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第一章
3現実
しおりを挟む夢だったのだろうか。
あの日不思議な体験をした俺は浦島太郎になった気分だった。
「うーん、夢かな?」
夢にしては随分とリアルだった。
「おーいデブ!」
「えっ…」
真上から声が聞こえ見上げると水が落ちて来た。
まずいと思った俺は避けようとしたら。
「ぎゃあ!」
離れた場所にいた男子に水を被ってしまった。
一瞬水が俺を避けた?
いやいや、そんなはずはないと思ったが。
「おいデブ!どうしてくれんだよ!」
「ええ!」
何故か被害を受けた人が俺の所為だと言い始めた。
「何だ!なんの騒ぎだ」
「先生!相馬が俺達に水をかけたんです!」
「何だと!お前はどうしてトラブルばかり起こすんだ!卒業前なのに…本当にお前は屑だな」
「違います…俺は」
「言い訳するな!お前の言葉なんて誰も信じるか!」
学校では誰も俺の言葉に耳を貸さない。
誰も信じてくれない。
普段から俺がいじめられているのを見ても先生は見て見ぬふりで、虐められる俺に原因がある。
俺がいじめられるような真似をしているから悪いと責められる。
「いい加減にしてくれ。なんでもお前は迷惑ばかりかけるんだ…卒業したら顔を見せるなよ」
「くくっ…教師にも嫌われていい気味だな」
「お前を庇ってくれる奴なんていねぇよ」
「本当に死ねよデブが!」
耐えるしかない。
でも、中学を卒業しても俺は地元の高校を受ける予定だ。
きっと高校生になっても環境は変わらない。
地元ではそれなりに有名な弟と妹に俺は虐められるのかと思うと…
「少しは弟を見習えばいいものを」
「先生、そんなこと言ったら可哀想ですよ」
「そうそう、弟は優秀なのに、こんなデブと」
痛い…
胸が痛い。
じわりと涙が流れそうになる。
どうして俺は誰に愛されないのだろうか。
お祖父ちゃんだけが俺を愛してくれたけど、もう愛してくれた人はこの世にいない。
悲しい…
そう思った矢先だ。
「うぉ!」
「えっ…」
地面に穴ができる。
先生は落とし穴に落ちてしまう。
「きゃあ!何?」
「糞だわ!」
落とし穴ができたと思ったら次は上から無数の糞が落ちて来た。
主に俺を中傷した生徒限定だけど。
「ちょっと何所から!」
「今度はどんぐりが!」
どうなっているんだ?
俺は周りを見渡すも原因が解らずにいた。
だけどこの不思議な現象はそれ以降続き。
後日、先生の車が落とし穴に落ちて廃車になったのだった。
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