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3章⭐︎5歳中盤〜6歳⭐︎

たまには休憩も必要だよな?

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-side ラインハルト-



 一般的な見栄を張りたい貴族の、誕生日会^の準備……それは多岐にわたる。
 服選びもそうだが、食事に、どのような音楽が流れるか、花のテーマカラー、どのような出し物をするか、などなどだ。
 もちろん、父上--エドワードはそう言ったものへの興味は皆無なので、ラッキー公爵家で、そういう面倒事の担当は母上である。
 弟のラリーと俺は、父上と同様に誕生日パーティとあってもグータラしていると言うのが慣例だった。
 普通に受け入れてしまっているけど、本当は非常に教育上良くないんだろうな、父上が作ったこの慣例。……うん。


 そういうわけで、本来なら、母上以外のみんなは、素通りする誕生日パーティだが、今回は異例の事態に発展しようとしていた。
 事前に、トロール王国のスパイが紛れ込んでいると言う情報が流れてきていたので、どうしたら見破れるのか、それに特化したパーティにしなければならないという課題は、運営陣である俺たちを非常に悩ませていたのだった。


 そんなわけで、今俺たちはカッコよく作られた作戦会議室で、画期的な案を……出せるわけもなく、俺の自室でマークとアルバートと一緒にいて、ルイに頼まれた新作魔道具であるドローンもどきを作りながら、休憩休憩~とか言いながら、結局ぐーたらしているのだった。
 ……なんだったんだ、これまでの前振りは?


「はあ……、ラインハルト様。いつもの感じで、いい感じの魔道具作って、トロール王国のスパイたち一網打尽にできませんかねえ?」
「アルバート……それが出来たら、今頃、世界中、大変なことになってるよ。スパイを発見する魔道具なんて危険すぎる。」
「そんな案が、思い浮かぶとか、お前も相当末期だよな。」
「うっ……、確かに……、ですが、ラインハルト様を相手が、トロール王国の連中と分かってて、引き合わせるなど、やはり納得はいきませんねえ。」
「それを言ったら、エドワード様なんて、昔トロール王国の冒険者ギルドで、暴れまくってたって話じゃねえか。」
「父上を例に出されたら、もはやなんでもありな気がするけど……。今の俺は、強さで言ったら、父上の足元にも及ばないからなあ。」
「お前も充分になんでもありだろ。」
「マークの言っている事も理解できますけどねえ。ラインハルト様はまだ子供なんですよ。戦闘経験があればいいですけど、もし、トロール王国のスパイと偶然戦う場面になって、公爵家の屋敷ごと吹っ飛ばしてしまったらどうするんすか!はあ……、本当にどうしましょう。」
「あ、そっちの心配?俺がトロール王国の連中にやられるとかじゃなくて?」
「はあ……、そんな心配するわけないじゃないですか。寝言は寝ていってください。」
「なんか、当たり強くなってね?」
「いや、これは、いつもの事だろ。」
「……。」


 それもそうだと、俺は魔道具作りに集中する。この、魔動ドローンは、かなり、画期的な魔道具になる予定だ。まあ、前世でもドローンは、画期的な代物だったから、今世でも、間違いはないだろう。


 さて。この魔動ドローンの説明を少ししたいと思う。元々、魔法というのは、近距離戦闘用の身体強化以外はほとんど遠距離戦闘用に使われるものがほとんどである。これは、威力的な問題ではなく、無詠唱であれ、詠唱であれ、イメージしてから撃つまでに、若干のラグがあるためだ。近距離戦で魔法は、よほど熟練した魔法使いでないと、扱うことができない。
 そんな、近距離よわよわな、魔法がなぜ重宝されているのかというと、簡単な話、遠距離でとてつもなく強く、便利だからである。
 なんせ、熟練の魔法使いでなくても結構遠くまで、魔法が届く。射程は、戦闘においてとても重要な要素であるから、近距離の弱さを無視してでも、軍やパーティに魔法使いを入れておきたいというのが、一般的な戦闘民族が考えている事である。
 そんな、ほぼ遠距離特化の攻撃方法である魔法の射程をこのドローンはさらに、長くしてしまおうと、考案したのが、この魔道具だ。


 それにしても、ルイは、俺が、構想を説明してから、わずか1週間で、試作品を作り上げるというとんでもないことをさらりと、成し遂げてしまったんだ……まったく、俺の婚約者はチートすぎる。


「さて、でも、こんなところで悩んでいるより、外に出た方が発見もあるでしょう。まずは、ラリー様のところへ行って色々聞いてみるのもアリではないですか?子供ならではの柔軟な発想が出てくるかもしれませんよ?」
「いや、アルバート。あの子、ああ見えて、大人びているし、結構えぐめのこと考えるタイプだよ?最近分かってきたけど。」
「だったら、この場合、尚更いいじゃねえか。餅は餅屋ともいうし、気晴らしにもなるし、行ってみようぜ!」
「うーん。そうか、そうだね。お顔は拝みに行きたいし、ルイにこれ渡し終わったら行こっかな。」
「そうですね。そちらはそちらで、首を長くしてお待ちでしょうし、完成したのであれば、早めに届けておくに越したことはないでしょう。」


 というわけで、次はルイとラリーに癒されに行く事にした。




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