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2章⭐︎辺境の町への道中⭐︎

市場巡り

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-side ラインハルト-



 この町での一番の宿はすごかった。
 まず飯もうまい。清潔。ドリンクなどのサービスも完璧。
 加えて、そこまで大きくない部屋で、トイレとお風呂が別々だった。


 補足すると、この世界では基本的に欧米の建築を採用していて、シャワールームとトイレが一緒の部屋なのだ。
 別に悪くはないのだが、やっぱり別れてた方が何かと便利だし、清潔感あるなあとは思う。
 もっとも、公爵家はお風呂がそもそも大きいから、もちろん別々だったが。


 町中の一般庶民が泊まれる場所でここまでのクオリティは素直にすごい。
 流石、ジェフが押すだけのことはある。


 さて、商業の町に来たということでこの機会にルイに何か贈り物をしたい。
 そのためにまずは一通りこの大きな市場を見て回ったほうがいいかなと思い、みんなで一緒に見に行くことにした。


 精霊と護衛とジェフという大商人を引き連れて、ゾロゾロ散策していくので、めっちゃ目立っているが、こういうところではむしろその方がいい。


 特に、俺の外見は6歳児。
 良い服を着ているので目をつけられることは確実だし、明らかに舐められるし、危険だからな。


 この世界の治安は日本ほど良くない。
 いや、日本が良すぎるからそれと比べてしまうのはダメなんだろうが。
 これには、理由がいくつかあるが、治安の良し悪しは警察が“いかに機能しているか”、であると思う。


 日本の警察はとても優秀だ。
 単純に人材の優秀さなら、どこの国の警察もかなり優秀な人材を使っていると思う。
 悪いことをした人を捕まえる組織には、優秀な人材を配置したいからだ。
 だから、そこではあまり差がつかない。


 では、どこで差がつくのかというと、組織力、交番や見張りの多さ、警察官になる人の民度や意識の高さなどだ。


 簡単にいうと、いつでも、どこでもトラブルが起きたら駆けつけたり、スピード違反したらすぐ捕まえる白バイがいたりするから、
 日本の治安はとてもいい。


 一方、この世界は衛兵や見回りの兵士はいても、交番みたいな常時どこからでも、まじめに見張るシステムは整っていない。
 その衛兵も、町が独自に雇っている衛兵なので、この国は比較的マシな方だが、やる気のない奴が大半である。


 しかしその分、怪しい店も多いし、活気も多いしで、治安は良くないが、
 この町にはこの町なりの雑然としたカオスな雰囲気が新鮮でとても印象的だ。


 決して美しい町というわけではないが、そこで生きる人々の逞しさを感じる。
 みんなで歩きながら市場を観察を観察してそう思った。


「ねえ、あそこの本屋ちょっと気になるんだけど。」


 すると、ラトリアが一見目立たなさそうな怪しげな本屋に反応した。




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