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第七章.黄金の秘宝

12.退場

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これは、偶然じゃない。
タイミングよくあらわれる時点で気づいた。


今までも似たようなことがあったので俺は理解した。


「誠に残念ですわね」

「ええ…」

上皇后陛下と皇帝陛下の威厳は恐ろしかった。
いくら貴族派でも、権力をほとんど失っている状態で太刀打ちできるはずがない。


「エリオル様、私は貴方様には多くの可能性を感じておりますの」

「可能性…ですか?」

「ええ」

どういうことだろうか?


「貴方様にはカリスマ性だけでなく他者を惹きつける天性の才能が有りますわ。名君と呼ばれる皆様が共通するのは血筋でも武力でも財力でもありません」


「多くの者の心を掴むことだ」

「私が…ですか?」


俺にはカリスマ性なんてない。
卑下しているわけではなく、本心から思っている。

「お恥ずかしいことですが、私はこれまで支えられ、守られ生きてまいりました。これからも多くの方々に教えを請うわなくてはならないような人間です」

「何か問題がありまして?」

「え…」

情けない俺を上皇后陛下は何がおかしいのかと尋ねる。

「思いあがってはなりませんわ。王は神の代理人でありますが、神になることはできぬのです」

「多くの権力を持っていようと、一人では何もできない、非力な存在だ」


二人の言葉には重みがあって説得力を感じた。

「なれど、臣下と共に苦悩しながらも前を見て走り続けなくてはなりません。彼らがついてこれるように」

「私は着いて来てほしいのではありません。願わくば一緒に歩いてほしいと思っています」

「それが、エリオル様の望む王なのですね」

「はい…」


まだ想像はつかないし、実感なてない。


でも願わくば、一緒に歩いていけることを願いたい。


「中々面白い王になりますな」

「ええ…素敵ですわ。私は支持いたしますわ」


大帝国を背負う二人からの言葉に周りはざわめく。


そして…


「して、皆様などうお考えですの?まさか、この後に及んで何かおありですか?」

「私達は…」

「その…」

微笑みを浮かべながら脅しているように見えるのは気の所為じゃないだろう。


「しっ、失礼します」

「ええ…」


罰が悪そうな表情をしながら颯爽と去っていく。


「フッ、雑魚が」

「ちょろい」


上皇后陛下と皇帝陛下の目が…


「まるでゴミを見るような目ですわ」

「ああ、相変わらず恐ろしい方達だ」

レイラとハルはげっそりした表情で言い放つ。


もしやこの二人に叩き潰された貴族は少なくないのか?


「エリオル様、今後はあんな下っ端も増えてきますが、毅然としなさってくださいな」

「そうだ。王であるならば、あんな虫以下の存在に耳を傾けてはならん」


ああ…

俺はなんて恐ろしい方に支持していただいたのだろうか。


今さらになって恐ろしくなった。

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