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1章⭐︎転生-5歳⭐︎

洗礼の儀式4

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-side ラインハルト-



「単刀直入に君をここに呼んだ理由を言おう。このバカが、君に力を与えすぎてしまって亜神になってしまったからなんだ。」
「うう……。すみません」
「は?いや、別にいいんですけど。」


 いきなり意味わからないこと言ってきた。
 そんな、ひょんなことから神になってしまいました。みたいなこと言われても…


「まあ、そうだよな。ところで、ラインハルト君はこの世界で神に一番近い存在はどの生物か知ってる?」
「古代竜《エンシェントドラゴン》ですよね。」


 この世界では常識的な話だ。


「ああ、そうだ。あれは元々、監視用のために、地上に置いている。
 神の力は地上には過ぎた力だ。
 だから、我々の眷属を配置し、代わりに見張っておいてもらっている。
 神の力の一部を分け与えているから神に近いんだ。」


 なるほど。人間や他に種族の生物が地上を荒らさないために監視をつけているのか。


「そう。で、ここからが問題なのだが、
 君を異世界に転生させた理由は、君が徳を積みすぎたせいで、地球に転生することがステータス上できなくなってしまったからなんだよ。
 地球上で魔力器官を持っている人間が生まれてくる可能性潰しといた方がいいといことで、こちらの世界へ来てもらったんだ。
 その分、君がこちらの世界に転生してもらう時も、少しだけ君を優遇しようと思ったんだ。
 こちらとしても、いい人間が力を持っていることが望ましいからね。
 詳しい理由は省くが、この世界の人間がこの世界に転生する時はそういうことはできないけど、異世界人だったらできる。
 だから、君に力を与えたのさ。」
「……なるほど」


 そんな詳しい話聞いてねえぞ。


「だろうね。本来はこちらの世界に来る時に説明するべきだったのだが、こちらの不手際ですまない」


 マテリは深々と頭を下げる。


「そんな、あなたが悪いわけではないので、顔を上げてください。」
「いや、部下のミスは上司の責任だ。本当にすまない。」


 これを言えるこの人は本当にいい上司なのだろう。
 さっきの、怒り方も部下への愛情の裏返しか。ちょっと印象が変わったな。


「そう思ってもらえるとこちらとしても助かる。
 さて、話を戻すと君は今、古代竜以上に神力を持っている。というか、もう神になっている。
 残念ながら、もう後戻りできないくらい力をつけてしまっていてね。
 早く伝えようと、教皇に信託まで出して、こっちの世界に来てもらったわけだ。
 神になったと言ったが、特段なにかをやるべきとかそういうのではないし、自分の生活を満喫してくれたらいいと思う。
 ただ、力の加減は気をつけてほしい。
 うっかり、この世界を破壊できるくらい君は力を既に持っているからね。」


 なんか、今恐ろしいことを聞いたんだけど。


「まあ君なら大丈夫だと思う。
 後で、ステータスボードで、確認して見てみるといい。この洗礼を以て、君の種族は神族となっているはずだ。
 今回は、完全にこちらの不手際だった。
 すまない。お詫びに我々から加護を与えている。」
「まあ、強くなり過ぎかもと思わなくもないが、君なら大丈夫だろう(笑)」


 キャンバスが笑って言った。……ん?それ、全然大丈夫じゃないやつですが?


「若干、不老不死にもなってたりもするけど、まあ君なら問題ないと思うよ(笑)」


 ノートも笑っていた。……んん??それも、結構聞き捨てならないような気がするんですが……?


 その時、突然光に包まれた。


「時間だね。今回は本当にすまなかった。この世界を存分に楽しんできてくれ。」


 創造神様が言った。


「いや、ちょっと。まっ……。
 適当すぎーー!」


 デジャブじゃねえかっ!




 ♢  ♢  ♢  ♢  ♢




 次に目を開けると、元の世界に戻っていた。ホッとしたと同時に驚きの光景が目に入ってくる。


 「……………。」


 柄にもなく、思わず絶句してしまった。
 教皇が平伏していたからだ。



 
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