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第一章
4父の帰還
しおりを挟む社交界では私とテネオスの関係は良い者ではないと誰もが知っている。
性格にはテネオスは私を毛嫌いしてわざと壁の花にして当てつけのように他の単令嬢と仲睦まじくしているのを見せつけていると思っているが。
私は別に何とも思わない。
ラリシアは妹のような存在で、テネオスは幼馴染だ。
領地が近い事もあり、政略結婚をするにしても幼い頃からの付き合いもあって婚約が纏まった。
お父様はテネオスとの婚約には難色を示していた。
その理由を私は知らなかったのだけど。
数日後、遠征から帰還したお父様に私は報告をした。
「お帰りなさいませ」
「ああ、しばらく留守にして悪かったね」
仕事でありながらもお父様はお土産に白い百合を持ち帰ってくれた。
「リアの好きな花だ」
「ありがとうございます」
「お嬢様、私達からこちらを…」
「私の前で娘に花を差し出すな!今すぐ殺されたいのか」
「申し訳ありません」
第二騎士団の皆さんは私に遠征先で摘んだ花を差し出すも、お父様に睨まれてしまう。
「それで、何かあったのか?」
「お父様」
私に微笑みを向けられるお父様に申し訳ないのだけど、ちゃんと言わないと。
「ご報告がございます」
「何だい?改まって」
「私、この度婚約破棄をされまして」
「え?」
「テネオスが婚約破棄…というか婚約者の入れ替えを望んだので了承しました」
できるだけ笑顔を浮かべて、簡単に話すも。
「そうか」
「お父様」
「解った」
意外と拍子抜けだった。
もしかしたら心労を与えてしまうと思ったし。
もしかしたら、立場を弁えていないとお叱りを受けるかと思ったのだけど。
「お嬢様、後はお任せください」
「そうです!」
「はい?」
お任せくださいって何?
第二騎士団の皆の眼が血の色に染まっていた。
「俺達のお嬢様に恥をかかせるとは」
「血祭りに」
「暗殺、闇討ちのどちらが良いですか」
普段紳士な彼等が恐ろしい事を口にしていて私は固まった。
「皆さん落ち着いてください」
「アンナ!」
やっぱり流石ね!
騒ぎを大きくしないように皆を鎮めようとしてくれているのね!
安堵する私だったが。
「あの馬鹿はお嬢様を愚弄しただけでは飽き足らず、婚約者の入れ替えにラリシア様を選ばれたそうですわ」
「「「「なんだとぉぉぉ!」」」
何故そこでラリシアの名前を出したの?
そしてさっきよりももっと怒っているのは何故なの?
この時私は彼が何故ここまで怒っているのか知らなかった。
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