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第四章

16.ハント家の罪~レイモンドside

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毒草を生産している事実を突き止めるも、当初は罪に問うことができなかった。

何故なら毒を薬に使う事は過去にもあったのだ。
毒を以て毒を制す言葉を借りるように僅かな量だけを使う事は多々あった。

だが、明らかに量がおかしい。
父上は、しばらく監視を怠らないように告げた後に、北の領地で大量の流行り病が起きてしまった。

彼は元は独立した国の民で、戦争で負けてしまったことで領地を奪われ北の領地を与えられていた。

未だに確執はあるものの、反旗を翻す意思はなかった。
しかし貴族派はそう考えておらず、以前から感染病に関しては彼等を疑っていた。

もしや病を持ち込んだのは彼等ではないのか。
わざと感染病を広めて、国を混乱させようとしている可能性があるとハント家の親族が言い始めたのだ。

過去にも敗戦国は捕虜を送る最中、わざと感染病を待ち切らすような行為をした前例がある。
始めて感染した場所が北の海岸沿いだった事もあり、信憑性もあるという者も現れたのだが、根も葉もない噂に父上は踊らされることはなかった。


何よりも出来過ぎだ。
これまで感染病にかかった領地が偏っているのだ。

伯爵家は皇族派で、北の領地を統べる辺境伯爵家は皇族寄りの中立派だが、貴族派の貴族とは不仲だった。


特に側妃に対しても良い感情を持ってない。
そこで私は過去の出来事を調べるように命じたが、ジョバンナとガーナの実家。


ステイル伯爵家だった。
彼等は典型的な貴族派でもあり、既に皇族を追い出し貴族が国を支配することを考えていた。

その為にもシンシア皇女を傀儡にして、次期皇太子を自分の息のかかった者を養子として迎えさせるか、シンシア皇女殿下の伴侶を自分の身内の誰かに据え置く事を考えている情報を得た。

だが、今の段階では難しい。
例え、ハント侯爵家の後ろ盾を持っているジョバンナ妃でも皇妃でもないので発言権はそこまでない。

だが…。


もしアリアと婚約し、私に万一の事があれば貴族派はあの馬鹿を次期公爵家の跡継ぎにすべきだと担ぎ上げるつもりだったのだろう。

親族が公爵の爵位があればこれ以上の後ろ盾はない。


あの馬鹿は私が病で死ねば、そっくりそのまま公爵の財産は自分の物になると勘違いしていた。
もし私に何かあってもアリアが継承しても、あの馬鹿が公爵家の事に口出す権利はない事を理解していない。

それ程の馬鹿だったが、ガーナも本当の馬鹿だろうと思った。
ジョバンナ妃はアリアを懐柔させるように命じているだろうが、公爵家を乗っ取ろうとは考えていない。

そんな真似をすれば陛下の不況を買うからだ。

ジョバンナ妃はずる賢く打算的な女だからこそ、自分が不利益になる事はしない。
だが、アリアを利用する為に踏み台にしようとしていたのは事実だ。


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