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1 私が私を見つけるまでの日々
5 お姫様?王子様?との出会い
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リリアンが感じているもやもやとした不安を吹き飛ばしてくれる存在が現れた。マルティナ姉さまの学園のお友達のエリック様だ。エリック様はまだ若くて、学生なのに隣国でドレスデザイナーをしていて、自身でドレスメーカーを立ち上げているという。
エリック様と初めて会った時、お姫様かと思ったの。美しいと言われるお母さまやお姉さまを更に超える美しい人だった。銀色の髪と紫の瞳をリリアンは初めて見た。制服を着ていても、気品溢れる姿は王族にしか見えなかった。
「あらー、かわいい子猫ちゃんがもう一匹♪」
「マルティナ姉さまのお友達? 私、リリアンっていうの」
一応、思い出したかのようにカーテシーをする。気品のある外見に見合う高めの通る声をしている。エリック様の存在に猛烈に興味を惹かれて、挨拶もおざなりになってしまう。
「マルティナ姉さま、ドレスかわいいね。でも、マルティナ姉さまに似会ってない。なんで、マルティナ姉さまは新しいドレス、買ってもらえないの? マルティナ姉さまはもっとシュッとしてて、深い色のが似合うのに!」
エリックが手に取っているアイリーン姉さまからのお下がりのドレスを眺めて思わず、思っていることをそのまま口に出してしまう。なにか考えていても、目にぱっと入ったことに頭がもっていかれてしまうし、気を付けていないと思ったことをそのまま言ってしまう。
「あーら、アナタ見る目あるじゃなーい。そうなの、マルティナちゃんにはこんなパキッとしたピンクのフリフリキラキラのドレスじゃなくって、もっとシンプルで深みのある色のドレスのが似合うの。せっかく可愛い顔してて、スタイルもスレンダーなのに、素材の無駄遣い! はー、もっと似合うドレス着せたいわぁ」
エリック様の存在に興奮して、余計なことを言ってしまったかと焦るリリアンを気にすることなく、エリックは普通に会話してくれる。エリック様の中身はどうやらお姫様っぽくないようだ。でも、軽くて面白くて、ドレスに関しては目利きのようだ。
エリック様はアイリーン姉さまの誕生日パーティーに着るドレスについて悩むマルティナ姉さまの力になるために、来てくれたようだ。一緒に生徒会の仕事をする仲間らしい。お友達のブラッドリー様も一緒だった。ブラッドリー様とエリック様はお仕事とこの国の文化を学ぶ為に隣国から留学してきたらしい。
「そういえば、あんたんとこで立ち上げたレンタルドレスでなんとかしたらどうなの?」
「ああ、その手があったか……」
「ごめんなさい、ブラッドリー。レンタルドレスにお金を出せないんです。エリック、ドレスのリメイクも、お金を払えないので……二人ともわざわざ家にまで出向いてもらって申し訳ないけど、ごめんなさい……」
「はーいはーいはーい。理解理解。大丈夫。経費はブラッドリーから分捕るから、マルティナちゃんは心配ご無用。あ、アタシと恋人になるならぴったり似合うドレス、プレゼントしちゃうわよ!」
「だから、おまえは…」
「えー、このお姉さん、マルティナ姉さまのコンヤクシャなの?」
「違う。違う。ただの同級生だ!!!」
マルティナ姉さまのドレスの相談を三人でし始めたので、黙っていようと思ったのに、“恋人”のキーワードに反応してつい聞いてしまう。女の人同士でもコンヤクできたっけ?
それには、なぜかブラッドリー様が怖い顔で否定してきた。
ブラッドリー様の商会はレンタルドレスの事業をしていて、エリック様はドレスのデザインや制作をしているようで、今回はアイリーン姉さまのお下がりのドレスをエリック様が直すということで話がまとまったようだ。マルティナ姉さまが口を挟む隙もなく、話がまとまっていた。
わたわたするマルティナ姉さまを横に、ブラッドリー様はいつの間にか家令に段取りを伝えていた。エリック様は素早くマルティナ姉さまの全身のサイズを計って、メモした。
「時間がないみたいだから、すぐにブラッドリーの商会に送ってもらうように頼んでおいたわ。手直しが終わったらすぐにドレス、送るから。今回はマルティナちゃんの希望は聞けないけど、アタシのセンスにまかせてちょーだい。
あと、ドレスを着るなら、ちゃんと髪とお肌のお手入れしなさい! ほら、これなら自分でお手入れできるから! なんとアタシのお手製美容液よ。お試しだから、無料無料。ちょっとはパーティまでに自分を磨きなさい」
「ドレスに関してはエリックに任せて大丈夫だから。ちゃんと眠るんだぞ」
そんな言葉を残すと、颯爽と二人は帰って行った。
ブラッドリー様がマルティナ姉さまを見る目は優しくて、マルティナ姉さまを気にかけてくれる人がいることがうれしかった。あとから、あの黒いクマのぬいぐるみはブラッドリー様からの贈り物だと聞いた。あと、綺麗なお姉さんだと思ったエリック様は男性だった。お姫様ではなく王子様だったらしい。突然現れた二人の存在にリリアンはわくわくした。
エリック様と初めて会った時、お姫様かと思ったの。美しいと言われるお母さまやお姉さまを更に超える美しい人だった。銀色の髪と紫の瞳をリリアンは初めて見た。制服を着ていても、気品溢れる姿は王族にしか見えなかった。
「あらー、かわいい子猫ちゃんがもう一匹♪」
「マルティナ姉さまのお友達? 私、リリアンっていうの」
一応、思い出したかのようにカーテシーをする。気品のある外見に見合う高めの通る声をしている。エリック様の存在に猛烈に興味を惹かれて、挨拶もおざなりになってしまう。
「マルティナ姉さま、ドレスかわいいね。でも、マルティナ姉さまに似会ってない。なんで、マルティナ姉さまは新しいドレス、買ってもらえないの? マルティナ姉さまはもっとシュッとしてて、深い色のが似合うのに!」
エリックが手に取っているアイリーン姉さまからのお下がりのドレスを眺めて思わず、思っていることをそのまま口に出してしまう。なにか考えていても、目にぱっと入ったことに頭がもっていかれてしまうし、気を付けていないと思ったことをそのまま言ってしまう。
「あーら、アナタ見る目あるじゃなーい。そうなの、マルティナちゃんにはこんなパキッとしたピンクのフリフリキラキラのドレスじゃなくって、もっとシンプルで深みのある色のドレスのが似合うの。せっかく可愛い顔してて、スタイルもスレンダーなのに、素材の無駄遣い! はー、もっと似合うドレス着せたいわぁ」
エリック様の存在に興奮して、余計なことを言ってしまったかと焦るリリアンを気にすることなく、エリックは普通に会話してくれる。エリック様の中身はどうやらお姫様っぽくないようだ。でも、軽くて面白くて、ドレスに関しては目利きのようだ。
エリック様はアイリーン姉さまの誕生日パーティーに着るドレスについて悩むマルティナ姉さまの力になるために、来てくれたようだ。一緒に生徒会の仕事をする仲間らしい。お友達のブラッドリー様も一緒だった。ブラッドリー様とエリック様はお仕事とこの国の文化を学ぶ為に隣国から留学してきたらしい。
「そういえば、あんたんとこで立ち上げたレンタルドレスでなんとかしたらどうなの?」
「ああ、その手があったか……」
「ごめんなさい、ブラッドリー。レンタルドレスにお金を出せないんです。エリック、ドレスのリメイクも、お金を払えないので……二人ともわざわざ家にまで出向いてもらって申し訳ないけど、ごめんなさい……」
「はーいはーいはーい。理解理解。大丈夫。経費はブラッドリーから分捕るから、マルティナちゃんは心配ご無用。あ、アタシと恋人になるならぴったり似合うドレス、プレゼントしちゃうわよ!」
「だから、おまえは…」
「えー、このお姉さん、マルティナ姉さまのコンヤクシャなの?」
「違う。違う。ただの同級生だ!!!」
マルティナ姉さまのドレスの相談を三人でし始めたので、黙っていようと思ったのに、“恋人”のキーワードに反応してつい聞いてしまう。女の人同士でもコンヤクできたっけ?
それには、なぜかブラッドリー様が怖い顔で否定してきた。
ブラッドリー様の商会はレンタルドレスの事業をしていて、エリック様はドレスのデザインや制作をしているようで、今回はアイリーン姉さまのお下がりのドレスをエリック様が直すということで話がまとまったようだ。マルティナ姉さまが口を挟む隙もなく、話がまとまっていた。
わたわたするマルティナ姉さまを横に、ブラッドリー様はいつの間にか家令に段取りを伝えていた。エリック様は素早くマルティナ姉さまの全身のサイズを計って、メモした。
「時間がないみたいだから、すぐにブラッドリーの商会に送ってもらうように頼んでおいたわ。手直しが終わったらすぐにドレス、送るから。今回はマルティナちゃんの希望は聞けないけど、アタシのセンスにまかせてちょーだい。
あと、ドレスを着るなら、ちゃんと髪とお肌のお手入れしなさい! ほら、これなら自分でお手入れできるから! なんとアタシのお手製美容液よ。お試しだから、無料無料。ちょっとはパーティまでに自分を磨きなさい」
「ドレスに関してはエリックに任せて大丈夫だから。ちゃんと眠るんだぞ」
そんな言葉を残すと、颯爽と二人は帰って行った。
ブラッドリー様がマルティナ姉さまを見る目は優しくて、マルティナ姉さまを気にかけてくれる人がいることがうれしかった。あとから、あの黒いクマのぬいぐるみはブラッドリー様からの贈り物だと聞いた。あと、綺麗なお姉さんだと思ったエリック様は男性だった。お姫様ではなく王子様だったらしい。突然現れた二人の存在にリリアンはわくわくした。
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