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2章⭐︎辺境の町への道中⭐︎

誰も応援してくれないんだけど!?

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-side ラインハルト-



 目の前の化物《ゾンビドラゴン》が、俺に向かってくる。
 そして手を振り上げ、攻撃してきた。
 あ、死んだ。そう思った。


 --ガキン!


「なんだよー。避けろよな!俺の結界だって万能じゃねえんだぞー!」


 そうだった。結界があるんだった。
 いや、その前に俺を戦闘に参加させなければ、よかった話だけでは?


「”あのなー。そんなの今更だろ?
 あなたはだんだん戦闘狂になーる
 あなたはだんだん戦闘狂になーる”」


 ルーカスが、脳内に直接語りかけてくる。
 そういえば、俺って戦闘狂だったような……。


 --GRAAAAA!


「はっ……。って騙されないからな!」


 危ない危ない。


「……チッ!もうちょいだったのに。」


 全く……油断も隙もありゃしない。


 --ガキン!ガキンッ!


「ひっ……!」
「おーい。油断もしてると本当にやられちまうぞー!気をつけろー!」


(……!!油断させたのお前じゃねえか!)


 それにしても、こんな化け物どうやったら倒せるんだろう。


 さっきから、よけれはするのだがソンビドラゴンはアンデットなだけあって殴ってもすり抜けるんだよな。
 アンデット系の魔物との戦闘知識はないが、おそらく物理攻撃は効かないということだろう。


「あいつ……避けるのだけは見事だよな。」
「確かに。普段からエドワード様に鍛えられているからですかね。流石です。」


 護衛組が嫌な記憶を蘇らせてくる。褒められてるのに、全く褒められてる気がしない。
 それは一旦スルーしてだ。
 やっぱり、魔法で攻撃するしかないか。


 (ファイヤーボール)


 基本戦う時は、無詠唱が基本だ。その分威力は落ちるが、発動がはやくなる。


 --ドカン!


 よっし、命中。威力もいい感じだろう。


 --GRAAAA!!


「……!!効いてない!?」
「なかなかの攻撃ね。だけどあれでは、ゾンビドラゴンに効かないわ。ちょっとずつでいいから威力を高めてみなさい。」


 ラトリア先生。そんなこと言われたところで微細な魔力コントロールなんて、できないんですけど。


「できないんじゃないの!やるのよ!!」


 お、おう。想像以上に鬼教官らしい。
 やるしかないか。


 …………。
 ………………。


 しかし、そのあとも限界までファイヤーボールを喰らわせるが一向に倒れる気がしなかった。
 初級魔法では限界があると悟り、中級魔法に移行する。


(……というか、どんな魔法を使えば倒せるかくらい教えてくれたらいいのに。)


「それだと面白くないし、訓練にもならない。」


 どうやらうちの精霊達はみんな鬼教官らしい。しかも、はっきり面白くないことが1番の理由って言われた。


 火の中級魔法フレイムアローを放つ。
 中級魔法は初級魔法に比べて威力が高い代わりにコントロールが難しい。
 さっきから外す度に、精霊達に町の方向へ行くのを防いでもらっている。
 結構外しているが、たしかに外には1発も出ていない。
 本当に頼りになる。ゾンビドラゴンは倒してくれなさそうだけど。


 ちなみに、火属性魔法を使っているのは精霊達が魔法を止めやすいからとの配慮である。ラトリアは全属性、ルーカスは火属性、ソフィアは水属性だしな。
 3人の相性的にも俺が魔法を使う時は、火属性を使うのがいいということになったのだ。


 ドラゴンゾンビの攻撃をかわしながら、必死に魔法を放つ。


「がんばって。応援してるよ!」


 ルイ。流石は俺の婚約者。あなただけが唯一まともに応援してくれている。


「ゾンビドラゴンの素材は研究にも役立つからね。なるべく、綺麗な状態で倒してくれると助かる。」


 そうだった。そういえばこういう人だった。しかもさらっと、追加注文してきた。


「くっっそーーー。」


 四面楚歌の状態で俺はゾンビドラゴンに中級魔法を打ち続けるのであった。




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