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第二章
20薔薇園
しおりを挟む「馬鹿だろ」
穏やかな昼下がり。
王宮近くにある、薔薇園にてお茶会が催されていた。
とは言ってもいつものメンバーなのだが。
「身から出た錆か」
「まぁな」
美しい薔薇に囲まれながらローゼマリーはお茶を飲みながら最近騒ぎになっている噂を集めながら今後の対策をするべくエリオル達を無理やり呼びつけたのだ。
「父上は来月の集まりで公爵夫人に注意をするそうだ。まぁ、反省などしないだろうがな」
「ある意味すげぇよ。あのケバケバ夫人」
ルクスもいい思い出がない。
社交界で何度も嫌味を言われた記憶があるのに、いざ自分達が英雄ともてはやされるようになったらころっと態度を変えたのだから。
これまで散々侮辱的な事を言った事は忘れない。
「現在公爵家ではバーバラ嬢の暴行により侍女が次々と辞めているらしい…馬鹿だろ」
「前々から使用人への扱いは最悪だったからな」
「使用人と言っても貴族令嬢もいたでしょうに」
「ソフィア、あれはお前と違う人種の生き物だ。いや、人間とは認めたくないな」
普段は他人の事を悪く言わないローゼマリーだが、バーバラに関しては別だった。
「私は貴族や王族は民を守るモノだと教育を受けて来た」
「はい」
「だがあの女は、地位をちらつかせ欲しいと思えば使用人の婚約者も奪い、飽きたらポイだ」
「そんな…」
「私はああいう人種が大嫌いだ」
常日頃から強く気高い女性であること心掛けるローゼマリーは、自国を女性にも生きやすい国にするべく奔走しているが、未だにバーバラのような典型的な貴族令嬢がいることを嘆かわしく思っているのだった。
「元から辺境貴族からは敵視されていたからな」
「ああ…だが、あの女が暴走すればするほど、自分の首を絞めてくれるだろう」
そうなればソフィアの立場を良くすることができるが、憎悪の対象がソフィアなので対策をしなくてはならない。
「今度の舞踏会に何か仕掛けてこなければいいが」
「不参加というわけにはいかん。当日は私もずっとそばにいれないが…」
「私の事はどうか、お気になさらないでください」
ソフィアも第二王女という肩書を貰った以上は責任が発生する。
ある程度、自分の身の振り方を考えなくてはならないことを十分に理解していたが、そこでねっくになるのは当日にバーバラがしかけてこないかだった。
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