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第二章
29仕掛け
しおりを挟む先日の嫌がらせはクレミア公爵家で雇われていた侍女だったが、その主人は罪を求めなかった。
証拠は出たのだが侍女の独断ということでクレミア公爵家は大した痛手を受けることなく侍女を処分しただけで済んだのだが、指示したのは誰か等明らかだった。
侍女の処分と同時に、不愉快な噂を流れたのだ。
「これまで真面目に勤めてくれた侍女がソフィア姫に嫌がらせをするなんてありえない」
「今までなかったのに」
「ソフィア姫に何かされたのでは」
「王家の為にしたのでは」
根も葉もないうわさが流れたのだ。
当初は気にも留めなかったのが、その数日後王宮で瞬く間に広まったもう一つの噂は。
「ソフィア様が公爵令嬢の侍女を欲しいがためにわざとしたのでは?」
「嫌がらせをした侍女に情けをかけたのは裏がある」
等と、ありえない噂まで流れたのだ。
その理由は、散々嫌がらせをした侍女に情けをかけ、謹慎の後に新しい食い扶持を与えたことだ。
その特別待遇がおかしいと思った事。
そして何より今まで大人しかった侍女がここまで大胆な行動をすることがおかしいと判断したのだ。
噂に脅される貴族は即座にソフィアに疑いを持ったのだが…
「まぁ、本当に皆さん暇人です事」
「笑っている場合か!」
テーブルを叩き、怒りを露わにするエリオル。
爽やかな朝が台無しだった。
「エリオル、朝から騒々しいわよ」
「ソフィア!何でそんなのんびりしているんだ」
「ハッ、大賢者とあろうものが情けないな。ソフィア、新作のキャラメルポテトは絶品だ。このレシピを譲ってくれ」
「まぁお義姉様。レシピと言う程のものではありませんわ」
「本当に美味い。じゃがいもは犬も食わぬ食材と言われていたのに」
何故か朝食にローゼマリーが一緒に食事をしていた。
「何度も言うがな!乱入はするな!王女が窓から侵入するんじゃない」
「硬い事を言うな。これでも気を使っているだろう」
「何所がだ。食事時を狙ってきているだろうが」
「夜は来ていない」
「姫様!」
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「そんなに喜ぶな」
「何所がだ!喜ぶわけないだろ!」
むしろその逆なのだがポジティブすぎる王女に行っても無理な話なのだが。
「まぁ、お前の言うことはもっともだ…私も布石は投じている」
「だったらいいが」
のんびり朝食を取りながらも目ざといローズマリーだったがその数時間後、事件は起きてしまうのだった。
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