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3章⭐︎5歳中盤〜6歳⭐︎

パーティ閉幕の後

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-side ラインハルト-



 父上と別れた俺は、マーク、アルバート、ルイ、アメリア、ラリー、ラトリア、ルーカス、ソフィアと一緒に、みんなで、パーティ会場の様子が分かりやすく見れるような屋敷の中の場所にいた。
 おそらく、俺たちが何もしなくても、後の事は、父上がやってくれるだろうけど、それはそれ、これはこれ。父上を驚かせたいと思ったので、自分たちでも事前に準備していた作戦を実行しようという事になったのだ。


「兄上、例のものは準備してますか?」
「うん。隠蔽の魔法も大丈夫だと思う。」
「この日のために頑張っていましたもんね。
 きっと成功しますよ!」
「そうだね。」


 俺たちが対バン=トロールのために、事前に準備していた最強戦術--それは、闇魔法の隠蔽とドローンを使って上空からパトロールする方法だ。
 隠蔽は、初級魔法で、攻撃性がない魔法だ。だから、練習場所を選べたので、俺一人でも練習出来た。今回の特訓のおかげで、魔法を使うコツを少しは理解できたと思う。
 まだ、精霊達がいないところでの攻撃魔法は周りのものを、壊すのが怖くて出来ないが、収穫祭でも使った結界魔法を使ったように、攻撃魔法以外の防御や補助魔法で、着実に実力をつけてからでも遅くはないだろう。
 

「覚悟は出来たか?ラインハルト!」
「大丈夫。こっちは、どうせ失敗する前提で動いているから。」
「思う存分失敗してこい。」
「う、うん……、ありがとう?」


 思う存分失敗してこいは違うくないか?……ソフィアさん……と思ったが一応、応援はしてくれてるしなあと複雑な感情になる。というか、みんな失敗する前提っぽいのは、頼もしいけど、もうちょっと、期待してくれてもよくない?


「ラインハルト様。準備は完了いたしました。」
「うん。隠蔽。」


 俺が、隠蔽と唱えると、ドローンの姿が消える。そして、そのまま、会場の方へ向かった。ドローンのコントロールは、事前に打ち合わせをした結果、各自で行うことにした。
 そこ後も、計画通りに進み、敵のスパイを一網打尽に出来たのだった。



 ♢  ♢  ♢  ♢  ♢



 スパイが捕まえられたことで、大騒ぎになってしまったので、パーティは閉幕した。
 参加者には、お詫びの品として、洋服の名店ロッキンスのハンカチとネクタイを事前に用意していたので、満足して帰ったようにも思える。
 今、俺たちは、敵の事情聴取を終えた父上と合流し、関係者全員で、話し合いの場に参加した。--っと、あの人、さっき鑑定で国王って出た人だ。なんか、偉そうにせずに、普通に、何も知らなそうな顔をして、座っているけれど良いのだろうか?
 ま、まあ、ともかく、父上に今の現状を聞くことが先か。


「それで、敵の様子はどうだったのですか?父上。」
「ああ。非常に協力的だったよ。」
「協力的だった……?」
「うん、どうやら、彼、トロール王国の王子でも、捨て駒だったらしくてね。彼自体は善良で優秀な人だった。あの国も色々複雑だなあと思ったよ。詳しくは、バン君に直接聞いてみると良いよ」
「へーー?分かりました。」


 父上が、そう言うんだったら、そうなのだろう。我が家は公爵家。嘘を見抜く魔道具とか、自白剤とかも、持っているらしいから、事情聴取の制度はかなり高いはず。


「話は終わったか?」


 俺が、父上に、聞きたいことを聞いた後、口を開いたのは、なぜか、お忍びでパーティに参加して、バレたことを不機嫌そうにしている国王だった。いや、自業自得では?




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