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2章⭐︎辺境の町への道中⭐︎

まさかの……?

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-side ラインハルト-



 俺たちは声のする方向へ駆け出した。
 先頭はマークとアルバートの護衛組、俺はその後についていく形だ。


 しばらく走ると、やがて4匹の魔物が見えて来る。一つは明らかに異様な雰囲気を漂わせた異質な生物。


「なんだ……、あれは?」
「ゾンビドラゴン。」


 もう一つは3匹の白銀の狼っぽい何かだ。
 もっとも、この世界でも、前世でも狼を見るのは初めてだが。


「相手はフェンリルね。」
「……!!それってまずくない?」
「ええ、あんな化け物たちの戦闘に巻き込まれたら、ここの町は吹き飛びますね。」


 アルバートは焦った様子で言った。


「まあまあだな。俺たちはゾンビドラゴンとは相性いいし。」
「ゾンビドラゴンの方は大丈夫ね。
 魔法一発かませばいけると思うわ。
 問題はフェンリルの方ね。
 この気配相当な強者だわ。」
「うん、2匹とも強者という感じ。
 子連れだけど。」


 一方で精霊達は落ち着いているようだ。
 フェンリルは3匹いるが、明らかに1匹は小さかった。


「多分。親2人だと逃げられるけど、子連れだから倒さざるを得ないってことだと思うよ。」
「ああ。誰かを守りながら逃げるのは、ちとめんどくさいからな!」
「そうそう。」


 ルイもこんな時なのに冷静だ。


「なるほど。にしても、お前らなんであのフェンリルが強いってことわかったんだ?
 いや……、伝説の魔物だから当然かもしれないけどさ。」
「え?」
「ん?」
「あー、やっぱりか!」
「どういうことよ?」
「こいつは、雰囲気もステータスも亜神そのものだ。
 ただ、こいつからは強者の雰囲気がしねえ。つまりそういうこった!」
「あー。つまり戦闘経験が足りないと。」
「ようは、ただの雑魚。」


 グサッ……。どストレート。


「ちょうどいいな!おい、お前、ゾンビドラゴン相手に経験積んでこい!」
「へっ?」
「大丈夫だ!お前がもし魔法の威力を強めすぎても、俺らが結界魔法で町の方へ行くのを防げばいいだけだ。
 お前がゾンビドラゴンに、本当にやられたらまずいから、お前にも結界くらいは貼ってやる!」
「へっ?」
「あー。それいいわね。ゾンビドラゴンくらいだと、相手としてはちょうどいいかも?」
「へっ?」
「ラインハルトの場合、他の雑魚相手だと一撃で終わる。ゾンビドラゴン体だけは丈夫。
 たしかに最適。」
「へっ?」
「確かに精霊が常に見ているなら、これほど安全な初戦闘はないかもしれませんね。」


 ちょっ……。
 アルバートお前までそっち側に行ってしまったら行くしかなくなるんですけど……?
 相手は恐怖のゾンビドラゴンなんですけど……?そもそも、護衛の役目は?
 安全ってどこが?


「あー。確かにな。次の社交界前にこいつの勇姿を見て元気出すとするか!」


 それ根に持ってたのかよ。ごめんって。
 ほんと、ごめんって。


「グズグズしてないで、さっさといけ!!」


 --ドンッ!


 ルーカスに蹴られる。
 すると、俺の目の前にいきなり、得体の知れない黒くてでかい魔物が現れた。


「あ、死んだわこれ。……って!ふざけるなあああああああああ!!」


 こうして俺の初めての戦闘は幕をあけた。





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