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わたし、魔法少女らしくやれてますか(わたしはこんな感じでいいと思います)

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 わたしは、ワクワクしながらふり返る。
 期待を込めて、ふり返る。
 そしてふり返って、やっぱりガッカリする。
 うんざりしてきて、こころが萎える。
 せっかくワクワクしてたのに。
 もっと愉しめたらいいのになーなんて、そんなふうに思ってたのに。
 思ってただけだから。
 だから、裏切られたなんて思ってない。
 ただ、外れただけ。
 思ってたとおりに、いかなかっただけ。
 いつもどおりに。
 別に、わたしの感覚を、信じてなかったわけじゃない。 
 もちろん、教えてくたエグイアスを、疑ったりするわけない。
 それでもちょっと、ほんのちょっとだけ、違うといいいなと思ってた。
 期待を込めて、思ってた。
 でも、世界のすべて。
 それが現実。そこが現実。
 ないものねだりは、虚しいだけで意味がない。
 それどころか、哀ししくなるだけで実がない。
 それじゃあ、お腹はふくれない。
 どれだけ求めても、手に入ることは絶対ない。
 いくら欲しても、見つかることは決してない。
 それを、わたしはよく知っている。
 骨身にしみて、知っている。
 骨の髄まで、味わったから。
 嫌だと言っても、教え込まれたから。
 母がまだ、生きていたころに。
 わたしと一緒に、生きていたころに。
 だからわたしは、嫌というほどわかってる。
 それに、この状況は悪いことじゃないし、間違ってることでもない。
 むしろ、感覚どおり、教えてくれたとおりなんだから。
 合ってるし、良いことなんだから。
 ホントなら、喜んでれば、いいだけなのに。
 納得すれば、それで済むんだから。
 不平も不満も、ましてや文句なんて、言っていいことじゃない。
 こんなのただの、わたしのちっぽけなこころのズレ。
 わたしがどう思って、何を期待してたかなんて、そんなの小さなことなんだから。
 世界にとって、どうでもいいことなんだから。
 現実には、役にたたないことなんだから。
 いまはそんことよりも。
 そんなことの全部より。
 あたまを切り替えるほうが大事。
 こころを入れ替えるほうが大切。
 目の前にあることに。
 見えてることを、どうにかするほうが。
 目に映るこいつらで、どうやって愉しむかのほうが。
 よっぽど大事で、大切なこと。
 そして、そのために必要なことを、全部わたしに教えてくれる。
 やっぱりすごいね、エグイアス。
 こいつらの、数も、動きも、やり方も全部教えてくれたとおりだよ。
 わたしのと、ぴったり全部、同じだよ。
 変わらず全部、同じだよ。
 変われないから、全部、同じなんだよね。
 数は二人、後ろから並んで襲いかかってきて、大きく口を開けている。
 それしかないのか、とわたしは思う。
 それだけしかないのが、わたしのガッカリした理由。
 数はふたり。たったふたり。足もとのを入れても残りは三人。
 物足りないけど仕方ない。これはもう承知のうえだ。
 足りない分は、体でおぎなってくれればいいや。
 動きとやり方は、これまでとまったく同じ。
 いままでのあいつらと、あそこに積んでいったあいつらと。
 それが何よりも、うんざりとする原因。
 後ろから、並んで襲いかかって、大口を開けている。
 正直わたしもエグイアスも、いい加減見飽きてる。
 だから最後くらい、ちょっとでも違うことができるかなと、思ったけれど。
 おまえちには、無理みたいだね。
 でも大丈夫。
 まえに、母がちゃんとわたしに教えてくれた。
 面白き 事もなき世を 面白く。
 どんなつまらないことも、愉しくするやり方はあるって。
 すみなすものは 心なりけり。
 それをするのは、自分のこころ次第だって。
 だから、わたしらしくやればいい。
 やり方は、
 でもこの言葉、ずっと母のオリジナルだと思ってたけど、もともとは別の人の言葉だと、わたしは最近知りました。
 そんなつもりは全然なかったんだろうけど、引用元は教えておいてください。
 でないと、
 でも、教えてくれて感謝します。
 わたしはその言葉どおり、つまらないやつらを面白く変えることにする。
 自分が何より愉しむために。
 ふたりいるけど、ひとりずつやっていこう。
 そのために片っぽの頭を口ごと掴んで強引に閉じさせる。
 もう片っぽはエグイアスでと叩いて、脇にのけておく。
 それでも派手に吹っ飛んだけど、虫も殺せないくらい手加減したから、まだまだ五体満足残ってる。
 わたし虫を殺すのは大得意だけど、虫を殺さないで捕まえるのも結構得意なんだよね。
 あとでいろいろ使えるから。
 それよりごめんね、エグイアス。
 またわたしにつき合わせちゃって。
 全力、ださせてあげられなくて。
 でも、もうすこしだから。
 あとちょっとだけ、我慢してね。
 最後には思いっきり、本気でやらせてあげるから。
 さて、じゃあまずはこいつをどうするか。
 虫で思い出したけど、クラスの男子たちがよく、トンボやちょうちょの羽や体をむしって遊んでたっけ。
 あんな、わたしにはできないけで。
 こいつでやったら、どうなるのかな。
 こいつらは頭を潰さなと殺せない。
 じゃあ、、どうなるんだろう。
 これはちょっと、面白そう。
 早速試してみよう。
 わたしは口ごと頭を握り込まれて、うーうー唸るそいつの首を、と一気にむしり取る。
 その感触は、まえにりんごの実を感触と同じもの。
 生命をつんだと実感できる、あの感触そのままだった。
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