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3章⭐︎5歳中盤〜6歳⭐︎

マッキンリーの現状

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-side ラインハルト-



 さて……と。一晩休んだ俺らは昼食を食べながら、アランにこの町の現状を教えてもらうことになった。


「この町の課題は大きく分けて3つあります。具体的には---。」


 アランの話によると、マッキンリーでは、

 ①インフラが整っていない。
 ②防衛面での心配があるため人口が少ない。
 ③一部地域に香辛料が育っているが、それ以外のところは農業に不向きな土地。

 というわけで、当然その他の主要産業が全く育つ気配がないということだった。


 要するに、香辛料に依存したモノカルチャー経済ということだろう。
 元々マッキンリーは父上が魔物から奪った土地であるから、香辛料があるだけかなりましだろうとは思うが。


「他には、財政も大赤字ですし、災害対策もできていません。
 ですが、それらを挙げていてはキリがないのでこの3点に絞りました。」


 なるほど。マジックナンバー--つまり、要点を3点に絞ることで、分かりやすく説明したのか。
 この世界には、心理学も存在してないため、今のは完全に経験に基づく説明の仕方だろう。
 流石父上が特殊な領地のことを任せるだけあって、アランはとても優秀なようだ。


「とりあえず、3つの課題を1から順番に解決していけばよさそうですね。
 幸いにも人材は余ってますし。」


 なんせ、100人もいるのだ。
 というか、来てみてから気づいたけど、よくこんな田舎で100人も受け入れるところがあったな。
 きっと、父上が部下に無茶振りしたのだろう。恐ろしや……と思ったのだが、


「ええ。エドワード様が自らここにやってきて、約500人が滞在できる施設を作られたため、用意できました。」


 父上が自ら行ったようだ。そんなことやってる素振り見せてなかったのに。
 というかだ。あの人の体は何体あるんだろうか?
 とりあえず、そっちのことを考える方が恐ろしいのだろうということだけは分かった。


「それにしても、噂に聞いていた通りラインハルト様は聡明な方ですね。」
「え?」
「へ?」


 いきなり褒められた。というか、ルーカス。そこ一緒に驚くんじゃない。


「私の意図に気づいておられた。1から順番に行えば、上手くいくと示したことを。
 おそらく、わざと要点を絞ったことにも気づいていたしましたよね。」
「あ……ああ。なんだ、そんなことか。」
「そんなことが分からない上司はかなり多いのです。それを当たり前のようにやっている。流石ですね。」
「ありがとうございます。」


 おそらく、褒め上手であろうアランにベタ褒めされたけど、こういう時なんて返せばいいのかわからないな。
 ここは、素直に受け取っておこう。
 というかアラン。涼しい顔してさらっと毒吐いたな。
 十中八九近くにそういう上司が多いのだろう。公爵家の上司のことを俺にいうことはないだろうから…国の官僚のことだろうか?


 領地の現状の話はそこで一旦終わり、その後は和やかに昼食は進んでいった。


 明日から開拓の始まりである。
 まずはインフラの整備からだ。
 そのために明日は整備計画の方向性を話し合うことになった。
 どのようにこの町を発展させればいいのだろうかということを考える機会でもあるし、楽しみだなと思う。




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