聖女な義妹に恋する婚約者の為に身を引いたら大賢者の花嫁になりました。今更婚約破棄を破棄にはできません!

ユウ

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第二章

32招待状

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背後で侍女が怒る狂っている。
だけど、彼女を怒らせるためにわざわざ訪ねたなんて思わない。


(嫌がらせの為だけとは考えにくいわ)


一体何を考えているのか。
バーバラの命令で何かを仕掛けようとしているのかと注意するも。


「あいにく私は主の命令で参りましたの」

「どういう用件かお教えくださいますか」


お願いだから用事があるならとっとと済ませて欲しいと思ったのだ。


「こちらを」

「これは」

渡されたのは封筒だった。


「本日行われるお茶会の招待状ですわ」


「私に?」

「名前を書いていますでしょう。まさか文字が読めないなんて」

「いい加減にしなさいよ!」


どうしてこうも次から次へと嫌味が思いつくのか。
ソフィアは精神的に疲れて切っていたが、ここで感情的になってはだめだと言い聞かせる。


「本来ならば王女殿下にご参加していただきたいのですが、代わりにご参加ください」


既に決定事項だ。


「上流階級のお茶会ですから、ご無理をなさらなくても結構ですわ」

「いいえ、ありがたく頂戴します」


ここで断れば後からあることない事言われるは確実だ。
かといってお茶会で何か仕掛けてくるのは確実なのだけど。

「いきなりだなんて無礼ね」

「ああ、そうれから身分の低い侍女はご参加できませんのであしからず」

「「「は?」」」


要するに敵の中に一人放り出されると言った所だわ。
ニヤリと笑う口元にいら立ちを感じるが、断るわけにはいかない。


「バーバラ様にお伝えください。ご参加させていただくと」

「参加されると?」

「あら?そちらが招待状を差し出してきたのに来るなと?おかしな方」

「なっ!」

やられっぱなしではいられないソフィアは最後に仕返しをした。



――なのだが。


「絶対反対です」

「そうですわ!危険すぎます」


お茶会開始三十分前。
未だに二人の侍女は猛反対をしていたのだ。


「この期に及んでまだいいますか」

「ですが、絶対罠ですわ!」

もう参加を決めたのだから今更なのだけど最後まで反対する二人の侍女はとんでもない事を言い放つ。


「こうなったら替え玉を…私が変装します!」

「私も!」


普段は冷静で優秀な侍女なのだが時々暴走するのだ。
その暴走の理由が自分だというのだから怒るに怒れないのだ。


「二人共、気持ちだけ受け取っておくわ」

「ソフィア様…」

「でも!」


二人の手を握りソフィアは優しく微笑む。
祖国にいた時は孤独な戦いをしていたけれど今は違う。

戦うべき時に戦わなくてはいけない。

そう思ったのだ。


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