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75.自滅
しおりを挟む自分で何を言っているのか解っていないイライザは得意げになりる。
「我が侯爵領地は私が領地代行をいたしましたわ」
「ほぉ?イライザ嬢は経営の才能もおありなのですね。もしや外交もされているのでしょうか?詳しくお聞かせください」
「勿論ですわ。我がステンシル侯爵家の特産物は主に女性を美しく見せる香水ですわ。薔薇から採取した素晴らしい出来で…」
「何を言っているのだ?ステンシル侯爵家はラベンダーを使ったアロマではないか?」
「ああ、ステンシル侯爵家の財源は薬草やアロマと言った体に害のないものだったはずだ」
墓穴を掘ったな。
確かに一時期香水の制作をしていたが、匂いがきつく有害な物質が出た事で薔薇を使った香水は禁じられていた。
「薔薇?ブリチア王国では薔薇の香水を売っているのですか…販売停止で有害な毒性があると言われ、法律でも禁じられていたと言うのに」
「えっ…」
「違いますわ。イライザが言いたかったのは薔薇に似た花を」
「どのような花ですか?」
「それは…」
知るはずもない。
商品開発に携わった職人は彼等の勝手で解雇させ、商品だけ奪ったのだから。
「売り出されていた商品は二つ。一つはラベンダーのアロマですわ。癒し効果と安眠効果のある製品です。もう片方は柑橘系の香りがする製品です。主にオレンジ、レモンを使っておりますわ」
「なっ!」
「ただし、この二つの製品が制作された時期は冬、夏にはベルガモットを清算した後に、発注数が多く追いつかなくなりましたので、大量生産しやすいペパーミントに変更しました。元より薬草が育ちやすかったのが理由です」
アイリスが事細かに説明し、何故その製品が作られたかも細かく話した。
「随分お詳しいですね。作り方もご存じとは…まるでご自身でお作りになったかのようだ」
「ここまで詳しく語られるとは…そう言えば帝国で使われる解熱剤も妃殿下が考案なさったと聞いてます。何より花は心が美しものが育てれば美しく咲くとも言われております。お優しい妃殿下が育てたからこそなのでしょうね」
「そんな、大袈裟ですわ」
現在帝国で重宝されている薬草はアイリスが精魂込めて作った物だった。
「やはり、そうか」
「先ほどの話は作り話か」
「妃殿下はお優しい方だからな」
アイリスの評価は他国にも流れている。
だからこそこの場で彼等はアイリスの潔白を証明するようなインタビューをしたのだろう。
そして流れはこちら側になった。
さっきまで作り話をして、アイリスの悪女説を流そうとしたイライザに冷たい視線が向けられた。
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