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第十六話 放っておけない

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 セリスが何を言わんとしているのかはわからなかったが、激しく同意できる部分が言葉の端々に出てきたので、俺は反射的に頷く。

「そうだよな。アシュミー可愛いよな。
 異世界でメガネっ娘に会えるとは思わなかったし、いつも少し潤んでいるような瞳は男心をくすぐるというか、庇護欲を掻き立てるというか。
 それに、どこがとは言わないがあの発育の良さ! ヒーラーとしての包容力を体現しているといっても過言ではないあの豊満さは、誰もが魅了されること間違いなしだ。
 ……ただまあ、それ抜きにしても怪我したときのためにヒーラー欲しい」

「何か前置き長くないかしら!?
 ヒーラー欲しい理由が薄っぺらいわりには前置きが長かったんだけど!?」

 不満げな声を上げるセリスに、俺は眉根を寄せる。

「さっきから何か変だぞ? 言いたいことあるならはっきり言ってくれよ」

「い、言えるわけが……!」

 セリスはなぜだか顔を赤らめて俺のことを睨むと、恨めしげにボソリと呟く。

「ほんと、レンって鈍いんだから」

「まだ言ってんのかよ。アシュミーの防御魔法の件はそんなピンとくるもんじゃねえって。
 俺は日本からきたノーマルな人間なんだから」

「はいはい。そっちの話ってことにしておくわ。それと、パーティーにヒーラーが必要だっていう意見には完全に同意よ。
 だから、アシュミーを何とか説得して仲間になってもらいましょう。それがきっと、彼女にとっても幸せな選択だと私は信じるわ」

「OK。それじゃあ決定だな。相談窓口、また上空からアシュミー探してくれるか?」

 即座に応じてくれると思っていたのだが、相談窓口は予想に反し、ふるふると首を振った。

〈お客様、誠に申しわけありませんが、そろそろ本日の営業時間が終了してしまいます〉

「ああ、なるほど。腹いっぱいになったろうし、要するにアレだな?」

〈はい。おねむの時間です〉

 そう口にしながら既に、目がうつらうつらとしている。
 こいつこれでも女神の使者ですよ。

「仕方ない。そう遠くには行ってないだろうし、手分けして探すか」

「わかったわ。でも大丈夫? アシュミーはまだ何か他の魔法を使えるかもしれないわ。
 私は魔法について多少の知識はあるけど、レンは一人だと対応できない可能性もあるんじゃない?」

 ふむ、確かに一理ある。
 さっきのホーリーシールドも、面食らって動けなくなったことだし。

〈でしたら、貯まっているスキルポイントで魔法に対応できそうな新スキルを獲得されてはいかがでしょうか〉

「おっ、それいいな。それじゃさっそく」

 俺はスキルポイントを消費し、新スキルを獲得してからアシュミーを探しに出かけたのだった。
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