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第一章.婚約破棄騒動
15.正義ではなく
しおりを挟む私は正義の味方気取りをするつもりはない。
けれど、平民でありながら必死に頑張っている彼女に対してあんまりだと思った。
「貴女達は恥ずかしくないのですか」
「何ですって?」
「たださえ、不安な思いをしている方をよってたかって苛めて‥私達貴族は特権と共に義務もあります!その力を個人の私欲に使うとはなんと恥ずべきことを」
「はぁ?」
「何よ、出来損ないの癖に!」
私の言葉に苛立つ令嬢達はきっと私だけには説教をされたくないと思ったのだろう。
「否定しませんわ。でも、彼女が学園側が招いた生徒であることをお忘れですか?」
「そんなのズルをしたに違いないわ!だってこの学園に入るのは簡単じゃないんだから」
本当に分かっていないわ。
この学園は完全なる実力主義であることを忘れている。
自分達も苦労して入ったのなら解るはずなのに。
「そうだ、この学園に入るのは簡単じゃない」
「「「ジルベルト殿下!」」」
颯爽と現れた声の主に彼女達は驚く。
そして顔色がかなり悪かった。
「彼女は学園側が招いた生徒であり、特待生だ。彼女の入学を認めたのは学園長に国王陛下だが…我らが率先して不正を働いたと言いたいのですか」
「そっ‥そのような」
「ならば、何故平民と言う理由だけで差別し、心無い言葉を放つのです?確かに平民と貴族では身分の違いはありますが、傷つけていいわけではない。我らは国と国民の為に存在しているのだから」
有無を言わせない威圧感に怯える。
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「だから?」
「えっ‥ですから」
さらにオーラがそこ冷えするようだった。
「確かに彼女は攻撃魔法が使えないが、それ以上宝を持っていると思っています」
「ジルベルト様」
そんな風に言っていただけるなんて思わなかった私は泣きそうになる。
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「そっ…それは」
口調が強くなるジルベルト様に対して令嬢達はカタカタと震える。
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「「「申し訳ありませんでした!」」」
謝ってその場を去っていくのだった。
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