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第二章 ガノ王国編

S級冒険者

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その後も順調に迷宮探索は進んだ。
地下11階は昆虫系エリアでボスはキラービーンという大型の蜂型モンスターだ。麻痺毒を吐き、お尻の針は即死級の毒を持っているようだった。素材は調合関係の者が多かった。
地下12階は蜘蛛のエリア。ボスがイルタランチュア。ここは何度も周回して機織り用の糸を大量に得られた。
地下13回も蜘蛛のエリアで、ここからは魔法をつかう魔物が出現するようになった。ボス戦はブラックタランチュアでA級素材のブラックタランチュアの糸も大量に得ることが出来た。
地下14階になると他の冒険者パーティーはいないようだった。B級と思われるパーティーは蜘蛛のエリアまでのようだ。糸関係は需要が高いのかもしれない。
地下15階になると、迷宮の高さがそれまでの3倍ほどになり、出現する魔物も大型な物しか出なくなる。この階層で初めて俺達の経験値の入りがよくなって、レベルアップが順調に進むようになった。最後のボス戦はいろんな種類のゴーレムが出現する。ドロップアイテムは鉄塊、ミスリル塊、アダマントか塊とそれぞれのゴーレムに応じたドロップアイテムだ。ミスリルゴーレムは割と出現したけど多彩な魔法攻撃を使ってくるので最初は少してこずった。しかし、俺が順次武器を揃えていくとほとんど相手にならなかった。アイアンゴーレムは完全なはずれなので瞬殺できたけど、アダマンタイトゴーレムは出現は稀だけど、一番手こずった。物理攻撃がほとんど通らないので魔法攻撃で倒すしかないんだけど、彩達が使える属性魔法では与ダメージ量が少なかったのだ。仕方ないのでアダマンタイトゴーレムの時だけは、全員俺特製の杖に持ち替えて、威力を倍増した魔法攻撃に切り替えることにした。
地下16階からは、ここまで出現していた魔物のコンボだ。エンカウント率も高くなるし、異なるタイプの魔物相手の戦闘で、連携の重要性を再認識させられた。ボス戦は複数が出現するようになった。
現在、この迷宮の到達済みの最下層の17階は、フィールドにここまでのボスが出るようになった。なるほど、大変ではあるんだろうけどね、今の俺達の敵ではない。アリスとミミも伝説級の武器、防具と比べても遜色のない装備をしているし、アクセサリーでいろいろ強化してるのでほとんど相手にならない。特に、皆の武器には麻痺と石化効果の出る魔法付与をしているので、3人の幸運値も影響しているんだけど、ボスモンスターにさせ、麻痺や石化を与えることが出来るようになっている。

「お兄ちゃん、この階も楽勝じゃない?このままボスも討伐しようよ。」

「そうだなー。あんまり目立ちたくないんだけどなー。」

「そんなこと言ってもS級冒険者になってるんだし、目立つなって言うのが無理じゃない?」

「そうなんだよなー。まさかSにすぐ上がるとは思わなかったからな。」

「あれだけレアアイテム換金したら当然だよ、お兄ちゃん。」

「でも多分、最下層到達したらこの街だけじゃなくて、他の場所にもいろいろ情報が伝わりそうだけどな。」

「その辺りは内緒にしておけばいいんじゃない?ほら、入口の兵士に報告しなかったら誰にも解らないんだろうし。」

「それもそうだけどな。目立って王宮とかに目を付けられると厄介かなって思ってね。」

「そろそろ二週間だっけこの国に来てから。」

「そうだな、そろそろ別の国に行ってみるか?もしかしたら勇者の情報も集まってるかもしれないし、一度ジュラムの商人の家に戻ってみたらいいし。」

「どこへ行くの?」

「うん、黒竜の谷の方へ行こうかと思ってる。古代遺跡があるって伝承があるみたいだし。」

「えー竜と戦うの?」

「避けられれば避けるけど、多分戦うことになると思うよ。でも今の俺達なら問題ないと思うけどな。」

「そうだけど、古代遺跡で何をするの?」

「一番の目的は情報収集だなこの世界の。後は使えるアイテムをゲットしたいしな。ともかく、ボス部屋へ行ってみるか。この程度で躓いてたら竜とかと戦えないしな。」

17階のボス部屋は、ボス2体とその配下モンスター2体ずつの合計6体との集団戦だった。

「先に配下の方を麻痺か石化したらボスに集中しよう。ボス2体のヘイトは俺に向けておくから、配下の処理が終わったらボス戦に参加してくれ。」

ボスはゴーレム系と、昆虫系。物理攻撃系と魔法攻撃系ってことなのかもしれない。いずれにせよ問題ない。俺はボス2体に初撃を与えて、ボスの攻撃をわざと受けた。こうすることでボスの注意は俺の方にだけ向くことになる。その間に彩達3人が配下モンスターを石化ないし麻痺させていく。

「先に昆虫系の方から。魔法防御と魔法攻撃があるから注意して。その後麻痺している配下の処理、石化モンスターは最後に。」

ボス部屋に入って5分後、無事に攻略が完了して転移水晶が出現した。宝箱からは身がわりのアンクレットというアイテムが出た。これはいいものだな。早速複製しよう。

18階に転移しるとそこは、明るく広大なドーム状の空間が広がっていた。ここは妖精系の魔物エリアみたいだ。ドーム状ではあるけど、森の中みたいに迷路状に通路が繋がっている感じだ。

その日いつものように冒険者組合でアイテムの換金をして貰ってた時、

「それでは、タクヤ様。こちらが本日の代金と明細でございます。それから、タクヤ様現在お住まいの物件の契約の更新は如何なさいますか?」

「あー更新は結構です。」

「えっ、あっ、別の物件を見つけられたんですね。若干生活に不自由な場所でしたし。」

「いえ、明日この街を出ようかと考えていますので。」

「えーっ、どこか別の迷宮へ行かれる予定ですか?」

「折角なので他の国も回ってみようかと考えています。」

「所属ギルドは、どちらかに変更することがお決まりなんでしょうか?」

「どう言うことでしょうか?」

「はい。S級冒険者の方は自由に冒険者ギルドの所属の変更が可能になります。先日昇格の際に申し上げなかったのは、所属変更するには正式に王国並びに全国の冒険者ギルドへ報告しなくてはならないために、タクヤ様の御意向に反するかと思いそのままにしておりました。申し訳ありません。」

「いえ、それは俺の方の都合もいいですし、おそらく上からの指示なんでしょう?済みません気を使って頂いて。ちなみに所属を変更することで何かメリットがあるんですか?」

「それは、S級の冒険者ともなりますと大変な戦力でございますし、所属しているギルドの発言力が増します。元々各国から独立している組織ですが、国によっては冒険者ギルドの力はまちまちですので。勿論、当ギルドはタクヤ様のことは外部に知らせておりませんのでその理由は当てはまりませんが、正直タクヤ様が安定的にレア素材を卸して頂けるのでギルドといたしましても大変利益を得ていますので、タクヤ様のお力をお借りしていることになります。」

「あーギルドのメリットというより、俺達冒険者側のメリットは?」

「申し訳ございません。そのようにS級冒険者と言うのはギルドにとって大変な利益に繋がりますので、ギルドに所属して頂く際に様々な特典を提示されると思います。現在、当ギルドにはA級冒険者のパーティーが1つありますが、S級に上がった場合にそのまま当ギルドに残って貰うことを条件にして、家や家隷などの無料で提供しております。その代わり今回のようにギルドからの指定のクエストに参加して頂いておりますが。」

「なるほどね。ちなみに無所属ってことも可能なんですか?」

「はい。S級冒険者は単体で小さな都市国家の軍事力に匹敵すると考えられますし、パーティーで竜の討伐すら可能と言われる戦力ですので、無所属どころか国を興すことも可能かと思います。」

「でも、S級って言っても冒険者ギルドで認定されたに過ぎない身分ですよね?」

「冒険者ギルドは、古代遺跡のレアアイテムを利用することによってその情報を管理しておりますが、お持ちになっている冒険者カードはステイタスカードと並ぶこの世界の絶対の身分証になります。S級冒険者の身分はこの世界のどこへ行っても通用する身分証になります。」

「いろいろと正直にありがとうございました。それでは無所属ってことで行動したと思います。ただし、俺はお姉さんのことを気に入りましたから、お姉さんがここにいる限り迷宮で得たアイテムをここでも換金したいと思います。いろんな場所に行ってみるつもりなのでこれまでみたいに毎日ではないですけどね。でも俺はこのギルドと言うよりお姉さんを信用することにしますので。あっ、家はもうしばらく使います。契約終了の日に鍵を渡しに来ますので。」

ドアの後ろで聞き耳を立ててるやつがいたし、あのままならお姉さんの立場が悪くなるだろうからね。お姉さんも自分がギルドを首になる覚悟で裏事情まで話してくれたっぽいし。

その後しばらく街を離れることになるので、食材や調味料、パンなどを大量に買い込んだ。トレーラーハウスはすでに亜空間領域に準備している。勿論風呂も完備だ。馬車で移動して、夜は亜空間領域で過ごす予定だ。ちなみに馬車の中で亜空間領域においているトレーラーハウスとつないでいるのでいったり来たり自由にできる。亜空間領域は入り口を閉じなければこっちの時間の流れがそのまま適応されるようだ。寝る時には馬を別の亜空間領域に収納して馬車自体に隠蔽と光学迷彩をかけていればまず問題ない。そもそも馬車自体に俺が新しく作った位相空間バリアを施しているから見えても誰も内部に入れないんだけどね。
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