとする。傲慢な人」
「なっ…」
幼い頃から私を出来の悪い子だと。
しょうがない子だと言っていた。
私が姉の意に添わなければ悪いことだ決めつける。
「オリヴィア…貴女は何時からそんな悪い子になったの!」
「自分の思い通りにならなかったらいけないの?私は操り人形じゃないわ」
「何を言っているの!前まではいい子だったのに」
「いい子だったんじゃないわ。誰も私の話を聞いてくれなかっただけ…お姉様は何時も私のやることを否定してきたんじゃない」
家族の中心は何時も姉だった。
だから私の存在はないに等しかったけど、ベアトリスだけは私の存在を認めてくれた。
「私は確かに、足りない部分もあったかもしれない。でも、お姉様に劣っていたんじゃないと今ならはっきり言えるわ」
「はぁ?」
「魔力はお姉様に敵わないかもしれない。でも、魔力だけが全てじゃないわ…今の私を認めてくれる人がいる。いいえ、ずっと私にはベアトリスが傍にいてくれたわ」
思えばベアトリスはずっと助言してくれたのだと思う。
姉の陰になる必要はない。
引き立て役になるなと。
「私は私よ」
こうなって初めて気づく。
私は不遇処か、恵まれすぎているんじゃないかと。
だって、両親に甘やかされて育った姉は性格が歪んでしまった。
傍にいる友人も本当の意味で姉を思っているのか解らない。
それに比べて私には優しくて美しく強い友人がいる。
私を愛してくれる人がいる。
「これ以上私の大切な友人を傷つけることは許さない…これ以上恥をさらすような真似はなさらないで」
どんな理由があっても他人を傷つけていい理由はない。
そんな資格は誰にもないのだから。
「リヴィア様…」
「ごめんなさいマリア」
私はどう償えばいいのだろうか。
初めてできた友人を傷つけていたのが実の姉だったなんて。
謝って許されることじゃない。
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