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3章⭐︎新しい家族から学ぶ帝王学編⭐︎
温泉に行こうか
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-side リアム-
「エルフには、人間と違う固有魔法があることは知っておるじゃろう?」
「ええ。なんとなく。」
確か、精霊魔法と言って、自然の力を借りた魔法だと前にヘンリーが用意してくれた、自宅の家庭教師から習った気がする。
「その中に、世界樹を使って、家出をした子供を探す魔法があるのじゃ。それを使って、ヨルムンガルドを見つける事ができるはずじゃのう。」
「ほうほう。」
「この魔法……家出を繰り返す、エドを探すために、ワシが最近作ったんだがな、大変便利じゃということに気づいたのじゃ。それまでは、エドの暴走を抑えるのに苦労しとったからのう。」
「……。」
エド……お前、何してるんだよ。--っと思わず、ジト目で見る。
「仕方ないだろ。ポーションを売る先、みんな困っていたんだ。だから、ちょっと、人間の町に寄ろうかなと思って。」
おお。案外理由はまともだ。
だけど。
「ちょっとだけでも、……エドみたいな、美少年が一人で、人間の町に現れたら、速攻で攫われて奴隷になりそうだな。」
俺もそう思う。
「ヘンリーの言うとおり、丁度見つけた時に、賊に攫われかけておってのう。肝が冷えたわい。」
おうふ……それはそれは。
「あ、あいつらより、俺の方が強かったから、返り討ちに出来たらいいだろう!?」
「たまたまじゃ!たまたま!言っておくが、この中の誰かが、エドを攫おうとした場合、お前は誰にも勝てんのじゃ!」
「え……。」
ちらっと、俺の方を見る。
「うん。残念だけど、エドより俺の方が強い……かな?」
「う……うそ。お前、何歳だ?」
「5歳。今度、6歳になる。」
「お、……俺より、5歳も年下なのに……。」
おお、という事はノアと同い年か。
どちらも、金髪青眼の美少年だけど、向こうは隙がなさそうで、こっちは、よく言えば可愛げがある、言葉を選ばずに言うと、やんちゃで、危うい感じだな。
同い年でも種族と育ち次第で全然違った、道を歩んでいる事は、見ていてとても面白い。
「--っと、話が逸れてしまったな。
そういうわけで、ヨルムンガルド探しは可能だ。もっとも、見つかる保証はないのじゃがな。」
「分かりました。ありがとう。探すための魔法に、何か必要なことはありますか?」
「そうじゃな。できれば、ヨルムンガルドの身内のものがあればいい。出来れば体毛とか。」
「シルバーの毛とかでいいってことですか?」
「うむ。」
「もらうよ?」
『ああ。』
「んじゃ--って、ちょっと待って。
シルバー、お前汚くなってないか?」
『む?そ、そうでもなくないぞ?』
「ちゃんと、旅の間、水浴びしてる?」
『し、しているとも。』
「はい、ダウト。」
『うっ……。』
『俺も最近シルバーと一緒にいる事は多いが
水浴びしているところは、見た事ねえなあ。』
『うぬ……。』
だよねえ。ルーカスの証言もあるし、尻尾が明らかに垂れたところを見ると、シルバーは、水浴びが苦手なタイプのフェンリルだと言えるだろう。今まで、水浴びしていたのは、地味に我慢していたのかもしれない。
しかし、まあ、水浴びが苦手になったのは季節によるものも大きい。エルフの村はひんやりしているからな。
あと、お湯を[絶対食堂領域]で作った湯しか、作れないから、冷たい水しか浴びさせてなかった飼い主の俺にも問題はある。
後で、対策を考えよう。とりあえず……。
「シルバー。」
『う、うむ。』
「後で、お風呂、入ろうな。」
『う、うむ。分かった。』
「それでしたら、おすすめの場所があるのじゃ~。」
「お、本当ですか?」
「ちょうど、我らが普段瞑想する場所に、温泉が沸いている場所があるのじゃ。エドに案内させるのじゃ。」
温泉!この世界にもあるんだ!
入れてもらお!シルバーも喜びそう。
「エド、よろしく!」
「お、おう。」
「ついでに、エドに瞑想の仕方を習うと良いぞ。エルフの瞑想は気持ちが良いからのう。」
「本当ですか!そんなことまで、ありがとうございます!」
「お前……、そういうところ、実は結構分かりやすいタイプだな。」
「ふぉっふぉっふぉ。そういうところは、年相応でいいのう。」
う……、指摘されると、地味に恥ずかしいな。実年齢を考えると……やめとこうか。
「わしは、その間、夜ご飯の準備をさせてもらおうかの。瞑想が終わったら、来ると良い。精一杯おもてなしさせていただくのじゃ。」
「わっ!何から何までありがとうございます!」
温泉のあと、豪華なご飯かーー!
飯!飯!飯!
至れり、尽せりだな。楽しみだ!
「温泉より、ご飯派か。」
「そのようじゃの。」
おい。
当然のように心を読まないでください。
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「エルフには、人間と違う固有魔法があることは知っておるじゃろう?」
「ええ。なんとなく。」
確か、精霊魔法と言って、自然の力を借りた魔法だと前にヘンリーが用意してくれた、自宅の家庭教師から習った気がする。
「その中に、世界樹を使って、家出をした子供を探す魔法があるのじゃ。それを使って、ヨルムンガルドを見つける事ができるはずじゃのう。」
「ほうほう。」
「この魔法……家出を繰り返す、エドを探すために、ワシが最近作ったんだがな、大変便利じゃということに気づいたのじゃ。それまでは、エドの暴走を抑えるのに苦労しとったからのう。」
「……。」
エド……お前、何してるんだよ。--っと思わず、ジト目で見る。
「仕方ないだろ。ポーションを売る先、みんな困っていたんだ。だから、ちょっと、人間の町に寄ろうかなと思って。」
おお。案外理由はまともだ。
だけど。
「ちょっとだけでも、……エドみたいな、美少年が一人で、人間の町に現れたら、速攻で攫われて奴隷になりそうだな。」
俺もそう思う。
「ヘンリーの言うとおり、丁度見つけた時に、賊に攫われかけておってのう。肝が冷えたわい。」
おうふ……それはそれは。
「あ、あいつらより、俺の方が強かったから、返り討ちに出来たらいいだろう!?」
「たまたまじゃ!たまたま!言っておくが、この中の誰かが、エドを攫おうとした場合、お前は誰にも勝てんのじゃ!」
「え……。」
ちらっと、俺の方を見る。
「うん。残念だけど、エドより俺の方が強い……かな?」
「う……うそ。お前、何歳だ?」
「5歳。今度、6歳になる。」
「お、……俺より、5歳も年下なのに……。」
おお、という事はノアと同い年か。
どちらも、金髪青眼の美少年だけど、向こうは隙がなさそうで、こっちは、よく言えば可愛げがある、言葉を選ばずに言うと、やんちゃで、危うい感じだな。
同い年でも種族と育ち次第で全然違った、道を歩んでいる事は、見ていてとても面白い。
「--っと、話が逸れてしまったな。
そういうわけで、ヨルムンガルド探しは可能だ。もっとも、見つかる保証はないのじゃがな。」
「分かりました。ありがとう。探すための魔法に、何か必要なことはありますか?」
「そうじゃな。できれば、ヨルムンガルドの身内のものがあればいい。出来れば体毛とか。」
「シルバーの毛とかでいいってことですか?」
「うむ。」
「もらうよ?」
『ああ。』
「んじゃ--って、ちょっと待って。
シルバー、お前汚くなってないか?」
『む?そ、そうでもなくないぞ?』
「ちゃんと、旅の間、水浴びしてる?」
『し、しているとも。』
「はい、ダウト。」
『うっ……。』
『俺も最近シルバーと一緒にいる事は多いが
水浴びしているところは、見た事ねえなあ。』
『うぬ……。』
だよねえ。ルーカスの証言もあるし、尻尾が明らかに垂れたところを見ると、シルバーは、水浴びが苦手なタイプのフェンリルだと言えるだろう。今まで、水浴びしていたのは、地味に我慢していたのかもしれない。
しかし、まあ、水浴びが苦手になったのは季節によるものも大きい。エルフの村はひんやりしているからな。
あと、お湯を[絶対食堂領域]で作った湯しか、作れないから、冷たい水しか浴びさせてなかった飼い主の俺にも問題はある。
後で、対策を考えよう。とりあえず……。
「シルバー。」
『う、うむ。』
「後で、お風呂、入ろうな。」
『う、うむ。分かった。』
「それでしたら、おすすめの場所があるのじゃ~。」
「お、本当ですか?」
「ちょうど、我らが普段瞑想する場所に、温泉が沸いている場所があるのじゃ。エドに案内させるのじゃ。」
温泉!この世界にもあるんだ!
入れてもらお!シルバーも喜びそう。
「エド、よろしく!」
「お、おう。」
「ついでに、エドに瞑想の仕方を習うと良いぞ。エルフの瞑想は気持ちが良いからのう。」
「本当ですか!そんなことまで、ありがとうございます!」
「お前……、そういうところ、実は結構分かりやすいタイプだな。」
「ふぉっふぉっふぉ。そういうところは、年相応でいいのう。」
う……、指摘されると、地味に恥ずかしいな。実年齢を考えると……やめとこうか。
「わしは、その間、夜ご飯の準備をさせてもらおうかの。瞑想が終わったら、来ると良い。精一杯おもてなしさせていただくのじゃ。」
「わっ!何から何までありがとうございます!」
温泉のあと、豪華なご飯かーー!
飯!飯!飯!
至れり、尽せりだな。楽しみだ!
「温泉より、ご飯派か。」
「そのようじゃの。」
おい。
当然のように心を読まないでください。
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