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第十三話 冒険者ギルド
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「……はい。これで登録も完了よ。それでレンくん、募集したいのはどういったお仲間?」
「回復やサポートができるヒーラーや魔法使いを募集しようと考えてるんですけど……」
そう答えつつ、俺はギルドにいる冒険者たちを見渡した。
最も目にとまるのは、前衛を張れそうな屈強な戦士たちの姿である。
これはドMの性で、モンスターの攻撃を真っ先に受けられる戦士職が人気なためだろうと思えた。
対して、お目当てのヒーラーや魔法使いの姿はちらほらと見かける程度。
この様子だと争奪戦も起こっているだろうし、パーティーに組み込むのは難しいかもしれない。
「盾役として戦士を組み込むのもありか?
いや、でもなあ。苦戦してるとき、ダメージ食らって喜んでる姿見たらイラッとしそうだし。
せめてモンスターに反撃してくれたらな」
俺のその呟きに、お姉さんがキョトンとした表情を浮かべる。
「え? それはもちろん反撃するでしょうけど……」
「まさかぁ。前衛の戦士って、攻撃受けるだけで満足しちゃうでしょ」
「そんなことはないわよ。冒険者の多くはモンスター退治で報酬を得ているし」
そんなやり取りをしていると、横合いから不意に「ガハハハ!」という豪快な笑い声がした。
驚いてそちらを見やると、毛皮の鎧を着込んだ蛮族の戦士といった風貌の偉丈夫が立っている。
その大男は俺と目が合うと、ニィッと歯を見せて笑う。
「いやあ、スマンスマン。立ち聞きするつもりはなかったんだが、会話が耳に入ってな。
駆け出しの冒険者か。吾輩はゴルドフというんだが、お前さんの名は?」
「レンですけど」
「そうかそうか。レンよ、お前の疑問も最もだ。
吾輩も冒険者になりたての頃は、とにかくモンスターに虐められたい、ご褒美の攻撃をこの身に受けたいと、そんなことばかり考えていた」
「いや一緒にすんなよ……」
「だがな、冒険者として活動するうちに、モンスターとの関わり方というものも自然と変わってくるものだ。
レンは右も左もわからぬ新人のようだし、どうだ? 今日だけ吾輩のパーティーに加わらんか?」
「あんたのパーティーに?」
「ああ、そうだ。実はこれからベビーヒュドラの退治に出かけようとしていてな。
ベビーヒュドラは五つの頭を持つ大蛇で、なかなか強敵だ。攻撃をかく乱するために、すばしっこい仲間があと一人か二人欲しいと思っていたところなんだ」
フム。俺は顎に手をやり考え込む。
実のところ、ベビーヒュドラには何度か遭遇している。
初めて会敵したときこそ苦戦したが、弱点や攻撃パターンが頭に入った今では、タフな割に実入りの少ないモンスターといった認識だ。
そんな相手の討伐パーティーにわざわざ入る必要はないのだが、ゴルドフの言葉は気になったし、何よりエンアポスで活躍する冒険者たちがどんな戦闘をしているのか興味がある。
(セリスが従えていた騎士たちの戦いぶりしか見てないしな。
あのときは王女であるセリスを守るために防御に徹していたってのもあるだろうし、冒険者との戦闘スタイルの違いなんかも見られるかも)
乗り気になった俺は、セリスの方を見やって問いかけた。
「先輩冒険者の戦い方は勉強になるだろうし、ついていこうかと思うんだけど。セリスはどう思う?」
「私も賛成よ。仲間を増やすなら、この機会に戦闘スタイルの違うジョブとどう連携するか学ばせてもらいましょ」
俺たちのやり取りを聞いたゴルドフは、ウムウムと大きく頷いた。
「二人ともいい向上心だ。お前たちならすぐに吾輩のような立派な冒険者になれるだろう。
よし、それでは吾輩の仲間を紹介しよう。こっちだ」
「回復やサポートができるヒーラーや魔法使いを募集しようと考えてるんですけど……」
そう答えつつ、俺はギルドにいる冒険者たちを見渡した。
最も目にとまるのは、前衛を張れそうな屈強な戦士たちの姿である。
これはドMの性で、モンスターの攻撃を真っ先に受けられる戦士職が人気なためだろうと思えた。
対して、お目当てのヒーラーや魔法使いの姿はちらほらと見かける程度。
この様子だと争奪戦も起こっているだろうし、パーティーに組み込むのは難しいかもしれない。
「盾役として戦士を組み込むのもありか?
いや、でもなあ。苦戦してるとき、ダメージ食らって喜んでる姿見たらイラッとしそうだし。
せめてモンスターに反撃してくれたらな」
俺のその呟きに、お姉さんがキョトンとした表情を浮かべる。
「え? それはもちろん反撃するでしょうけど……」
「まさかぁ。前衛の戦士って、攻撃受けるだけで満足しちゃうでしょ」
「そんなことはないわよ。冒険者の多くはモンスター退治で報酬を得ているし」
そんなやり取りをしていると、横合いから不意に「ガハハハ!」という豪快な笑い声がした。
驚いてそちらを見やると、毛皮の鎧を着込んだ蛮族の戦士といった風貌の偉丈夫が立っている。
その大男は俺と目が合うと、ニィッと歯を見せて笑う。
「いやあ、スマンスマン。立ち聞きするつもりはなかったんだが、会話が耳に入ってな。
駆け出しの冒険者か。吾輩はゴルドフというんだが、お前さんの名は?」
「レンですけど」
「そうかそうか。レンよ、お前の疑問も最もだ。
吾輩も冒険者になりたての頃は、とにかくモンスターに虐められたい、ご褒美の攻撃をこの身に受けたいと、そんなことばかり考えていた」
「いや一緒にすんなよ……」
「だがな、冒険者として活動するうちに、モンスターとの関わり方というものも自然と変わってくるものだ。
レンは右も左もわからぬ新人のようだし、どうだ? 今日だけ吾輩のパーティーに加わらんか?」
「あんたのパーティーに?」
「ああ、そうだ。実はこれからベビーヒュドラの退治に出かけようとしていてな。
ベビーヒュドラは五つの頭を持つ大蛇で、なかなか強敵だ。攻撃をかく乱するために、すばしっこい仲間があと一人か二人欲しいと思っていたところなんだ」
フム。俺は顎に手をやり考え込む。
実のところ、ベビーヒュドラには何度か遭遇している。
初めて会敵したときこそ苦戦したが、弱点や攻撃パターンが頭に入った今では、タフな割に実入りの少ないモンスターといった認識だ。
そんな相手の討伐パーティーにわざわざ入る必要はないのだが、ゴルドフの言葉は気になったし、何よりエンアポスで活躍する冒険者たちがどんな戦闘をしているのか興味がある。
(セリスが従えていた騎士たちの戦いぶりしか見てないしな。
あのときは王女であるセリスを守るために防御に徹していたってのもあるだろうし、冒険者との戦闘スタイルの違いなんかも見られるかも)
乗り気になった俺は、セリスの方を見やって問いかけた。
「先輩冒険者の戦い方は勉強になるだろうし、ついていこうかと思うんだけど。セリスはどう思う?」
「私も賛成よ。仲間を増やすなら、この機会に戦闘スタイルの違うジョブとどう連携するか学ばせてもらいましょ」
俺たちのやり取りを聞いたゴルドフは、ウムウムと大きく頷いた。
「二人ともいい向上心だ。お前たちならすぐに吾輩のような立派な冒険者になれるだろう。
よし、それでは吾輩の仲間を紹介しよう。こっちだ」
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