5 / 12
4魔術書の導き
しおりを挟む風のエルフ族の長老に世界情勢を聞くことになった。
「世界樹の木が枯れ始め、世界にも影響が起き出してから人間達が我らを災いだと言う様になりました」
「人間…」
「特に人に非ざる者を排除する集団、勇者と名乗る者達です」
勇者って救世主じゃないのか?
「勇者一行達は我らのような魔力の強い者を服従し従わせるべく武力行使に出たのです。時の権力者は私利私欲の為に我らを契約で縛ろうとしました」
「契約?」
「人間はわれっろ異なり精霊と契約して魔法が使えるのです。中には精霊と縁を結んだ人間も存在しますが稀です」
ファンタジー系で良く聞くけど、なんていうか。
「人間達は地から欲しさにまず妖精達を捕らえて、精霊を脅迫しました。見せしめに妖精を…」
「もういい」
長老が震えている。
これ以上聞く気にはなれなかった。
「我らエルフは人間に隠れ世界樹の結界の中で暮らしていました…ですが人間は力をつけてエルフを襲いました。中には力の弱いハーフエルフもいたのです」
「間違ってる…」
あいつ等腐ってるじゃねぇか。
第一、自分達の問題を別の世界の人間を呼んで解決させようとした無責任さも許せない。
「最近は人間達が無差別に襲って来ているのです。何でも強力な魔術書を持ち出したとか」
「グリモワール?」
「はい、エルフ達も持っているのですが。その中でも強い魔力を秘めた魔術書を使って人外族を捕らえたり、無理矢理使役しようとしているのです」
「その魔術書はそんなに厄介なのか」
「通常の魔術書ならばさして問題ありません…ですが禁忌の魔術書は世界の秩序を壊し、理を乱します」
「禁忌の魔術書?」
「強大な力と共に破滅を呼ぶのです」
長老が手をかざし見せたのは古びた本だった。
「私の魔術書でございます。今は力を失っておりますが…禁忌の魔術書は悪魔の魔術書です。この世に災いしか生みません」
紙も焼けているけど、とても大切にしているのが解る。
「触っても良いかな」
「はい…ですが」
長老の大切にしている魔術書はどんな歴史を刻んでいたんだろうか。
俺は優しく壊れないようにそっと触れると。
「えっ…」
「これは魔術書!」
真っ白だった俺の魔術書が強い光を放つ。
本が強い光を放ち壁に紋章が浮かぶ。
「これは、魔術書が意思を持っている」
「長老、この紋章は…」
「これは南に位置する海の国、マリンフェリス王国です」
ここに行けば何かわかるのかもしれない。
もしかしたら元の世界に帰る方法も。
彼等の失われた魔法を取り戻す方法が見つかるかもしれない。
5
お気に入りに追加
679
あなたにおすすめの小説
勇者に闇討ちされ婚約者を寝取られた俺がざまあするまで。
飴色玉葱
ファンタジー
王都にて結成された魔王討伐隊はその任を全うした。
隊を率いたのは勇者として名を挙げたキサラギ、英雄として誉れ高いジークバルト、さらにその二人を支えるようにその婚約者や凄腕の魔法使いが名を連ねた。
だがあろうことに勇者キサラギはジークバルトを闇討ちし行方知れずとなってしまう。
そして、恐るものがいなくなった勇者はその本性を現す……。
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
『王家の面汚し』と呼ばれ帝国へ売られた王女ですが、普通に歓迎されました……
Ryo-k
ファンタジー
王宮で開かれた側妃主催のパーティーで婚約破棄を告げられたのは、アシュリー・クローネ第一王女。
優秀と言われているラビニア・クローネ第二王女と常に比較され続け、彼女は貴族たちからは『王家の面汚し』と呼ばれ疎まれていた。
そんな彼女は、帝国との交易の条件として、帝国に送られることになる。
しかしこの時は誰も予想していなかった。
この出来事が、王国の滅亡へのカウントダウンの始まりであることを……
アシュリーが帝国で、秘められていた才能を開花するのを……
※この作品は「小説家になろう」でも掲載しています。
死霊王は異世界を蹂躙する~転移したあと処刑された俺、アンデッドとなり全てに復讐する~
未来人A
ファンタジー
主人公、田宮シンジは妹のアカネ、弟のアオバと共に異世界に転移した。
待っていたのは皇帝の命令で即刻処刑されるという、理不尽な仕打ち。
シンジはアンデッドを自分の配下にし、従わせることの出来る『死霊王』というスキルを死後開花させる。
アンデッドとなったシンジは自分とアカネ、アオバを殺した帝国へ復讐を誓う。
死霊王のスキルを駆使して徐々に配下を増やし、アンデッドの軍団を作り上げていく。
大賢者の遺物を手に入れた俺は、権力者に屈せず好きに生きることに決めた
まるせい
ファンタジー
一年に一度開くダンジョンの入口、そこは犯罪者を処理するための場所だった。
無実の罪で【深淵ダンジョン】へと放り込まれたピートは、ひょんなことから【大賢者の遺物】を発見する。
「大賢者のローブ」「破邪の杖」「亜空間の腕輪」「大賢者のサークレット」
ローブはすべての属性魔法を吸収し魔力に換える
杖は本来の1/10の魔力で10倍の威力の魔法を使える
腕輪は亜空間に繋がっていてアイテムを取り出せる
サークレットは大賢者が使えたすべての魔法を引き出せる
一つだけでも人生を千回遊んで暮らせる神器(アーティファクト)が四つも手に入った。
前人未踏で生還率ゼロの【深淵ダンジョン】。そこからピートの快進撃が始まった。
セルフレイティングは保険も兼ねています。やりすぎない程度に性描写も入れたいと考えてます。
私の代わりが見つかったから契約破棄ですか……その代わりの人……私の勘が正しければ……結界詐欺師ですよ
Ryo-k
ファンタジー
「リリーナ! 貴様との契約を破棄する!」
結界魔術師リリーナにそう仰るのは、ライオネル・ウォルツ侯爵。
「彼女は結界魔術師1級を所持している。だから貴様はもう不要だ」
とシュナ・ファールと名乗る別の女性を部屋に呼んで宣言する。
リリーナは結界魔術師2級を所持している。
ライオネルの言葉が本当なら確かにすごいことだ。
……本当なら……ね。
※完結まで執筆済み
魔心を持つ大賢者の周りの子~一度出直して来いって本気?
3・T・Orion
ファンタジー
魔力吹き荒れ大地揺るがす災禍の後。
世界を動かす大賢者の1人と関わり…憧れ…付いていきたいと願った少年。
世界の進む方向を決めるような土壇場でも、大賢者達の周りで何となく仲間として共にあり…何となく近くで戦ったりもしてきた。
ちゃんと貢献はした気がするけれど…1年後、少年から青年に変化しつつある時に、付き従う大賢者から突然宣告を受ける。
"実家に帰れ" …と。
何となく付き従ってきた大賢者であり国王でもある少年の主からの指示は、自分の意志で進む道を選び決める事だった。
同じ様に進むべき道に悩む少女を伴い…少年自身の出発点となる実家ある樹海への旅立ちを促され "選択" へと導かれる。
だが状況を理解しているのか…してないのか、心配になるような空気読み損ねるお気楽もの…果たして心定め決断することは出来るのか。
※小説家になろうさんに出した魔輝石探索譚のおまけ話 "振り出しに戻って進もう~ミーティとモーイの第一歩" です。長めになってしまったので、切り取って加筆して外伝として立ち上げてみました。
おまけ話の主人公達は、元話の魔輝石探索譚では第2章の途中から出てきます。
此処のおまけ話は此処だけのものです。
外れスキル【建築】持ちの俺は実家を追放される。辺境で家作りをしていただけなのに、魔王城よりもすごい最強の帝国が出来上がってた
つくも
ファンタジー
「闘えもしない外れスキルを授かった貴様など必要ない! 出て行け! グラン!」
剣聖の家系に生まれた少年グランは15歳のスキル継承の儀の際に非戦闘用の外れスキルである【建築】(ビルド)を授かった。
対する義弟は当たりスキルである『剣神』を授かる。
グランは実父に用無しの無能として実家を追放される事になる。辺境に追いやられ、グランはそこで【建築】スキルを利用し、家作りを始める。家作りに没頭するグランは【建築】スキルが外れスキルなどではなく、とんでもない可能性を秘めている事に気づく。
【建築】スキルでどんどん辺境を開拓するグラン。
気づいたら魔王城よりもすごい、世界最強の帝国ができあがる。
そして、グランは家にいたまま、魔王を倒した英雄として、世界中にその名を轟かせる事となる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる