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第一章

10婚約者の失態

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婚約破棄騒動から二週間。
勇者御一行はしばらく滞在することが決まり、城下町では英雄の為にパレードが行われていた。

隣国からの援助もあり、国民は大喜びだった。
特にフリーレン王国は女性に優しい国ということもあり、女性の援助が手厚かった。

王女でありながら率先して魔物討伐を行ったこともあり勝利の女神と呼ばれていたのだ。


しかし未だにこの国は男尊女卑が酷く。
女性は男を立ててなんぼだと考えているへリオルはローゼマリーを好いていなかった。


あの婚約破棄騒動の後、ヘリオスは謹慎を命じられた。
当然と言えば当然かもしれない。

国王の許可なしに勝手に婚約破棄を行った。
しかも隣国の英雄を招く祝賀会でだ。


ヘリオスの伯父でありエスリード家の当主は激怒した。


「どういうことだハリソン!」

「兄上…これは」

「お前は国際問題を!祝賀会をぶち壊して何がしたかったんだ」


伯父クロウリーが激怒するのも当然だった。
英雄を招く祝賀会を開けるのは大変名誉な事なのだ。

その宴をぶち壊すところだった。

「お前は何かにつけてソフィア嬢を虐めていたな。何度言ったら解る…苦労して頭を下げてソフィア嬢を嫁にと頼み込んだ私の顔に泥を塗ったのだぞ!」

「はぁ?」

「既にお前の婚約者になってくれる令嬢はいない。我が家は火の車だ。ソフィア嬢の所有する果物農園のおかげで我が一族にも利益があったというのに!」

「そんな…馬鹿」

「お義兄様、待ってください。これには理由が」

「そんなにソフィア嬢が気に入らないか。ならば事前に婚約解消をしたいと言えばいいだろう!それとも何か?ソフィア嬢を大勢の前で釣るし上げにしたかったか」

ヘリオスは図星だった。
別にクロウリーが言うような真似をする気はなかった。

「私はテレサを妻にしてあれを…」

「彼女を傷物にして第二夫人にでもする気だったか」

「うっ!」


大勢の前で婚約破棄をしてその後に第二夫人にすれば貴族の妻として面倒な仕事はソフィアに任せて、テレサは面倒な責任を任せることなく新婚生活を堪能できる。

万一責任が発生してもソフィアに押し付ければいい。
ヘリオスの母親も同じような考えを持っていた。

「婚約破棄を受け入れるなんて」

「普通は受け入れるだろう。相手がこんな屑なのだからな」

「伯父上!」

「貴族の婚姻は愛などない。だが情はあるが…お前のような男に情を抱く者はいるか!」


頭を抱えて苦悩するクロウリーはどうしたらいいか考えていた。
しかしヘリオスはそこまで重要視していなかった。

何故ならこの男は無駄に自分に自信を持っていた。


「ソフィアは俺を好いています。意地をなっているだけです。すぐに頭を下げます」

そして勘違い男でもあった。

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