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3章⭐︎5歳中盤〜6歳⭐︎

隠し部屋

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-side ラインハルト-



 ラッキーに着いていくと、そこには部屋いっぱいのお宝があった。


「うおっ。これはまた……!」
「金銀財宝ザックザクだぜ!
 ヒャッホ~!!うい~!!」
「いやあの……ルーカス。気持ちはわかるけど、反応が成金度高めなんだよな。
 もう少しこう、お淑やかにさ…。」


 一応うちは由緒正しき大貴族の家系なんだからな。一応。
 周りがお淑やかとは無縁過ぎて、最近貴族としての誇りを少し失ってきていることはこの際置いておこう。
 

「まあまあ。細かいことはいいじゃねえか!テンションぶち上げていこーぜ!うい~!」


 おっと?これは、カネに目が眩んで周りが見えてないな。注意した方が良さそう。
 いや待てよ…その前に記憶保存魔法で黒歴史フォルダの中に入れるか。
 タイトルはそうだな……。“テンションが上がるとついつい「うい~!!」と語尾につけてしまう新種のルーカス”と言ったところだろうか?うん。これでよしっと。
 

 そんなことを考えていた時、背後の何かに気づいた俺は反射的にその場を飛び退いた。
 次の瞬間、バッシーーーーン!!と言うと音と共にルーカスが壁に弾き飛ばされる。


「い、いってえ~。何もこんなにすることないだろ?」
「うるさい。ルーカス。調子に乗りすぎ。」
「だって、しかたな……。」
「あ?」
「は、はい!!ソフィア様!マイボス!」
「ありがとう。流石、ソフィアだ。
 ………ん?ソフィア?
 ラトリアじゃなくて?てっきり、叱り方の乱暴さ的にラトリアかと思ってた。」


 バッシーーーーン!!

 
「い、いっ……!な、なんで俺までーー!」
「自業自得よ。全く。公爵家次期当主のくせに情けないわね。」
「ぐ……ぐう。」




  ♢  ♢  ♢  ♢  ♢




『さてと、気を取り直してこの部屋のことを説明するとだな。ここにあるのは、我が主人の隠し資産だ。』
「は、はあ……。ん……??」


 そんなさらっと家庭の火種になりそうなヘソクリの存在を知らせれましても。
 思わず、一瞬反応が遅れてしまった。
 まあ、もはやいちいち気にしていても仕方がないか。色々驚き過ぎて、段々と感覚が麻痺してきた。
 俺の微妙な反応をスルーしてラッキーは話を続ける。


『我が獲得した資産も多いが基本興味ないからのう。適当に金目のものを持って帰っているうちに溜まっていったのだ。
 一緒に旅した時に手に入れたものも多いが、今でもたまにダンジョンを攻略した際に、ラスボスの部屋でドロップしたものを運んでくることはあるのう。
 いざとなった時、主人の資産が大いに越したことはないと思ってな。
 ……っと、ここにあるな。ほれ。』
「……っとと。これは?」
『うむ。それの使い方を説明する前に聞きたいのだが、お主戦うのはあまり得意ではないだろ?』
「う……いや、それはそうなんだけど。
 それがどうしたの?」


 改めてストレートに言われると、認めたくなさすぎるんだけどな。隠してもすぐバレて意味がないから認めるしかない。


『その道具はお主の戦闘面での弱点を補うものだ。まあ……使い方は戦いの時になったら分かるだろ。
 簡単に言うと、無駄に放出された魔力を貯めておける性質がその道具にはあるのだ。
 放出する時も自由に決められる。』
「え?そんな貴重なもの悪いだろ。」
『そうでもないから気にするな。
 お主をみるまで、我とてそんな道具誰が使うんだと思っておるくらい使い勝手のないアイテムだからの。』
「へ?」
『だって、そうだろ?わざわざ、初級魔法を放つのに上級魔法の魔力をこめる人間は世界中見渡してもお主ぐらいだからのう。』
「た……確かに?」
『むしろお礼にしては少なすぎるから、他のも選んでもらおうと思っているんだが。
 そうだな…お主に合いそうな武器を見繕ってやるとするか。
 我も伊達に長いこと生き、人間を沢山見てきたわけではないからのう。』
「ほ、本当?それはお言葉に甘えたいな。
 ありがとう。」


 強くなるためには、背に腹はかえられないというわけで、次は俺にあう武器探しをする事にした。




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