上 下
20 / 117
第一章

19許されない行為

しおりを挟む




フリーレン王国の第一継承者として物心つく前から美しくも凛々しい王女であることを強要されてきた。

ロゼ―マリー自身も王女であることを誇りに持ち、世の男尊女卑を変えるべく努力して来た。

その努力が別の方向に進んでしまった。
凛々しい王女になるべく努力した後に男装の麗人とまで呼ばれるようになった。


女性を粗末に扱い道具のように扱う社会を許せなかった。
フリーレン王国の王配である父は控えめで物腰柔らかく優しい人柄だった。

女性を大切にできない男は人として失格だと教えていた。
妻を守れてこそ夫は一人前というほどレディーファーストなのだ。

王家の婚姻は政略結婚が主流であるが二人は恋愛結婚でもある。
娘の教育に関しては少しばかり個性的であったが、愛のある結婚をして愛のある家庭だった。

それ故に、他国の常識。
特に男ばかり優遇される法律に納得できまかった。

特にアルフェッカ王国の法律はローゼマリーにとって受け入れがたいものだ。


「何故男が守られるんだ…この国に限らず」

「言うな」

「浮気をしても責められるのは被害者である女性だと?普通に考えてもおかしいではないか。言わせてもらうが、メティス王女のやり方は甘すぎる」

「いや…甘くないだろ」

「黙れルクス。社会抹殺なんて生ぬるいわ!あの屑男を生き地獄にしてやらねば気が済まん。私の天使にこのような」

「何時からお前のものになったんだ」


エリオルはげんなりした表情する。
思い込んだら一直線の性格なのは今に始まった事ではない。

かといって周りの声に耳を傾けられないような愚かではない。



「エリオル、ソフィアの受けた屈辱は相当なものだ。我が国ならば針地獄だ」

「例えが飛び過ぎだ」

「平民、下級貴族ならそこまで重くならないだろう。だがな、国に貢献する貴族令嬢ならば別だ」


何所の国でも共通するのは子爵家以下は平民と似たような裁きを与えられる。
婚約騒動もそこまで大事にならないが、国に貢献する伯爵以上の立場にあれば別だった。

特にソフィアは聖女の世話係役に、王家に献上する果物やお菓子に酒なども任されている。


お茶会は王女にとっては政治の場だった。


ソフィアの役目はそれ程重く、重宝されてしかるべきだ。

「この度の同盟の際に我が国は資金援助軍事力の見返りが彼女の作った特産物や付与魔法の装飾品だ…その意味解るだろ?」

「ああ」


今回の同盟の利益を生んだのはソフィアだ。
その本人を侮辱する行為は許されないのだが、ローゼマリーは個人的にもヘリオスに嫌悪感を抱いていたのだ。


自分よりも弱い立場の人間を虐げる行為だ。
根が真面目なローゼマリーは幼いころから守り続けている言葉がある。



――義務と責任ノブレス・オブリージュだった。


しおりを挟む
感想 130

あなたにおすすめの小説

前世軍医だった傷物令嬢は、幸せな花嫁を夢見る

花雨宮琵
恋愛
侯爵令嬢のローズは、10歳のある日、背中に刀傷を負い生死の境をさまよう。 その時に見た夢で、軍医として生き、結婚式の直前に婚約者を亡くした前世が蘇る。 何とか一命を取り留めたものの、ローズの背中には大きな傷が残った。 “傷物令嬢”として揶揄される中、ローズは早々に貴族女性として生きることを諦め、隣国の帝国医学校へ入学する。 背中の傷を理由に六回も婚約を破棄されるも、18歳で隣国の医師資格を取得。自立しようとした矢先に王命による7回目の婚約が結ばれ、帰国を余儀なくされる。 7人目となる婚約者は、弱冠25歳で東の将軍となった、ヴァンドゥール公爵家次男のフェルディナンだった。 長年行方不明の想い人がいるフェルディナンと、義務ではなく愛ある結婚を夢見るローズ。そんな二人は、期間限定の条件付き婚約関係を結ぶことに同意する。 守られるだけの存在でいたくない! と思うローズは、一人の医師として自立し、同時に、今世こそは愛する人と結ばれて幸せな家庭を築きたいと願うのであったが――。 この小説は、人生の理不尽さ・不条理さに傷つき悩みながらも、幸せを求めて奮闘する女性の物語です。 ※この作品は2年前に掲載していたものを大幅に改稿したものです。 (C)Elegance 2025 All Rights Reserved.無断転載・無断翻訳を固く禁じます。

私との婚約は、選択ミスだったらしい

柚木ゆず
恋愛
 ※5月23日、ケヴィン編が完結いたしました。明日よりリナス編(第2のざまぁ)が始まり、そちらが完結後、エマとルシアンのお話を投稿させていただきます。  幼馴染のリナスが誰よりも愛しくなった――。リナスと結婚したいから別れてくれ――。  ランドル侯爵家のケヴィン様と婚約をしてから、僅か1週間後の事。彼が突然やってきてそう言い出し、私は呆れ果てて即婚約を解消した。  この人は私との婚約は『選択ミス』だと言っていたし、真の愛を見つけたと言っているから黙っていたけど――。  貴方の幼馴染のリナスは、ものすごく猫を被ってるの。  だから結婚後にとても苦労することになると思うけど、頑張って。

全てを妹に奪われた令嬢は追放先で自由に生きる

ララ
恋愛
いつも妹に奪われてばかりだ。 あらゆる物も両親の愛情すら。 なのにあなたは私からまだ奪うのね。 大好きだった婚約者まで奪われた‥‥。 もう‥‥疲れた。 逃げてしまおう。 誰も知らない場所へ。 貴族令嬢としての自分を捨てて。 どこか遠くへ‥‥。 ーーこれは妹に全てを奪われてきた主人公が自由になって幸せになるお話。 *1話1000文字以上目指してます。  初めての短編小説なので温かい目で見てくれると 嬉しいです。 旧題『全てを奪われた令嬢は最後に笑う〜追放先で待っていたのは甘い溺愛生活でした?!〜』

【完結】失いかけた君にもう一度

暮田呉子
恋愛
偶然、振り払った手が婚約者の頬に当たってしまった。 叩くつもりはなかった。 しかし、謝ろうとした矢先、彼女は全てを捨てていなくなってしまった──。

「侯爵家の落ちこぼれ」の私に選択肢などないと思うのですが ー旦那様、私は人質のはずですー

月橋りら
恋愛
侯爵令嬢として生を受けたにも関わらず、由緒ある家柄にそぐわず「無属性」で生まれてきた「私」、アナスタシア。一方、妹は美しく、属性も「風lを持って生まれた。 「落ちこぼれ」と虐げられてきたアナスタシアは、唯一出してもらえた社交パーティーで婚約破棄を告げられる。 そしてさらに、隣国に「人質」に出されることに決まってしまいーー。 *この小説は、カクヨム様でも連載する予定です。

妹に婚約者を奪われ、聖女の座まで譲れと言ってきたので潔く譲る事にしました。〜あなたに聖女が務まるといいですね?〜

雪島 由
恋愛
聖女として国を守ってきたマリア。 だが、突然妹ミアとともに現れた婚約者である第一王子に婚約を破棄され、ミアに聖女の座まで譲れと言われてしまう。 国を頑張って守ってきたことが馬鹿馬鹿しくなったマリアは潔くミアに聖女の座を譲って国を離れることを決意した。 「あ、そういえばミアの魔力量じゃ国を守護するの難しそうだけど……まぁなんとかするよね、きっと」 *この作品はなろうでも連載しています。

婚約破棄されたので、論破して旅に出させて頂きます!

桜アリス
ファンタジー
婚約破棄された公爵令嬢。 令嬢の名はローザリン・ダリア・フォールトア。 婚約破棄をした男は、この国の第一王子である、アレクサンドル・ピアニー・サラティア。 なんでも好きな人ができ、その人を私がいじめたのだという。 はぁ?何をふざけたことをおっしゃられますの? たたき潰してさしあげますわ! そして、その後は冒険者になっていろんな国へ旅に出させて頂きます! ※恋愛要素、ざまぁ?、冒険要素あります。 ーーーーーーーーーーーーーーーーー 文章力が、無いのでくどくて、おかしいところが多いかもしれません( ̄▽ ̄;) ご注意ください。m(_ _)m

下げ渡された婚約者

相生紗季
ファンタジー
マグナリード王家第三王子のアルフレッドは、優秀な兄と姉のおかげで、政務に干渉することなく気ままに過ごしていた。 しかしある日、第一王子である兄が言った。 「ルイーザとの婚約を破棄する」 愛する人を見つけた兄は、政治のために決められた許嫁との婚約を破棄したいらしい。 「あのルイーザが受け入れたのか?」 「代わりの婿を用意するならという条件付きで」 「代わり?」 「お前だ、アルフレッド!」 おさがりの婚約者なんて聞いてない! しかもルイーザは誰もが畏れる冷酷な侯爵令嬢。 アルフレッドが怯えながらもルイーザのもとへと訪ねると、彼女は氷のような瞳から――涙をこぼした。 「あいつは、僕たちのことなんかどうでもいいんだ」 「ふたりで見返そう――あいつから王位を奪うんだ」

処理中です...