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第五章.栄光と堕落は紙一重
3.師匠と腐れ縁
しおりを挟むリンリー様のおかげで交流会を楽しむことが出来た。
交流会に参加する人達は身分がバラバラだった。
貴族だけではなく、本当の意味で優秀な人ばかりだった。
特に、王立研究員の人達は気さくな人が多かった。
「君か、最年少で花を賜ったのは」
「エリオル・ベルクハイツと申します」
「私はハイネ・シュールだ」
リンリー様をエスコートしながら、他の人達と交流する中、真っ先に声をかけてくれた人は、王立研究所の所長でもある人物だった。
「お会いできて光栄にございます。まだまだ若輩者でありますが、皆様に恥じぬように精進したく思います」
「…君は本当にあのクソ婆の弟子か?」
「は?」
何故か俺を見て、哀れむ様な表情で肩をポンと叩かれる。
「噂には聞いていた。君は幼少期からあの山姥に弟子入りして苦労させられておると聞くではないか!悪いことは言わん…すぐに私の弟子になりなさい。こんなに優秀なのに…哀れだ」
「はい?」
噂ってなんだ!
噂って!
「おいおい、ハイネ」
「そんな言い方では、キッドがビックリするだろうが?」
「そうだぞ、お前が魔女の婆と天敵なのは知っているが」
魔女の婆?
もしかして――。
「この狸爺!余計なことを言うんじゃないよ!」
「出たか、山姥!」
「誰がじゃ、淑女に対しての接し方が理解できていないようじゃな」
「この世のすべての女性に詫びろ。貴様なんぞ、山姥か鬼婆で十分だ!」
この二人は知り合いだったのか。
「エリオル殿、こんなクソ婆と付き合ってはならなん!」
「馬鹿を言うな、私が扱いたからこそ、優秀なんじゃ」
「エリオル殿は、ヴィオレッタ殿の教育が良かったからだろうが!」
しかも、このやり取りは何処かで見たことがある。
「ちょっと、こんな所で喧嘩なんてしないでよ」
「アンジェリカ姐さん!」
師匠がいるならば、まさかとは思ったけど。
アンジェリカ姐さんは一流の調合師で、美の専門家だ。
呼ばれていても不思議でもない。
「うふふ、久しぶりね」
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