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3章⭐︎5歳中盤〜6歳⭐︎

実力は本物らしい

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-side ラインハルト-



「それでは、開始したいと思いますわ。」
「うん。よろしく。」


 リーアは優雅な所作で、魔法陣が書いてある紙をセットする。魔法陣の研究するためには、魔法陣を起動するために専門の道具が必要である。
 それを初回で起動するためには、魔法陣に詳しい専門の人に来てもらわないといけない。大体が王立学園を優秀な成績で卒業して研究員になっている人である。


 リーアの場合、年齢的にマークと同い年くらいなので、飛び級して卒業した事になる。
 しかし、10歳くらいの少女が、高校を卒業して、研究か……世界は広い。
 それも、魔法などの素質に左右される騎士ならともかく、研究者で……。


 --ボォォォォ!


 そんな事を考えていると、突然彼女は魔法を使い出した。
 俺も伊達に精霊たちに鍛えられていないから分かる。
 相当繊細な魔力のコントロールが出来なければ、あの領域には達することは出来ないだろう。


「ラインハルト。魔法はああやって使うのよ?適当に魔力を込めて、打っていたら当たるものではないの。いい加減分かって欲しいものだわ。」
「わ、分かってるよ。それくらい!というか、俺が魔法のコントロールを出来ないのは、天然鈍感だからじゃない。
 --才能が無いからだ!」
「威張っていう事じゃないわよ。それ。」
「ぐぬぬ……正確にいうと洗礼の儀までは俺も結構才能あったんだからな。今たまたまないだけで。」
「過去の栄光ね。精進しなさい。」


 ぐう……、大人になるまでには、絶対魔法を上手く扱えるようになろう。


「ここをこうして……と。
 --はい、完成ですわね。」
「えっ!?もう終わったの?」
「はい。わたくし、作業は結構早い方なのですわ。」
「そ、そうなんだ。」


 --おかしい。こんだけの実力がある魔法陣学の教師が、こんなに早く、アポイント取れるなんて。
 いくらルイの知り合いだからと言っても、予約3ヶ月くらい埋まっていてもおかしくは無いはずなのに。


「ラインハルト。」
「ん?」
「あなた。やっぱり、天然鈍感ね。」
「へっ?」




 ♢  ♢  ♢  ♢  ♢




「ラインハルト殿。わたくしは、もう少し、ここにいたいですわ。」
「あっ。ですよね?えっと……、何が見たいとかありますか?
 こう……、調べたいこととか。」


 そう言うと、リーアはキョトンとしてこちらを見た。--この顔。まさかこの子まで、まだ、わたくしの目的に気づいていなかったのかしら?……とか思っていないよな?


「ラインハルト。お前、変なところで感が鋭いな!」
「えっ?ということは、おっ、思ってたんだ。」


 それはそれで、ショックだな。
 気づかない方が幸せだった。


「うーんと。そうですわね……、では、護衛の方々の訓練を見たいですわ。」
「……!それくらい別に構いませんけど……。あまり、面白いものではありませんよ?本当にいいんですか?」
「ええ。構いませんわ!むしろ、これが目的で来たと言っても過言ではありませんもの。」


 これが目的……、こんな少女が国の軍事関係者か?いや、これだけの魔法の実力なら、あり得るかもしれない。
 ルイの知り合いだから、悪い人では無いとは思うけど。……この人が来た目的、本当に思い当たらないな。


「では。案内いたしますね。」
「よろしくお願いいたしますわ。」




 ♢  ♢  ♢  ♢  ♢




-side 精霊たち-


「なあ。ラトリア。ソフィア。俺重要な事に気が付いたんだけど。」
「奇遇ね。あたしもよ。ようやく、分かったわ。」
「うちも。」
「あいつがこの件に関して、ここまで鈍感だった理由。それって、まさか--。」





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