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2章⭐︎賢者の大冒険⭐︎
神秘的な精霊の国
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-side オーウェン-
「ここが精霊の国か」
出迎えたのは、神秘的な湖だった。
自然と建物が調和していて、美しい風景が広がっている。
湖畔に広がる森は、巨大な樹木が空に向かって伸び、その枝からは幻想的な宝石の原石が花開くように、咲いている。
木々の間からは、微風に乗って花の香りが漂い、空には色とりどりの鳥たちがこちらを見ていた。多分、みんな精霊だろう。
『久しぶりに帰って来れた。懐かしい……』
『嬉しいですわ~!』
『良かったぜ!本当にありがとう!シルフ様!オーウェン!』
「わしからも礼を言わせてくれ。ほんと……精霊の国へ来ることが出来るなんていつぶりの事じゃが……」
長老の、目線の先にある湖の水は透明度が高く、その底には美しい魚たちが泳いでいる様子が見える。
空は常に澄み渡り、太陽の光が煌めく湖面に反射してまばゆい輝きを放っていた。
外の門が呪われていたとは思えないくらいな。本当に、時間が止まったような平和と美しさが広がる場所だ。あまりの光景に、思わず、息を呑む。
「礼はいいよ。依頼だからな。それよりも、お役に立てたなら良かった」
『主人。この借りはいつかしっかり返すよ。どれくらい経つかは分からないけれど』
「だから、良いって。エリーゼさんにはしっかり、報酬を貰う手筈にはなっているし」
『それはそれ。これはこれだよ。僕たちからの気持ち受け取って!』
『そうだぞ!主人!』『ですわ~!』
「なら、ありがたく受け取るよ。……というか、さっきから結構視線を感じるんだが……」
『ああ、それは……』
シルフが何か言いかけた瞬間、鳥達の中で、一際大きな、羽毛に銀色の輝きを宿した鷲が、湖の上空から優雅に舞い降りてきた。
鷲の羽は風に揺れ、その鋭い目は知識と叡智を秘めたように輝いている。その優美な姿からは、精霊の国を守護する守り神のような存在であるかのように感じられる。
『シルフ様……!とそこにいるのは、人間!?あ、お前はエルフの長老ではないか!?久しぶりだなあ!』
『久しぶりだな。ウィンドガイド。』
『おおっ!ウィンドガイド様!お久しぶりでございます!』
ウィンドガイド--風の案内人か。
確かに言われてみればそんな感じもする。
風の精霊のようで、その存在は風の流れと一体化しているようだ。移動も速そうだ。
『ウィンドガイド、この者達は精霊の国への帰還を手助けしてくれた仲間だ。オーウェンは俺の主人でもある』
ウィンドガイドは頷き、優雅に翼を広げながら話し出した。
『なんと……!そうですか。シルフ様もとうとう人間の主人を!めでたいことです!オーウェン様、ありがとうございます。感謝の意を示すためにも今夜はお祝いをしましょう。風の精霊一同、歓迎いたします』
「ありがとう!よろしく頼む。ウィンドガイド殿」
どうやら、好意的に歓迎してくれるようだ。俺もウィンドガイドに笑顔で応じる。
『ふむ。それでは、私の上に乗って神殿へいきましょうか?』
『うん。お願いするよ』
異世界生物の背に乗るのは、初めてである。お言葉に甘えて、俺たちはウィンドガイドの上へと乗る。
ウィンドガイドの上は、結界魔法が張られていて、快適な雰囲気が広がっていた。もふもふなので、寝っ転がってゴロゴロする。
『シルフ様、彼らは精霊の国は初めてでしょう?もし、説明をしていないのであれば、この国について、私から、簡単に説明致しましょうか?』
『ああ!確かに!そういえば、なんも説明せずにきちゃったかも!流石、ウィンドガイド!助かる!』
『やはりですか……。では……』
正直、シルフが精霊王と聞いた時、精霊の国を本当にしっかりと統治できているのだろうか?と思っていたが、しっかりと優秀な部下がいたようである。
ウィンドガイドによると精霊の国には次の3つの事が人間の国とは違うらしい。
1. 精霊: さまざまな種類の精霊が存在します。属性ごとに収めている領域があり、シルフ様が治める私達、風の精霊領域。ウンディーネ様が治める水の精霊領域。ノーム様が治める地の精霊領域、サラマンダー様が治める火の精霊領域の4つです。
2.精霊の神殿や聖域: 外からきた人間が、祈りや儀式を行うための神殿や聖域を持ちます。王や高位精霊の住居でもあります。
3.精霊の宝物: 神秘的な力を持つ宝物や秘宝が存在します。一部の何かが封印されている岩以外は、大したものはほとんど無いと思います。人間の間では、英雄伝で語られる事もあるそうですがね。
「ほうほう。イメージ通りだけれど、お宝か。流石は、精霊の国……」
どうやら、精霊の国は、事前に俺たちが想像していたイメージの通りであるようだ。それにしても、人間にとってはとてつもないお宝。シルフに頼めば、触らせて貰えるだろうか?タイミングを見て聞いてみよう。
ウィンドガイドが案内する中、俺たちは精霊の国の内部に進んでいく。広大な森林の中には、木々の間にかかるツタや光り輝くキノコ、奇妙な花が彩りを添え、豊かな国であるという事がわかる。
『妙だね』
『そうですわね』
『そうだな!』
「……?」
どうかしたのだろうか?精霊達が何やら深刻そうな目で見つめている。
『やはり、分かりますか』
『うん。明らかに元気がない』
『実は、最近まで、精霊の森一体が原因不明の黒い霧に覆われていたのです。信じて貰えるかは分かりませんが、それが、どこかから、響いてきた美しいヴァイオリンの音色と共に消え去ったのです。おっと、詳しい話は神殿で』
『いやいやいや……、信じる、信じるよ』
『……?別に信用していただく分には、ありがたいですが?」
そう言って、ウィンドガイドは、神殿の広場へ、急降下する。これだけ、激しい動きをしているのにも関わらず、振動が感じられない。
これは……、やり方さえわかれば、もしかしたら、魔道具製作に利用できるかもせない。面白い。
神殿に到着すると、そこには精霊たちの彫像が立ち並び、神秘的な雰囲気が漂っていた。
『中へご案内しますね』
どんなところだろうか。
なにか、美味しいものでもあるといいな。
「「結局、食い物ですか」」
「なぜバレたし」
--------------------------------------
「ここが精霊の国か」
出迎えたのは、神秘的な湖だった。
自然と建物が調和していて、美しい風景が広がっている。
湖畔に広がる森は、巨大な樹木が空に向かって伸び、その枝からは幻想的な宝石の原石が花開くように、咲いている。
木々の間からは、微風に乗って花の香りが漂い、空には色とりどりの鳥たちがこちらを見ていた。多分、みんな精霊だろう。
『久しぶりに帰って来れた。懐かしい……』
『嬉しいですわ~!』
『良かったぜ!本当にありがとう!シルフ様!オーウェン!』
「わしからも礼を言わせてくれ。ほんと……精霊の国へ来ることが出来るなんていつぶりの事じゃが……」
長老の、目線の先にある湖の水は透明度が高く、その底には美しい魚たちが泳いでいる様子が見える。
空は常に澄み渡り、太陽の光が煌めく湖面に反射してまばゆい輝きを放っていた。
外の門が呪われていたとは思えないくらいな。本当に、時間が止まったような平和と美しさが広がる場所だ。あまりの光景に、思わず、息を呑む。
「礼はいいよ。依頼だからな。それよりも、お役に立てたなら良かった」
『主人。この借りはいつかしっかり返すよ。どれくらい経つかは分からないけれど』
「だから、良いって。エリーゼさんにはしっかり、報酬を貰う手筈にはなっているし」
『それはそれ。これはこれだよ。僕たちからの気持ち受け取って!』
『そうだぞ!主人!』『ですわ~!』
「なら、ありがたく受け取るよ。……というか、さっきから結構視線を感じるんだが……」
『ああ、それは……』
シルフが何か言いかけた瞬間、鳥達の中で、一際大きな、羽毛に銀色の輝きを宿した鷲が、湖の上空から優雅に舞い降りてきた。
鷲の羽は風に揺れ、その鋭い目は知識と叡智を秘めたように輝いている。その優美な姿からは、精霊の国を守護する守り神のような存在であるかのように感じられる。
『シルフ様……!とそこにいるのは、人間!?あ、お前はエルフの長老ではないか!?久しぶりだなあ!』
『久しぶりだな。ウィンドガイド。』
『おおっ!ウィンドガイド様!お久しぶりでございます!』
ウィンドガイド--風の案内人か。
確かに言われてみればそんな感じもする。
風の精霊のようで、その存在は風の流れと一体化しているようだ。移動も速そうだ。
『ウィンドガイド、この者達は精霊の国への帰還を手助けしてくれた仲間だ。オーウェンは俺の主人でもある』
ウィンドガイドは頷き、優雅に翼を広げながら話し出した。
『なんと……!そうですか。シルフ様もとうとう人間の主人を!めでたいことです!オーウェン様、ありがとうございます。感謝の意を示すためにも今夜はお祝いをしましょう。風の精霊一同、歓迎いたします』
「ありがとう!よろしく頼む。ウィンドガイド殿」
どうやら、好意的に歓迎してくれるようだ。俺もウィンドガイドに笑顔で応じる。
『ふむ。それでは、私の上に乗って神殿へいきましょうか?』
『うん。お願いするよ』
異世界生物の背に乗るのは、初めてである。お言葉に甘えて、俺たちはウィンドガイドの上へと乗る。
ウィンドガイドの上は、結界魔法が張られていて、快適な雰囲気が広がっていた。もふもふなので、寝っ転がってゴロゴロする。
『シルフ様、彼らは精霊の国は初めてでしょう?もし、説明をしていないのであれば、この国について、私から、簡単に説明致しましょうか?』
『ああ!確かに!そういえば、なんも説明せずにきちゃったかも!流石、ウィンドガイド!助かる!』
『やはりですか……。では……』
正直、シルフが精霊王と聞いた時、精霊の国を本当にしっかりと統治できているのだろうか?と思っていたが、しっかりと優秀な部下がいたようである。
ウィンドガイドによると精霊の国には次の3つの事が人間の国とは違うらしい。
1. 精霊: さまざまな種類の精霊が存在します。属性ごとに収めている領域があり、シルフ様が治める私達、風の精霊領域。ウンディーネ様が治める水の精霊領域。ノーム様が治める地の精霊領域、サラマンダー様が治める火の精霊領域の4つです。
2.精霊の神殿や聖域: 外からきた人間が、祈りや儀式を行うための神殿や聖域を持ちます。王や高位精霊の住居でもあります。
3.精霊の宝物: 神秘的な力を持つ宝物や秘宝が存在します。一部の何かが封印されている岩以外は、大したものはほとんど無いと思います。人間の間では、英雄伝で語られる事もあるそうですがね。
「ほうほう。イメージ通りだけれど、お宝か。流石は、精霊の国……」
どうやら、精霊の国は、事前に俺たちが想像していたイメージの通りであるようだ。それにしても、人間にとってはとてつもないお宝。シルフに頼めば、触らせて貰えるだろうか?タイミングを見て聞いてみよう。
ウィンドガイドが案内する中、俺たちは精霊の国の内部に進んでいく。広大な森林の中には、木々の間にかかるツタや光り輝くキノコ、奇妙な花が彩りを添え、豊かな国であるという事がわかる。
『妙だね』
『そうですわね』
『そうだな!』
「……?」
どうかしたのだろうか?精霊達が何やら深刻そうな目で見つめている。
『やはり、分かりますか』
『うん。明らかに元気がない』
『実は、最近まで、精霊の森一体が原因不明の黒い霧に覆われていたのです。信じて貰えるかは分かりませんが、それが、どこかから、響いてきた美しいヴァイオリンの音色と共に消え去ったのです。おっと、詳しい話は神殿で』
『いやいやいや……、信じる、信じるよ』
『……?別に信用していただく分には、ありがたいですが?」
そう言って、ウィンドガイドは、神殿の広場へ、急降下する。これだけ、激しい動きをしているのにも関わらず、振動が感じられない。
これは……、やり方さえわかれば、もしかしたら、魔道具製作に利用できるかもせない。面白い。
神殿に到着すると、そこには精霊たちの彫像が立ち並び、神秘的な雰囲気が漂っていた。
『中へご案内しますね』
どんなところだろうか。
なにか、美味しいものでもあるといいな。
「「結局、食い物ですか」」
「なぜバレたし」
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