転生無双なんて大層なこと、できるわけないでしょう！〜公爵令息が家族、友達、精霊と送る仲良しスローライフ〜

⭐︎6歳〜冒険者編⭐︎

普通だな

－side ラインハルト－


「いらっしゃいませ。ラインハルト様」
「こんにちは」


　求める武器職人像が高すぎる精霊達に遅れて入った鍛冶屋。
　公爵家の騎士であるアルバートのおすすめだけあって清潔感があり対応も丁寧だ。


　武器屋さんというと、ドワーフがいっぱいいてごちゃごちゃしている感じかなと思ってたけれど、そうでも無かった。ここは上流階級の人を相手にしているのだろう。多分、一般の冒険者が使う武器屋さんとはかなり違う。


「んーー……、まあまあね」
「あれとかは良いかもな」
「確かに。初心者に扱いやすそう」
「でも、あれだったら自分たちで作った方がよくない？」
「確かに、オリハルコン使ったらもっといいのできそう」
「だーかーらー！そんな材質使うから、お前らには頼まなかったのー！既製品でいいよ」
「ケチ」「ケチだな」「ケチだわ」
「うっ……、なんとでも言いな！」


　勝手に品定めする精霊達と話しながら、店内の商品をしばらく眺めていると、奥の応接室に通された。
　しばらく待っていると、鍛冶屋の主人らしき、ビシッとスーツを着こなした２０代後半くらいで黒髪黒目の整った顔立ちをしている大人が出てくる。


「ラインハルト様。本日は遠路はるばるようこそおいでくださいました。オーダーメイド製品をお求めとの事ですが、先にイメージを掴んでいただくために、事前にこちらをご覧ください。当店のカタログでございます」 
「わかりました」 


　そりゃそうだよな。ある程度ちゃんとした高級店だったら、いきなりオーダーメイドだから、こんな感じにして欲しいっていう前にカタログ見てもらうよな。
　もちろん、精霊達が作っていたような突拍子もない新素材で作られた新武器でも対応はしてくれるんだろうけど、今回欲しいのはあくまで“既製品の中では相当良い方の部類”に入る武器だ。なので、既製品のイメージをまず見せてもらった方が助かる。
　丁寧に手渡されたカタログを広げる。カタログには精緻なイラストと共に、様々な武器の詳細な説明が記されていた。 


　具体的にはこんな感じだ。


1. 万能の剣
   - 特徴: バランスの取れた剣で、使いやすさと威力の両方を兼ね備えている。適度な重量と切れ味があり、初心者から熟練者まで使える。
   - 魔法相性: 基本的な魔法との相性が良く、幅広い用途に対応。

2. 鋭利な弓
   - 特徴: 高精度な射撃が可能な弓で、調整が容易。軽量で扱いやすく、長距離射撃に適している。
   - 魔法相性: 軽い魔法効果を持ち、一般的な補助魔法との相性が良い。

3. 汎用の槍
   - 特徴: バランスが良く、多用途に使える槍。接近戦でも遠距離攻撃でも活躍できる。
   - 魔法相性: 基本的な魔法との相性が良く、様々な状況で使いやすい。

4. 重戦士の斧
   - 特徴: 強力な攻撃力を持ちつつも、扱いやすいサイズの斧。高い破壊力を持ち、広範囲の敵に対応。
   - 魔法相性: 一般的な物理魔法との相性が良く、打撃力を増強する。

5. 基本の短剣
   - 特徴: 軽量で扱いやすい短剣。近接戦や隠密行動に適しており、素早い攻撃が可能。
   - 魔法相性: 基本的な魔法との相性が良く、シンプルな効果を持つ。

6. 汎用な杖
   - 特徴:魔法の強度や属性を調整可能。初心者にも使いやすい。
   - 魔法相性: 幅広い魔法効果に対応し、適応力が高い。


「普通の武器だけど、色々あるなあ、なかなか面白い」
「普通だわ」「普通だな」「普通すぎる」
「だから、それを求めてるんだって！」


　ぶう垂れる精霊達をよそ目に、初めてしっかり学ぶ汎用武器の用途にワクワクする俺であった。


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