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序章
10勘違い
しおりを挟む怪我に功名と言った所か、図書館事件で私とアンネローゼ様はお友達になった。
「ふぉぉ…美しい」
「お嬢様、口を閉じてくださいませ」
「無理」
私の目の前に女神様がいる
美の女神様だ。
歩き姿に背筋をピンと伸ばして歩くアンネローゼ様は美しい。
「さぁ、レティシア様」
「はい!」
淑女教育がまるでダメダメな私は歩き方から学びなおしだった。
ダァン!
「お嬢様、そんな大股で歩いては」
「ふんっ!」
気合を入れ過ぎて足音が響き、履きなれていない靴で前のめりにこけそうになる。
「わぁぁぁ!」
「レティシア様!」
まずい、ドアノブにぶつかる。
昨日壊して修理してもらったばかりなのに!
「おや?」
「ぶっ!」
しかしドアオブにダイブする事無く扉が開いた事で無事だった。
「ルクシオン様!」
「レティーお前は何をしているんだ」
何故かお父様とルクシオン様が現れる。
「殿下、ごきげんよう」
「ああ、ごきげんよう。今日はマナーレッスンと聞いたのだけど」
「はい!歩く練習です」
「そうか…」
これ以上は聞かなかったが苦笑いをされている。
これが空気を読める男のなせる業か、この若さでなんと気遣いのできる人なおかしら。
「アンネローゼ嬢、君も」
「はい…」
「アンネローゼ様は私の先生ですわ!」
「そのような大それたことは…」
立ち振る舞いの美しいアンネローゼ様に私は無理にお願いした。
当然伯爵家には無理を言って権力を振りかざし無理矢理私の友人にした。
悪役令嬢は常に傍に取り巻きを傍に置いていた。
私も友達がいないから悪役令嬢らしく権力を存分に使った。
当初伯爵夫人は私の傍若無人さに驚いていた。
「良く許して貰えたね」
「いえ…それが」
困った表情をするアンネローゼ様はきっと侯爵令嬢の私に無理強いされ何もいえなくなったのよ。
少し罪悪感はあるけど。
「レティシア、社交界に優秀な令嬢は星の数ほどいるのに何故彼女を?」
「それはアンネローゼ様は社交界の中で一番美しいですわ。どうせなら完璧な美しいお友達…いえ取り巻きを欲するのが当然ではありませんか!社交界で自慢しますわ」
「えっ…美しい」
そうよ、悪役令嬢は傲慢だもの。
美しい友人を自慢してこそなのだから!
「そうか…君はアンネローゼ嬢が気に入ったのか」
「気に入るというのは失礼ですわ。アンネローゼ様は物ではありませんわ」
取り巻きと言ってしまっている私が言うのもなんだけど。
アンネローゼ様は置物ではないのだから。
「アンネローゼ様の美しさはもはや国の武器ですわ」
「そうか…そうだね」
「拳をつきあげるんじゃないレティー」
悪役令嬢の道は厳しいけど、一歩前進だわ。
そんな中、アンネローゼ様を介して私は他にもお友達が増えて行った。
しかしその友人が後から攻略対象の婚約者だったり、ライバルキャラだったと知ったのだった。
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