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2章⭐︎賢者の大冒険⭐︎
問い詰め
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-side オーウェン-
「それで、なぜ不思議な国にグリモワールを忘れたのか、教えてくれるよな?」
俺はシルフを問い詰める。
じっくり、じっくり……。
こう言うのは、だんだん精神的に圧をかける事が重要である。
『な、な、なんか、黒い笑みを浮かべて、雰囲気が怖いケロー!』
『まるで悪役ですわ~!』
『物語の裏ボスみたいだ』
うーん、こいつら勘が鋭い。大当たりだ。
「……大丈夫大丈夫、多分だけど、悪いようにはしないから。それで?」
『嘘ですわ~』
『胡散臭いケロー』
『というか、多分って言った、多分って』
後ろで外野がガヤガヤ騒いでいる。
シルフもガヤに便乗しようとしているようだ。そうはさせない。
『そ・れ・で??』
『うっ……、仕方がなかったんだ。人間たちがきた時、僕たちは何も知らずに居眠りをしていたんだ』
シルフによると、人間が来るまで、精霊たちはとても穏やかな生活を送っていたそうだ。精霊は果てしない時を生きる。だから、睡眠時間も長くなる事が多いそうだ。
『でも、まさか、300年近く爆睡してるとは自分でも思わなかったんだよ⭐︎テヘペロ⭐︎』
「絶対それが原因で人間に付け入る隙を与えただろ。」
『うっ……、それについては結構反省してるもん!』
ジトーとシルフを見つめる。
最初はふんっ!という感じで腕を組んでいた彼も次第に冷や汗をかき始め、こちらを振り返って……、全力土下座した。
『すいませんでしたーー!』
「ハア……」
こんなのがお伽話で聞く風の精霊王シルフだなんて。知りたくなかった。
「それで、そのグリモワールがどこにあるのか分かっているのか?」
『それが、わからないんだよね……、一応、なんとなく不思議の国にあるという反応はあったんだけれど、詳しい位置はわからない。不思議な国の地形は頻繁に変わるから』
「それ、どこにあるかが毎回変わるという事だよな?無理ゲーではないのか?その探し物」
『そうだけど、フェアリーケロベロス君に教えてもらえばなんとかなるかなって……』
テキトーだな、おい。
見切り発車がすぎる。
『多分できるケロー』
「できるのかよ」
『僕を何者だと思ってるケロー!これくらい、お茶の子再々とまではいけなくても、すっごく頑張ればいけるケロー』
「結構難しいんじゃねえか」
絶対と言わずに多分というあたり、不安要素しか感じない。不思議の国の案内人ですら苦労するって、やっぱり結構大変そうだ。
『大丈夫!僕も手伝うから、きっと見つかるはず』
「不安だ」
シルフもあまり当てにできそうにない。というか、俺が見張っとかないと、変な事しでかしそうだ。とりあえず、不思議の国へ行ってみるだけ行ってみることにするか。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
『ついたケロ~!』
俺たちは、シルフの忘れたグリモワールを取りに、疾風の獣を倒すための、レベルアップのために再び不思議な国へ着いた。
「まだ、ランニングボアも倒せていないのに、それより強い疾風の獣を倒さないといけなくなるとは……」
『この訓練が終われば、ランニングボアも楽勝ケロ~!』
「だろうな」
そういう話ではない気がする。
レベルアップは本来、自分のレベルに合った魔物をコツコツ倒していくのが普通だ。
ゲームのように、先に強い魔物を方法を考えながら倒して、RTAするなど言語道断。危険すぎる。
なので、この訓練、想像を絶する大変さをしてそうなのだ。
とはいえ、そればかり考えてぼけーっとしても仕方がないので、あたりを見渡す。あの時は、急いでいてあまり見る暇がなかったが、改めて見るとすごい国だな。
可愛らしい絵本のおとぎ話のような場所で、ふんわりとしたコットンキャンディのような雲が浮かび、その下では小人たちがお菓子に家で遊んでいる。小さな湖はきらきらしていて、そこには色とりどりのキラキラの魚たちが楽しそうに泳いでいる。
最初は普通に何の違和感なかったが、こんなメルヘンな世界観なのに、なんか普通に電車が通ってるんだよな?
「なんなんだ……、この国?」
『不思議な国ケロー!』
「それは知ってる」
理屈も分からない以上、その返答が多分一番正しいのだろう。正しいけれど、それを言ったらおしまいだ。
『どうせ大した意味もないから、気にしないケロー、それでは本題に入るケロー』
「……」
-------------------------------------
「それで、なぜ不思議な国にグリモワールを忘れたのか、教えてくれるよな?」
俺はシルフを問い詰める。
じっくり、じっくり……。
こう言うのは、だんだん精神的に圧をかける事が重要である。
『な、な、なんか、黒い笑みを浮かべて、雰囲気が怖いケロー!』
『まるで悪役ですわ~!』
『物語の裏ボスみたいだ』
うーん、こいつら勘が鋭い。大当たりだ。
「……大丈夫大丈夫、多分だけど、悪いようにはしないから。それで?」
『嘘ですわ~』
『胡散臭いケロー』
『というか、多分って言った、多分って』
後ろで外野がガヤガヤ騒いでいる。
シルフもガヤに便乗しようとしているようだ。そうはさせない。
『そ・れ・で??』
『うっ……、仕方がなかったんだ。人間たちがきた時、僕たちは何も知らずに居眠りをしていたんだ』
シルフによると、人間が来るまで、精霊たちはとても穏やかな生活を送っていたそうだ。精霊は果てしない時を生きる。だから、睡眠時間も長くなる事が多いそうだ。
『でも、まさか、300年近く爆睡してるとは自分でも思わなかったんだよ⭐︎テヘペロ⭐︎』
「絶対それが原因で人間に付け入る隙を与えただろ。」
『うっ……、それについては結構反省してるもん!』
ジトーとシルフを見つめる。
最初はふんっ!という感じで腕を組んでいた彼も次第に冷や汗をかき始め、こちらを振り返って……、全力土下座した。
『すいませんでしたーー!』
「ハア……」
こんなのがお伽話で聞く風の精霊王シルフだなんて。知りたくなかった。
「それで、そのグリモワールがどこにあるのか分かっているのか?」
『それが、わからないんだよね……、一応、なんとなく不思議の国にあるという反応はあったんだけれど、詳しい位置はわからない。不思議な国の地形は頻繁に変わるから』
「それ、どこにあるかが毎回変わるという事だよな?無理ゲーではないのか?その探し物」
『そうだけど、フェアリーケロベロス君に教えてもらえばなんとかなるかなって……』
テキトーだな、おい。
見切り発車がすぎる。
『多分できるケロー』
「できるのかよ」
『僕を何者だと思ってるケロー!これくらい、お茶の子再々とまではいけなくても、すっごく頑張ればいけるケロー』
「結構難しいんじゃねえか」
絶対と言わずに多分というあたり、不安要素しか感じない。不思議の国の案内人ですら苦労するって、やっぱり結構大変そうだ。
『大丈夫!僕も手伝うから、きっと見つかるはず』
「不安だ」
シルフもあまり当てにできそうにない。というか、俺が見張っとかないと、変な事しでかしそうだ。とりあえず、不思議の国へ行ってみるだけ行ってみることにするか。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
『ついたケロ~!』
俺たちは、シルフの忘れたグリモワールを取りに、疾風の獣を倒すための、レベルアップのために再び不思議な国へ着いた。
「まだ、ランニングボアも倒せていないのに、それより強い疾風の獣を倒さないといけなくなるとは……」
『この訓練が終われば、ランニングボアも楽勝ケロ~!』
「だろうな」
そういう話ではない気がする。
レベルアップは本来、自分のレベルに合った魔物をコツコツ倒していくのが普通だ。
ゲームのように、先に強い魔物を方法を考えながら倒して、RTAするなど言語道断。危険すぎる。
なので、この訓練、想像を絶する大変さをしてそうなのだ。
とはいえ、そればかり考えてぼけーっとしても仕方がないので、あたりを見渡す。あの時は、急いでいてあまり見る暇がなかったが、改めて見るとすごい国だな。
可愛らしい絵本のおとぎ話のような場所で、ふんわりとしたコットンキャンディのような雲が浮かび、その下では小人たちがお菓子に家で遊んでいる。小さな湖はきらきらしていて、そこには色とりどりのキラキラの魚たちが楽しそうに泳いでいる。
最初は普通に何の違和感なかったが、こんなメルヘンな世界観なのに、なんか普通に電車が通ってるんだよな?
「なんなんだ……、この国?」
『不思議な国ケロー!』
「それは知ってる」
理屈も分からない以上、その返答が多分一番正しいのだろう。正しいけれど、それを言ったらおしまいだ。
『どうせ大した意味もないから、気にしないケロー、それでは本題に入るケロー』
「……」
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