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53.証拠の手紙~ルカーシュside

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明日は同盟を祝う宴が催され、多くの貴族が王宮に参加する。

高位貴族は勿論、王侯貴族派は揃って参加するだろう。


敵対する貴族派にとっては、アイリスの存在は番狂わせも良い所だった。


現在の貴族は勢力が弱まり、後ろ盾がない状態だ。


アイリスを攻撃することは自分の首を絞めると解っているのにも拘らず、公でアイリスを攻撃した情報を得た。

恐らく依然と同じように傀儡だと思ったのだが甘かったようだ。


視察に来た当日、クレイル殿下とエラノーラ妃に挨拶した後に大臣がけしかけたが、自分の立場を悪くした大臣は今頃焦っているだろう。


だが、今になってステンシル侯爵家が馬鹿な噂を流し始めた。


というか、正気の沙汰ではないな。


「ルカーシュ様、ステンシル侯爵家よりまだ手紙が来ております」

「こちらに」


しばらく大人しくしていたはずのステンシル侯爵が、手紙をよこして来た。

なんでもアイリスを勘当を解くとのことだ。
我が家との関係も見直し許す等という上から目線の言葉に呆れた。


怒りを通り越してだ。
普通ならば許しを請わなくてはならないと言うのに。


「証拠品として保管しろ」

「かしこまりました」


実は以前も、彼等がユーリをステンシル侯爵家に留めるべく卑怯な手を使った証拠書類は保管してあった。

手紙や、アイリスに対する暴言の数々。


「ウィンディア辺境伯爵を何処までも侮辱すればいいんだ」


この手紙も燃やしてやりたいが一族の紋章が描かれた封筒。
そして直筆であれば奴等を追い詰める証拠品となるので処分は出来なかった。


本人は娘に情けをかけた心優しい父親だと言いたげだが、実際はアイリスがこれまで落としくしていた事を良い事にやりたい放題だ。


「アイリスは抵抗すらできずにいただけだ…何を思って優しく聞き訳が良いと思ったのか。少しでも反論すれば悪い子供になるのか?子供は親の言いなりになる道具じゃないんだぞ」

「そんな真面な言葉が通じるならばアイリス様は親と縁を断つような真似は致しませんよ」


「むっ…そうだな」

家令に言われて納得する。

だが、自分から墓穴を掘り、破滅してくれるのは助かる。


「母上も領地からいらっしゃるはずだったな」

「はい、少し同情しますね」

「自業自得だ」

我がウィンディア家を侮辱し、アイリスを虐待し続けた事を後悔すればいい。

当日に素敵なサプライズを用意してあるのだからな!
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