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お茶会はつつがなく②
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ナタリー王女は楽しい。
「お茶会呼んでくださらないから、今回はお茶会の方から来ましたのよ」
と何を言っているかは分からないが、ご持参のお菓子も素晴らしく美味しそうだ。メイドにお茶の準備をさせる。
アンリがシュヴァルツを伴い挨拶に来る。
綺礼をし、シュヴァルツもそれに続く。
「そちらはどなたですの?」
身分の高い姫から話しかけられて、初めてシュヴァルツはその赤い眼をナタリーに向ける。
ズキュン…!
ナタリーのハートが射抜かれた音がここまで聞こえた。
「この度公爵家の養子となりましたシュヴァルツ・モルナールと申します」
「こないだも会ったはずですよ、ほら中庭で剣の稽古つけてた」
「え…あの…こども…!?成長が早すぎますわ!」
成長の速さに疑問を抱かないのは、もはやアンリだけなのである。
挨拶もそこそこに、シュヴァルツとアンリは退室する。お茶会のメインは女子トーク!男性人は見目麗しくとも、いらないのです。
しかし、ナタリー王女は既にシュヴァルツに心奪われたらしくうっとりとした表情を浮かべている。これで相思相愛なら素敵だなぁ。
私はシュヴァルツが大好きだから。アンリのように男性としては見られないけれど、仲良くしてくれたら嬉しいなと思う。
あとはシュヴァルツの気持ちなんだけど。一筋縄にはいかなそうよね…
「ですから…ユティカは大神官をたらしこんだのですわ…」
「え!なんて!」
ナタリー王女とシュヴァルツをくっつけようとするがあまりに、全然話を聞いていなかってたことを反省する。ナタリー王女自らお茶会を持参してくるなんて、絶対に話したい話があるに決まっているのだから。
「大変なんですのよ、男爵家がようやくユティカを捕まえて、北の修道院に放り込んだのに。聖女の立場をいいことに大神官をたらしこんで、王家と貴族を糾弾しておりますの」
私はその話を知らないわけではなかった。大神官シャハードの攻略ルートを読んだことがあるから。
このルートは非常にまずい。そのまま進むと教会が民を扇動し、シャハードとユティカが魔王を倒して宗教国家の祖になるエンドだ。まさに私たち丸ごと滅ぼされるエンド。なぜ恋愛ゲームのマルチエンディングがこんなに極端なものなのかは分からないが、兎に角私たちにとっては1番避けたいエンディングなのだ。
「困ったわね、わたくしたちに出来ることは何かないかしら」
この話は姫君の出来る対策を超えている。ナタリー王女も私もお菓子をやけ食いしつつ途方にくれて、お茶会解散となったのだ。
「お茶会呼んでくださらないから、今回はお茶会の方から来ましたのよ」
と何を言っているかは分からないが、ご持参のお菓子も素晴らしく美味しそうだ。メイドにお茶の準備をさせる。
アンリがシュヴァルツを伴い挨拶に来る。
綺礼をし、シュヴァルツもそれに続く。
「そちらはどなたですの?」
身分の高い姫から話しかけられて、初めてシュヴァルツはその赤い眼をナタリーに向ける。
ズキュン…!
ナタリーのハートが射抜かれた音がここまで聞こえた。
「この度公爵家の養子となりましたシュヴァルツ・モルナールと申します」
「こないだも会ったはずですよ、ほら中庭で剣の稽古つけてた」
「え…あの…こども…!?成長が早すぎますわ!」
成長の速さに疑問を抱かないのは、もはやアンリだけなのである。
挨拶もそこそこに、シュヴァルツとアンリは退室する。お茶会のメインは女子トーク!男性人は見目麗しくとも、いらないのです。
しかし、ナタリー王女は既にシュヴァルツに心奪われたらしくうっとりとした表情を浮かべている。これで相思相愛なら素敵だなぁ。
私はシュヴァルツが大好きだから。アンリのように男性としては見られないけれど、仲良くしてくれたら嬉しいなと思う。
あとはシュヴァルツの気持ちなんだけど。一筋縄にはいかなそうよね…
「ですから…ユティカは大神官をたらしこんだのですわ…」
「え!なんて!」
ナタリー王女とシュヴァルツをくっつけようとするがあまりに、全然話を聞いていなかってたことを反省する。ナタリー王女自らお茶会を持参してくるなんて、絶対に話したい話があるに決まっているのだから。
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このルートは非常にまずい。そのまま進むと教会が民を扇動し、シャハードとユティカが魔王を倒して宗教国家の祖になるエンドだ。まさに私たち丸ごと滅ぼされるエンド。なぜ恋愛ゲームのマルチエンディングがこんなに極端なものなのかは分からないが、兎に角私たちにとっては1番避けたいエンディングなのだ。
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