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⑥
しおりを挟む石像を見て気づいた。
「なんてことを!」
「これは…」
アルバシア様の違和感に気づいたようだった。
そう、ここに並べられているのは石像じゃない。
元人間で、辺境伯爵をはじめとした魔導士の皆さんや、見習い魔術師の子供達だった。
「どうして…」
「なんて惨い真似を」
アラクネ様はここまで心を殺したの?
何が彼女をここまで悪に染まらせたというの。
そのまま進んでいくと他の石像と異なり男女の石像が手を握りながら無造作に転がっていた。
「あれは…ナタリー!ルイス!」
「エリーゼ!」
「どうして二人が!なんで」
あんな惨い目に合うの?
彼らが一体何をしたというの!
「だって…どうしてあんな!」
特にナタリーの顔は真っ二つにされている。
「二人とも危ないわ!」
「きゃああ!」
「伏せろ!」
前方から雷が襲った。
「ナタリー!」
その一撃はナタリーの頭を粉々にしただけでなく今度は腕を粉々にしていく。
「ひでぇ…」
「なんて惨い真似を!止めろ!」
ルリ様は炎の結界魔法で抵抗した。
すると‥‥
「忌々しい魔法、誰よ…私の邪魔をするのは」
この声はアラクネ様?
「忌々しい光。まるでエリーゼのようだわ」
「あれが元聖女か…」
「悪魔の間違いじゃないか」
既に面影はなかった。
「エリーゼ、私からすべてを奪った悪の化身…私が不幸になったのはあの女の所為。あの女がいなければ…あの女の所為ですべてを失った」
「私の所為?」
「何を馬鹿なことを言っているんだ」
「そうよ!そんなの八つ当たりじゃない!」
私が貴女から何を奪ったというの?
国の為に世界の為と言われて幼い頃に国からも親からも引き離され孤独な日々を過ごし、蔑まれ侮られ続けたわ。
対する貴女はすべてを手に入れたはずだわ。
寵妃となり、王宮では誰からも愛され求められていたのに。
「私を何故恨むのです」
「お前さえいなければ…私は幸せになれた。お前が無能だったから!」
再び雷が私達を襲う。
シャボン玉に守られているが罅が入る音がする。
「そう長くはもたないな」
「ええ」
せめてエデンだけでも安全な場所に!
「お前の子か…憎い!」
「えっ…」
ツルが伸びて来る。
「あー!」
「エデン!」
「何を!」
シャボン玉の中にツルが入り込みエデンを拘束する。
急いで手を伸ばそうとするも、ツルは私達に襲い掛かった。
「きゃああ!」
「エリーゼ!」
ツルに拘束された私達は身動きが取れない状況だった。
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