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第三章

39.両親~シャロンside②

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通常貴族は裁判が終わるまで監禁状態にあるらしい。
けれど、重い罪を犯した時の場合だわ。

私はそこまで重い罪を犯したわけではない。
少し驚かそうとしただけで、大体あそこまで酷くなるとは思わなかったんだから!


なのに何故――。


「お父様、助けてください!」

「無理だ。お前は皇太子妃殿下に手を出したのだぞ」

「事の重大さを理解していないの?すぐに処刑されてもおかしくないのに、公爵家の情けで正式な裁判を行うことが許されたのよ!それを…」


何を言っているのか解らない。
大体皇太子妃って誰よ!


「アドリア―ナ様は皇太子妃となられたのよ。ローレンツ殿下が立太子されたわ」

「聞けばお前はあの方にまで無礼三昧をしたと言うではないか…本当に何処まで周りに迷惑を掛ければ気が済むのだ」


え?
あの女が、皇太子妃?

何を言っているの。

「嘘よ、あの女が…」

「おい、口を慎め」

その時だった。
ドスの効いた声が響き、頭を掴まれる。


「皇太子妃殿下を侮辱する等許されない、罪人の分際で何様だ。誰のおかげで今生きていると思っている、誰のおかげで殺されないでいるか理解していないようだな」


私を監視していた騎士が私の頭を掴み床に叩きつける。


「シャロン、今すぐ手を床につけて許しを請いなさい。そして裁判が行われるまでの間、懺悔をして過ごすのです。貴女はそれだけ罪深い事をしたのですから」

「未来の皇后陛下を暗殺未遂を企てた罪はあまりにも重い…」

「なっ…違うわ!私はそんなつもりは」

私はただ少し嫌がらせをしようとしただけで、少し痛い思いをすればいいと思っただけだわ。

「お前が何処であの結晶を手に入れたか知らないが、あれは法律で禁じられている代物だ。あげく魔物は皇太子妃を狙っていた…お前があの方を殺そうとした事実は変わらない」

「違うわ…私は知らなかった。少し驚かせるだけで…殺す気なんて!」

「黙れ!お前は自分の非を反省することもしないのか!お前はどれだけの人に迷惑をかけたか理解もしないとは」


どうして私を責めようとしかないのよ?
親の癖に!

私を庇う為に抗議しなさいよ!
本当に使えないわね!


「私は悪くないわ…あの女に教えてあげたのよ。身の程のを弁えないのはあの女よ。美貌も、魔力も何もない癖に!」



そうよ私は悪くない。

悪くないんだから。


「もう無駄だ。解っているな」

「はい、お時間を割いでいただきありがとうございます」

「シャロン、せめて反省だけでもしてくれればと思いましたが…無駄のようですね。私は裁判を待たずして貴族籍を返上します。私達は罪人の親として裁判所に立ち会います」

「せめて改心し、心から反省して欲しかったが…お前は既に人でなくなったのだな。人の皮を被った悪魔だ。そしてお前をそんな風に育ててしまった罪から逃れるわけには行かない」

馬鹿な人達。
何を言っているの?

私は裁判で負けたりしないわ。
エイミールやガーナおば様は私を守ってくださる。

こんな役立たずとは違ってね!


私が罪人として罰を受けるなんてありえない。

そう思っていた。


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