21 / 46
1章⭐︎リオンシュタット初心者編⭐︎
あきらめ
しおりを挟む
-side オーウェン-
「……?」
次の日、寝て起きると、辺りの様子が変だった。なんとなくだけれど、昨日よりもどこか、空気が澄んでいるようにも思える。
「キューーン、キューーン」
昨日は聞こえなかった可愛らしい動物の声も、外から聞こえる。
それにしても、起きた時に違和感があったのだが、、これはシルフがいないからか。昨日一緒に寝ていたシルフの姿が見えなかったのだ。
外は明るいし、探しに行こうかと外に出る。すると、ちっちゃい狼とシルフが会話をしているのを見つけた。
声をかける前に、シルフがこちらに気付いて声をかけてきた。
『オーウェン。まーたやっちまったか』
「シルフ……?」
シルフが呆れたような表情をしてこちらを見てそう言ったので、まだ、寝起きの頭をフル回転したまま、必死にやらかした原因を考える。思い当たる節は特にない。
シルフの方を向くと、リトルフェンリルを指さしてこう言った。
『どうやら、昨日のお前がヴァイオリンを弾いた時に、外に漏れ出た澄んだ魔力を嗅ぎつけてね、聖獣のリトルフェンリルがこちらへ来たようなんだ』
「リトルフェンリル?聖獣?」
『リトルフェンリルというのはね、成長するとフェンリルに進化する聖獣なんだ。君たち人間の間では、精霊の1種とされ、信仰対象にもなっている』
「ほほう」
フェンリルといえば、伝説の生き物だ。この可愛い見た目の狼が最強の生物になるのか。
それにしても、魔獣にも進化があるのか?とは思ったが、それは聞いたことがない。おそらく、進化するのは魔獣ではなく、聖獣だからだろう。
「キューーン、キューーン」
『リトルフェンリルが君に挨拶をしたいらしい。昨日の魔力のお礼だって』
「分かった」
リトルフェンリルに近づき、目の前にしゃがむ。すると、顔を擦り付けてきた。俺の肩に乗れるくらいのちっさいサイズだが、結構な力の強さだ。
「よーしよしよし!」
「キャン!キャン!」
可愛かったので、撫でていると、甘えてきた。こんなペットがうちにいてくれたら、幸せだろうな。
『オーウェン……』
「ん??」
『その子、君の従魔になってる!』
「キューーン、キューーン!」
「え!?従魔!?」
『そう!精一杯、お守りします!だって!』
「え、ええ!?ま、まあ……よろしくな!よろしくだけど……、シルフの時も思ったけど、従魔が従魔契約の文言なしで、従魔契約出来るって、学園の、従魔についての授業でも、聞いたことがないんだけど!?」
『そりゃあそうだろうけど、高位の生物は無詠唱従魔契約くらいはできるよ』
「そういうものなのか」
『そういうもんだよ。諦めて』
色々悟ったので、大人しく諦めた。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
「それじゃあ、行こうか!」
「その前に、それ説明してくれませんか?」
「これか?新しく従魔になったリトルフェンリルの、フェルだ」
「リ、リトルフェンリル様!?」
「キャンキャン!」
「よろしくだって!」
「はっ!誠心誠意努めさせていただきます!」
意外だ。もっと驚くかと覚悟していたが、落ち着いている。その事を疑問に思って聞いてみると、「もう諦めました!」と言われた。冷静を保つためには、やはり、諦めが大事らしい。
気を取り直して、西の森2日目。昨日はスライムとゴブリンを倒せたので、今日は、オークを見つける事から開始している。今回はどんなお肉と出会えるだろうか?
『よだれ垂れてるぞ』
「これは、食い意地張ってるだけ」
『君、仮にも一応貴族だよね?』
「真面目な貴族として振る舞うのは、もう諦めた」
『いや、一応大事だと思うし、そこは諦めないで欲しいんだけど』
でもなあ、人には、適材適所があるし、時には諦めも肝心だ。
それに、俺は自由に生きる事が出来るということを知ってしまった。正直、以前の生活に戻れと言われても無理な気がする。
その時は、その時で諦めて我道を進もう。
--------------------------
「……?」
次の日、寝て起きると、辺りの様子が変だった。なんとなくだけれど、昨日よりもどこか、空気が澄んでいるようにも思える。
「キューーン、キューーン」
昨日は聞こえなかった可愛らしい動物の声も、外から聞こえる。
それにしても、起きた時に違和感があったのだが、、これはシルフがいないからか。昨日一緒に寝ていたシルフの姿が見えなかったのだ。
外は明るいし、探しに行こうかと外に出る。すると、ちっちゃい狼とシルフが会話をしているのを見つけた。
声をかける前に、シルフがこちらに気付いて声をかけてきた。
『オーウェン。まーたやっちまったか』
「シルフ……?」
シルフが呆れたような表情をしてこちらを見てそう言ったので、まだ、寝起きの頭をフル回転したまま、必死にやらかした原因を考える。思い当たる節は特にない。
シルフの方を向くと、リトルフェンリルを指さしてこう言った。
『どうやら、昨日のお前がヴァイオリンを弾いた時に、外に漏れ出た澄んだ魔力を嗅ぎつけてね、聖獣のリトルフェンリルがこちらへ来たようなんだ』
「リトルフェンリル?聖獣?」
『リトルフェンリルというのはね、成長するとフェンリルに進化する聖獣なんだ。君たち人間の間では、精霊の1種とされ、信仰対象にもなっている』
「ほほう」
フェンリルといえば、伝説の生き物だ。この可愛い見た目の狼が最強の生物になるのか。
それにしても、魔獣にも進化があるのか?とは思ったが、それは聞いたことがない。おそらく、進化するのは魔獣ではなく、聖獣だからだろう。
「キューーン、キューーン」
『リトルフェンリルが君に挨拶をしたいらしい。昨日の魔力のお礼だって』
「分かった」
リトルフェンリルに近づき、目の前にしゃがむ。すると、顔を擦り付けてきた。俺の肩に乗れるくらいのちっさいサイズだが、結構な力の強さだ。
「よーしよしよし!」
「キャン!キャン!」
可愛かったので、撫でていると、甘えてきた。こんなペットがうちにいてくれたら、幸せだろうな。
『オーウェン……』
「ん??」
『その子、君の従魔になってる!』
「キューーン、キューーン!」
「え!?従魔!?」
『そう!精一杯、お守りします!だって!』
「え、ええ!?ま、まあ……よろしくな!よろしくだけど……、シルフの時も思ったけど、従魔が従魔契約の文言なしで、従魔契約出来るって、学園の、従魔についての授業でも、聞いたことがないんだけど!?」
『そりゃあそうだろうけど、高位の生物は無詠唱従魔契約くらいはできるよ』
「そういうものなのか」
『そういうもんだよ。諦めて』
色々悟ったので、大人しく諦めた。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
「それじゃあ、行こうか!」
「その前に、それ説明してくれませんか?」
「これか?新しく従魔になったリトルフェンリルの、フェルだ」
「リ、リトルフェンリル様!?」
「キャンキャン!」
「よろしくだって!」
「はっ!誠心誠意努めさせていただきます!」
意外だ。もっと驚くかと覚悟していたが、落ち着いている。その事を疑問に思って聞いてみると、「もう諦めました!」と言われた。冷静を保つためには、やはり、諦めが大事らしい。
気を取り直して、西の森2日目。昨日はスライムとゴブリンを倒せたので、今日は、オークを見つける事から開始している。今回はどんなお肉と出会えるだろうか?
『よだれ垂れてるぞ』
「これは、食い意地張ってるだけ」
『君、仮にも一応貴族だよね?』
「真面目な貴族として振る舞うのは、もう諦めた」
『いや、一応大事だと思うし、そこは諦めないで欲しいんだけど』
でもなあ、人には、適材適所があるし、時には諦めも肝心だ。
それに、俺は自由に生きる事が出来るということを知ってしまった。正直、以前の生活に戻れと言われても無理な気がする。
その時は、その時で諦めて我道を進もう。
--------------------------
34
お気に入りに追加
1,631
あなたにおすすめの小説
転生貴族のスローライフ
マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします
残滓と呼ばれたウィザード、絶望の底で大覚醒! 僕を虐げてくれたみんなのおかげだよ(ニヤリ)
SHO
ファンタジー
15歳になり、女神からの神託の儀で魔法使い(ウィザード)のジョブを授かった少年ショーンは、幼馴染で剣闘士(ソードファイター)のジョブを授かったデライラと共に、冒険者になるべく街に出た。
しかし、着々と実績を上げていくデライラとは正反対に、ショーンはまともに魔法を発動する事すら出来ない。
相棒のデライラからは愛想を尽かされ、他の冒険者たちからも孤立していくショーンのたった一つの心の拠り所は、森で助けた黒ウサギのノワールだった。
そんなある日、ショーンに悲劇が襲い掛かる。しかしその悲劇が、彼の人生を一変させた。
無双あり、ザマァあり、復讐あり、もふもふありの大冒険、いざ開幕!
美少女に転生して料理して生きてくことになりました。
ゆーぞー
ファンタジー
田中真理子32歳、独身、失業中。
飲めないお酒を飲んでぶったおれた。
気がついたらマリアンヌという12歳の美少女になっていた。
その世界は加護を受けた人間しか料理をすることができない世界だった
異世界でネットショッピングをして商いをしました。
ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。
それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。
これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ)
よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m
hotランキング23位(18日11時時点)
本当にありがとうございます
誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。
異世界転生したらよくわからない騎士の家に生まれたので、とりあえず死なないように気をつけていたら無双してしまった件。
星の国のマジシャン
ファンタジー
引きこもりニート、40歳の俺が、皇帝に騎士として支える分家の貴族に転生。
そして魔法剣術学校の剣術科に通うことなるが、そこには波瀾万丈な物語が生まれる程の過酷な「必須科目」の数々が。
本家VS分家の「決闘」や、卒業と命を懸け必死で戦い抜く「魔物サバイバル」、さらには40年の弱男人生で味わったことのない甘酸っぱい青春群像劇やモテ期も…。
この世界を動かす、最大の敵にご注目ください!
異世界でお取り寄せ生活
マーチ・メイ
ファンタジー
異世界の魔力不足を補うため、年に数人が魔法を貰い渡り人として渡っていく、そんな世界である日、日本で普通に働いていた橋沼桜が選ばれた。
突然のことに驚く桜だったが、魔法を貰えると知りすぐさま快諾。
貰った魔法は、昔食べて美味しかったチョコレートをまた食べたいがためのお取り寄せ魔法。
意気揚々と異世界へ旅立ち、そして桜の異世界生活が始まる。
貰った魔法を満喫しつつ、異世界で知り合った人達と緩く、のんびりと異世界生活を楽しんでいたら、取り寄せ魔法でとんでもないことが起こり……!?
そんな感じの話です。
のんびり緩い話が好きな人向け、恋愛要素は皆無です。
※小説家になろう、カクヨムでも同時掲載しております。
追放されたテイマー半年後に従魔が最強になったのでまた冒険する
Miiya
ファンタジー
「テイマーって面白そうだったから入れてたけど使えんから出ていって。」と言われ1ヶ月間いたパーティーを追放されてしまったトーマ=タグス。仕方なく田舎にある実家に戻りそこで農作業と副業をしてなんとか稼いでいた。そんな暮らしも半年が経った後、たまたま飼っていたスライムと小鳥が最強になりもう一度冒険をすることにした。そしてテイマーとして覚醒した彼と追放したパーティーが出会い彼の本当の実力を知ることになる。
異世界巻き込まれ転移譚~無能の烙印押されましたが、勇者の力持ってます~
影茸
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれ異世界に転移することになった僕、羽島翔。
けれども相手の不手際で異世界に転移することになったにも関わらず、僕は巻き込まれた無能と罵られ勇者に嘲笑され、城から追い出されることになる。
けれども僕の人生は、巻き込まれたはずなのに勇者の力を使えることに気づいたその瞬間大きく変わり始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる