18 / 36
第17話 カラスがA級棋士と対局したら
しおりを挟む
「こんにちは!高村天地です」
「こんにちは!臼木真面目です」
画面に映った2人の男性が挨拶する。
現役のA級八段棋士である高村。タイトル獲得経験もあるトップ棋士の1人だ。将棋の普及にも力を入れており、その一環として早くから将棋をテーマとした動画の制作・公開に力を注いでいる。
アシスタントの臼木。アマチュア向けの将棋大会で何度も優勝しているアマ強豪棋士の1人だ。奨励会に所属していた経験もあり惜しくもプロ棋士(四段)とはなれなかったが、アマチュア強豪として普及や指導を担っている。高村からは「まじめさん」と呼ばれることが多い。
「まじめさん、今日は素敵なゲストをお迎えしました」
「ほほう、そうなんですね、どんな人なんだろう。いやあ、楽しみだなあ」
「人、だと思います?」
「えっ!違うんですか?」
2人は顔を見合わせて「プハッ」と噴き出す。
「まじめさん、笑っちゃダメですって」
「いやいや、先生も笑いを抑えられていないですよね」
臼木は高村を「先生」と呼んでいる。
「まあ、茶番はここまでにしましょうか」
「そうですね」
高村が「それでは、どうぞ!」と紹介する。
4人、もとい3人と一羽が登場した。
もはや将棋ファンにはおなじみの光景だ。
「カラスのクロと飼い主の馬場さんと鈴香ちゃん、そしてアマチュア強豪の佐倉さんです」
高村と臼木が拍手で迎える。
「よろしくお願いします!」
鈴香が元気よく、馬場と佐倉が丁寧にお辞儀した。やや遅れてクロが「クワア」と鳴く。
「棋士の橋田五段や富士林五段、女流棋士の愛媛四段らと激戦を繰り広げてきたクロの対局を見まして、ぜひ私も対戦してみようと思って今日はお呼びしました」
「なるほど、先生が棋士の方々のかたき討ちをしようと、しかし返り討ちになるかもしれませんね」
臼木の言葉に高村がのけぞる。
「嫌なことを言いますね」
「いや、あくまでも“かも”ですから」
話題がクロや鈴香へと移る。
「ところで鈴香ちゃんは研修会に入ったそうですね」
鈴香が「はい!」と答える。
「この前に初めて行ってきました。ちょっと時計とふん…ふいんき?に慣れなくって負けちゃいましたけど…」
高村と臼木は言い間違いに突っ込むこともなく「うんうん」とうなずく。
「最初は緊張しちゃうよねえ」
「持ち時間の使い方はコツがいるかもしれませんね。そう言えば先生も序盤や中盤に時間を使いすぎて、肝心の終盤に危なくなってますもんね」
「ぐっ…」
高村が大げさなリアクションで笑いを誘う。
「クロとは駒落ちで対局してるとか…?」
「はい、最近は2枚落ちなんですが、負ける方が多くって」
そこを佐倉がつなげる。
「クロの2枚落ちは厳しいですよ。私でも負けそうになることがあります。もっとも飛車落ちや飛香落ちで角があると、さらに厳しいんですけどね」
「アマ強豪の佐倉さんからも『厳しい』と言われると、ますますクロの実力が気になりますね」
「じゃあ、そろそろ対局してみましょうか」
画面が切り替わる。
高村と鈴香が駒を並べ終わると、2人を含めて周囲の人間の動きが止まる。
「クワァ」
クロが盤の横に降りると、右側の香車を加えて盤の横に置いた。
「右香落ちか…」
時間を少し戻そう。
クロと高村との対局の前に、鈴香、馬場、佐倉の3人に指導対局が行われた。
「せっかくなので、みんな平手で指しましょうか?」
高村の言葉で平手の3局が行われた。
「ここは考えどころですよ」
「うんうん、良い手ですね」
「あーっと、そう指すと危ないかも…」
「さあ、詰ませられるかな?」
高村の巧みなアドバイスもあって、鈴香、馬場、佐倉がそろって勝利した。
予定通りクロの前で。
さらに日付を戻そう。
鈴香達が高村を訪れる数日前、高村は佐倉と電話で打ち合わせをした。
「それじゃあ、事前に指導対局を指して平手で負けると…」
高村が確認すると、スマートフォンからすまなそうな口調で佐倉が話す。
「高村先生には本当に申し訳ないんですけれども」
「いや、クロの将棋を見る目については私も興味がありますし、問題ないです」
つまり事前の対局で高村がゆるーく指して負けて見せた場合、クロが高村に対してどのようなハンデを設定するかを試す目的があった。
そして今日、クロが選んだのは右側の香車を落とすハンデだった。
「右香落ちって、今じゃやらない形だよね」
馬場が佐倉に確認する。
「江戸時代にはちょくちょく差されたけど」
現代では左側の香車を落とす左香落ちが一番小さいハンデとなっている。
しかし江戸時代では左右どちらの香車を落とすか選ぶことが可能な場合があった。そのため右側の香車を落とした棋譜がいくつも残っている。一般的に左側の香車を落とした場合に対して右側の香車を落とした方が、飛車の援護が聞きやすい面や下手から攻められる場合が少ないこともあって、ハンデとしてやや小さいと見られている。
そして今日に戻る。
「対局中の言葉でクロは気づいてたのかな?ゆるーく指したってこと」
「クロがそこまで会話を理解していたとは思えないけど…」
2人の会話に臼木も参加する。臼木も指導対局でゆるーく指すことは聞いていた。
「それこそ何となくの雰囲気を感じていたんじゃないですか?」
佐倉が「そうかもしれない」と答える。
馬場が「気になることがあるんだけど…」と話し始める。
「高村八段と真面目さんの動画を何度も、いや、何十回もか、見てたんだよね。それでクロが高村八段の実力を見知ってたってことは無いのかなあ」
「うーん」
佐倉が首を傾げる。
「カラスが人間の顔を見分けるってのは聞いたことあるけどねえ」
臼木も悩ましい顔をする。
「A級順位戦の対局も見てました?」
馬場が「もちろん」とうなずいた。
「それなら、あるか…なあ」
3人は盤面へと視線を移した。
パチリ
コトン
パシッ
コトッ
右香落ちで始まった対局。
高村はクロの香車がない側をあからさまに攻めようとはせず、普通に飛車先を突いた後、相居飛車の形で駒組みを進めた。
それでも香車がない分、高村の玉が端から攻められる可能性は小さい。また、大駒を交換した後でクロ陣に打ち込める隙となる。
パチン
コトン
「「「クロから攻めた!」」」
臼木、馬場、佐倉の3人が同時に叫ぶ…もちろん小声で。
「高村先生に隙があったの?」
馬場に聞かれた佐倉がノートパソコンを操作しながら首を傾げる。
「うーん、どうだろう」
これまでの駒落ち、ただしハンデが大きめの場合、序盤からクロは積極的に攻め込んでくることが多かった。
しかし今回の右香落ちは小さめのハンデとあってか、飛車や角を動かしたり金銀を繰り替えたりして駒組が続いていたところ、いきなりクロが攻めかかった。
クロが攻め込んだ1つ前に高村が指した角引き。
佐倉のパソコンが示した形勢判断では大きな変動はなかったものの、クロが攻め込んだ1手の後はクロ側に少しだけ形勢が傾いた。
「200から300点ってところか…」
わずかにクロが指しやすい形勢。
つまり香車を落としたハンデはもはや無くなっていた。
パチッ
コトッ
ピシン
コトン
高村も頑強な受けを続ける。
クロの攻めと高村の受けが続いたところで、高村にわずかながら緩手が出る。
クロが「クワッ」とひと鳴きすると、持ち駒の銀を飛車の頭に打った。
「くっ!」
高村からうめき声が漏れる。
そのまま飛車で銀を取れば、続けて角を打ち込まれてしまい、さらに形勢が傾く。
しかし飛車が逃げれば、打った銀が高村陣に対して大きなくさびになる。
銀を飛車で取ってもダメ、銀から飛車が逃げてもダメ。と言って、飛車が取られる代わりに有効な指し手も見当たらない。
パチン
高村は考えた末に、飛車で銀を取って駒台に置いた。
コトン
クロは持ち駒の角を打ち込む。
「これは痛いなあ」
顔をゆがめた高村を代弁するように臼木がささやく。
馬場と佐倉が同時に「うんうん」とうなずいた。
パチッ
コトン
高村は飛車を自陣に引いて懸命に粘るが、それ以上にクロの手が厳しかった。
ピシッ
カタン
パチン
コトッ
クロが馬で王手をしたところで高村が「負けました」と投了する。
「ありがとうございました」
「クワクワッ」
鈴香とクロも頭を下げた。
「うーん」
腕組みした高村は目を閉じたまま顔を上に向ける。
「よし!」
目を開くと「もう一番!」と頼み込む。
「はい」
そう答えた鈴香と高村が駒を整える。
全て並べ終えたところで、クロが左側の香車を右側に置き直した。
つまり左香落ちとなる。
「うん、よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
「クワア」
高村が一礼すると、鈴香とクロも頭を下げた。
コトン
クロが角道を開ける。
パシッ
高村が飛車先の歩を突く。
カタッ
クロが角を斜めに動かす。
ピシッ
高村が再び飛車先の歩を突く。
コトン
クロが飛車を大きく動かす。
「向かい飛車か…」
先ほどと同様に馬場、佐倉、そして臼木の3人が見守る。
「銀落ちまで行かなかったってことは、クロが勝っても僅差だったと見たってこと?」
馬場の質問に佐倉が「…おそらく」と答える。
「何とか勝って欲しいけど、先生、ちょっと冷静さに欠けてるかもなあ」
臼木が悩まし気につぶやいた。
ピシリ
カタッ
パチン
コトン
局面はクロが向かい飛車から美濃囲いにすると、高村が居飛車のままミレニアムに囲った。
「形勢はどう?」
ノートパソコンを操作している佐倉に馬場が尋ねる。
「香車がいないのもあって中村先生にちょっと振れてるけど、元からソフトは居飛車が有利に出ちゃうからなあ」
パシッ!
ひときわ駒音が高く響く。
高村が歩を突いた。
「クワッ」
鳴いたクロは歩をくわえて駒台に乗せると、歩があったマス目に銀を進める。
パチン
コトン
ピシッ
コトッ
パチン!
さらに2枚の歩を突き捨てた高村は、大きく飛車を移動させた。
「まだ高村八段が有利だ」
モニターでは高村が有利の数値が続いている。
「飛車を動かした筋から攻めるつもりみたいだね」
「それが上手く行くかどうか…」
「ただ…」
臼木が心配そうにつぶやく。
「先生、どうも焦ってるみたいなんだよなあ」
パチッ!
高村の攻撃が始まった。
カタン
一方のクロはしっかり受けていく。
ピシリ
コトッ
パチン
カタッ
互いに角と銀を交換した。
先着して高村がクロ陣に角を打ち込む。
そのままクロの飛車を圧迫していく。
しかし、クロも角を高村陣の一段目に打ち込んで馬を作った。
「こうなると高村先生が厳しいなあ」
クロが高村陣にある桂馬や香車を取って持ち駒に加えた反面、高村は桂馬こそ取ったものの香車はない。左香落ちで元から盤面に存在しないからだ。
高村は香車を取らない分、クロ陣に一手早く迫るものの、馬に加えて銀と桂馬だけの攻撃では迫力不足。そこでクロ陣に歩を打って“と金”を作ろうとしたところで、手番の回ったクロが高村の玉に襲い掛かる。
コトン
ピシリ
カタッ
パチン
コトッ
馬を主体に銀、桂馬、香車の巧みな攻めは高村玉をすぐに受け無しに追い込んだ。
パチン
コトン
ピシリ
カタン
最後の勝負とばかりに高村もクロ玉に攻めかかるものの、クロの玉はスルスルと上部に脱出し、高村の王手が途切れる。
「負けました」
「ありがとうございました」
「クワア」
駒台に手を乗せた高村が深く頭を下げると、鈴香とクロも頭を下げた。
「うーん」
腕組みした高村は前局とは反対に盤面を睨み続けた。
「もう…1局…どうかな?」
高村がそう言ったところで、臼木がお茶を出した。
「先生、一服入れましょ」
「あ、ああ」
高村はお茶をひと口飲んで、「ふーっ」と深呼吸した。
さらに臼木がアドバイスする。
「あえて指し慣れている平手にしてみたらどうですか?」
高村も鈴香も納得したことで、先ほどまで外していた香車を含めて全ての駒が並べられた。
「クロ、平手だよ」
鈴香の言葉にクロは「分かった」と言わんばかりに「クワッ」と答える。
「鈴香ちゃん、振り駒をしてもらえるかな?」
「私がですか?」
「うん、お願い」
高村に頼まれて、鈴香は5枚の歩を両手で包んだ。
そのまま何度か両手を振って盤に広げる。“歩”が3枚、“と”が2枚出た。
「じゃあ、クロが先手で」
「はい」
5枚の歩を並べ直した鈴香はクロに「先手だよ」と伝える。
クロは「クワッ」と鳴いて頭を下げた。
「よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
高村と鈴香も挨拶したのを見て、クロは飛車先の歩を1つ上げた。
パチン
高村も飛車先の歩を突く。
コトン
クロは角道を開ける。
ピシッ
高村も角道を開ける。
カタッ
クロは飛車先の歩をもう1つ進める。
「どちらも居飛車か…な?」
佐倉がノートパソコンに入力していく。
「高村先生は居飛車党として、クロがどうするか…」
「クロはオールマイティーなんですよね」
臼木の問いかけに、馬場が「はい」と答える。
「最近は駒落ちが多かったので別として、平手の時は居飛車、振り飛車、どっちも指しています」
「何か傾向と言うか、棋風みたいなものはあるんですか?」
臼木に聞かれた佐倉と馬場が考える。
「強いて言えば、攻めっ気が強いってことかなあ」
馬場の言葉に、佐倉も「そうだねえ」と同意する。
「駒落ちの時に攻めてくるのは常だし、平手の時にも隙あらばって感じで攻めてきます」
「その隙が私のようなアマレベルでは隙に見えないのが困りものなんですが」
佐倉と馬場の感想に臼木も事前に貰っていた棋譜を思い出す。
3人が話しているうちに、局面は中盤へと突入していた。
パチン
コトッ
ピシリ
カタン
パシッ!
駒音高く高村が銀を中段へと進める。
そのまま攻撃に出ようとの意思表示だ。
しかしこの一手がクロの攻めを呼び込む格好になった。
コトン
歩で銀の進出を止めると思われたところ、クロは5筋の歩を突く。
パチン
その歩を高村は取って駒台に置き、自陣の歩を進める。
カタッ
クロは交換を目指して角をぶつける。
パチン
高村は角交換に応じた。
こうなるとどちらも攻め合いに向けて一直線の展開となる。
「どちらが読み勝っているか…」
佐倉のノートパソコンでは、ほぼ互角の形勢が続いている。
「ここに銀を出て…」
「それは飛車回りがあるから」
「いや、歩の叩きで止まるよ」
「角打ちの隙が大きいな」
「強く同玉と」
佐倉と臼木がノートパソコンを見つつ、今後の展開を探る。
2人と比較して棋力が追いつかない馬場は、もっぱら応援だ。
パチン
高村は飛車を出た。
そのままクロ陣に成り込みを狙った手ながら、クロが歩で受けると大きく転換して四方ににらみを利かせることができる。
一見、好手に思えたが…
「あっ」
佐倉が操作するノートパソコンの形勢判断の数値が動いた。
これまでほぼ互角だったものの、クロに300点ほど傾く。
「ただ、この手は…」
「人には指せない…かも」
モニターに表示された最善手は、クロの自陣に角を打つ手だった。
それで300点ほどクロが有利になる。
「でも辻井八冠なら」
「…確かに」
当代最強と呼び声の高い辻井八冠なら指せるかもしれない。
臼木と佐倉は同じように感じた。
クロは1分少々置いて、持ち駒の角をくわえた。
「「「あっ」」」
離れたところで観戦していた3人が同時に叫んだ。
コトン
クロが角を自陣に置いた。
もちろんソフトが示した最善手。
「うっ」
高村の顔がわずかにゆがむ。
飛車は成り込めるが、その後に多少手数は長めながらも飛車が捕まってしまう。
また成り込まずに宙ぶらりんなままの飛車では、逆にクロから攻められる目標になる。
これまで大威張りに思えた飛車が、クロの一手で負担になってしまった。
パチン
コトン
ピシリ
カタッ
その後は一手一手押される格好で形勢が傾いていく。
クロが95手を指したところで、高村が「負けました」と投了した。
「ありがとうございました」
「カアッ」
鈴香とクロも頭を下げた。
「どこが悪かったのか」
投了したままの盤面を見つめて高村がつぶやく。
「最初から並べてみましょうか」
「…そうだね」
鈴香の勧めに応じて、初手から並べ始める。
高村が飛車を出たところで、クロが「クワッ」と鳴いた。
「ソフトではその手が悪いと」
臼木の指摘に、高村が「そうか」応じる。
「じゃあ、最善手は?」
高村の問いに臼木が答えようとすると、クロが「カァ」と鳴いて高村陣の銀を斜めに動かした。
「…そう、それ」
クロはその一手だけ動かすと、鈴香の膝に飛び乗った。
その後はどんな局面にしてもクロが動くことは無かった。
「1手だけ使える棋聖みたいなものか」
棋聖とは、アプリ「将棋バトラー」にある機能の1つ。対局者に代わって高性能なソフトが指し手を進めてくれるものだ。単純に遊ぶのとは異なり有料な機能ではあるものの、ソフトの助力を得ることで大きく局面を有利に進めることができる。
「もう一局お願いしたいところだけど…」
高村の求めに鈴香が首を振った。
「クロは『疲れちゃった』って」
鈴香は持ってきたマシュマロをクロに食べさせた。
「…そうか、いや、ありがとう」
その後は和気あいあいとした雰囲気で動画の締めを撮影して予定を終えた。
「それじゃあ、公開が決まったら連絡するね」
「はい、楽しみにしています」
3人と一羽は高村八段のところを後にした。
帰り道で佐倉は対局におけるクロのスタミナを振り返る。
最初に朝草将棋クラブで自分達と指した時は続けて5局。
しかし疲れた様子はなかった。
次に橋田五段との対局は3局指した。
ただし朝草将棋クラブの場として時間の制限があったので2局。そして動画の収録で1局。
どちらも疲れた様子はなかった。
その後で申し込みのあった愛媛女流四段と富士林五段との対局。
どちらもクロは4局指して「疲れた」となった。
そして今日の高村八段とは3局指して「疲れた」となった。
相手によって力の入れようが違うのか。
それとも他に何かあるのか。
「うーむ」
クロの将棋を追いかけてきた佐倉にとっても分からないことばかりだった。
「こんにちは!臼木真面目です」
画面に映った2人の男性が挨拶する。
現役のA級八段棋士である高村。タイトル獲得経験もあるトップ棋士の1人だ。将棋の普及にも力を入れており、その一環として早くから将棋をテーマとした動画の制作・公開に力を注いでいる。
アシスタントの臼木。アマチュア向けの将棋大会で何度も優勝しているアマ強豪棋士の1人だ。奨励会に所属していた経験もあり惜しくもプロ棋士(四段)とはなれなかったが、アマチュア強豪として普及や指導を担っている。高村からは「まじめさん」と呼ばれることが多い。
「まじめさん、今日は素敵なゲストをお迎えしました」
「ほほう、そうなんですね、どんな人なんだろう。いやあ、楽しみだなあ」
「人、だと思います?」
「えっ!違うんですか?」
2人は顔を見合わせて「プハッ」と噴き出す。
「まじめさん、笑っちゃダメですって」
「いやいや、先生も笑いを抑えられていないですよね」
臼木は高村を「先生」と呼んでいる。
「まあ、茶番はここまでにしましょうか」
「そうですね」
高村が「それでは、どうぞ!」と紹介する。
4人、もとい3人と一羽が登場した。
もはや将棋ファンにはおなじみの光景だ。
「カラスのクロと飼い主の馬場さんと鈴香ちゃん、そしてアマチュア強豪の佐倉さんです」
高村と臼木が拍手で迎える。
「よろしくお願いします!」
鈴香が元気よく、馬場と佐倉が丁寧にお辞儀した。やや遅れてクロが「クワア」と鳴く。
「棋士の橋田五段や富士林五段、女流棋士の愛媛四段らと激戦を繰り広げてきたクロの対局を見まして、ぜひ私も対戦してみようと思って今日はお呼びしました」
「なるほど、先生が棋士の方々のかたき討ちをしようと、しかし返り討ちになるかもしれませんね」
臼木の言葉に高村がのけぞる。
「嫌なことを言いますね」
「いや、あくまでも“かも”ですから」
話題がクロや鈴香へと移る。
「ところで鈴香ちゃんは研修会に入ったそうですね」
鈴香が「はい!」と答える。
「この前に初めて行ってきました。ちょっと時計とふん…ふいんき?に慣れなくって負けちゃいましたけど…」
高村と臼木は言い間違いに突っ込むこともなく「うんうん」とうなずく。
「最初は緊張しちゃうよねえ」
「持ち時間の使い方はコツがいるかもしれませんね。そう言えば先生も序盤や中盤に時間を使いすぎて、肝心の終盤に危なくなってますもんね」
「ぐっ…」
高村が大げさなリアクションで笑いを誘う。
「クロとは駒落ちで対局してるとか…?」
「はい、最近は2枚落ちなんですが、負ける方が多くって」
そこを佐倉がつなげる。
「クロの2枚落ちは厳しいですよ。私でも負けそうになることがあります。もっとも飛車落ちや飛香落ちで角があると、さらに厳しいんですけどね」
「アマ強豪の佐倉さんからも『厳しい』と言われると、ますますクロの実力が気になりますね」
「じゃあ、そろそろ対局してみましょうか」
画面が切り替わる。
高村と鈴香が駒を並べ終わると、2人を含めて周囲の人間の動きが止まる。
「クワァ」
クロが盤の横に降りると、右側の香車を加えて盤の横に置いた。
「右香落ちか…」
時間を少し戻そう。
クロと高村との対局の前に、鈴香、馬場、佐倉の3人に指導対局が行われた。
「せっかくなので、みんな平手で指しましょうか?」
高村の言葉で平手の3局が行われた。
「ここは考えどころですよ」
「うんうん、良い手ですね」
「あーっと、そう指すと危ないかも…」
「さあ、詰ませられるかな?」
高村の巧みなアドバイスもあって、鈴香、馬場、佐倉がそろって勝利した。
予定通りクロの前で。
さらに日付を戻そう。
鈴香達が高村を訪れる数日前、高村は佐倉と電話で打ち合わせをした。
「それじゃあ、事前に指導対局を指して平手で負けると…」
高村が確認すると、スマートフォンからすまなそうな口調で佐倉が話す。
「高村先生には本当に申し訳ないんですけれども」
「いや、クロの将棋を見る目については私も興味がありますし、問題ないです」
つまり事前の対局で高村がゆるーく指して負けて見せた場合、クロが高村に対してどのようなハンデを設定するかを試す目的があった。
そして今日、クロが選んだのは右側の香車を落とすハンデだった。
「右香落ちって、今じゃやらない形だよね」
馬場が佐倉に確認する。
「江戸時代にはちょくちょく差されたけど」
現代では左側の香車を落とす左香落ちが一番小さいハンデとなっている。
しかし江戸時代では左右どちらの香車を落とすか選ぶことが可能な場合があった。そのため右側の香車を落とした棋譜がいくつも残っている。一般的に左側の香車を落とした場合に対して右側の香車を落とした方が、飛車の援護が聞きやすい面や下手から攻められる場合が少ないこともあって、ハンデとしてやや小さいと見られている。
そして今日に戻る。
「対局中の言葉でクロは気づいてたのかな?ゆるーく指したってこと」
「クロがそこまで会話を理解していたとは思えないけど…」
2人の会話に臼木も参加する。臼木も指導対局でゆるーく指すことは聞いていた。
「それこそ何となくの雰囲気を感じていたんじゃないですか?」
佐倉が「そうかもしれない」と答える。
馬場が「気になることがあるんだけど…」と話し始める。
「高村八段と真面目さんの動画を何度も、いや、何十回もか、見てたんだよね。それでクロが高村八段の実力を見知ってたってことは無いのかなあ」
「うーん」
佐倉が首を傾げる。
「カラスが人間の顔を見分けるってのは聞いたことあるけどねえ」
臼木も悩ましい顔をする。
「A級順位戦の対局も見てました?」
馬場が「もちろん」とうなずいた。
「それなら、あるか…なあ」
3人は盤面へと視線を移した。
パチリ
コトン
パシッ
コトッ
右香落ちで始まった対局。
高村はクロの香車がない側をあからさまに攻めようとはせず、普通に飛車先を突いた後、相居飛車の形で駒組みを進めた。
それでも香車がない分、高村の玉が端から攻められる可能性は小さい。また、大駒を交換した後でクロ陣に打ち込める隙となる。
パチン
コトン
「「「クロから攻めた!」」」
臼木、馬場、佐倉の3人が同時に叫ぶ…もちろん小声で。
「高村先生に隙があったの?」
馬場に聞かれた佐倉がノートパソコンを操作しながら首を傾げる。
「うーん、どうだろう」
これまでの駒落ち、ただしハンデが大きめの場合、序盤からクロは積極的に攻め込んでくることが多かった。
しかし今回の右香落ちは小さめのハンデとあってか、飛車や角を動かしたり金銀を繰り替えたりして駒組が続いていたところ、いきなりクロが攻めかかった。
クロが攻め込んだ1つ前に高村が指した角引き。
佐倉のパソコンが示した形勢判断では大きな変動はなかったものの、クロが攻め込んだ1手の後はクロ側に少しだけ形勢が傾いた。
「200から300点ってところか…」
わずかにクロが指しやすい形勢。
つまり香車を落としたハンデはもはや無くなっていた。
パチッ
コトッ
ピシン
コトン
高村も頑強な受けを続ける。
クロの攻めと高村の受けが続いたところで、高村にわずかながら緩手が出る。
クロが「クワッ」とひと鳴きすると、持ち駒の銀を飛車の頭に打った。
「くっ!」
高村からうめき声が漏れる。
そのまま飛車で銀を取れば、続けて角を打ち込まれてしまい、さらに形勢が傾く。
しかし飛車が逃げれば、打った銀が高村陣に対して大きなくさびになる。
銀を飛車で取ってもダメ、銀から飛車が逃げてもダメ。と言って、飛車が取られる代わりに有効な指し手も見当たらない。
パチン
高村は考えた末に、飛車で銀を取って駒台に置いた。
コトン
クロは持ち駒の角を打ち込む。
「これは痛いなあ」
顔をゆがめた高村を代弁するように臼木がささやく。
馬場と佐倉が同時に「うんうん」とうなずいた。
パチッ
コトン
高村は飛車を自陣に引いて懸命に粘るが、それ以上にクロの手が厳しかった。
ピシッ
カタン
パチン
コトッ
クロが馬で王手をしたところで高村が「負けました」と投了する。
「ありがとうございました」
「クワクワッ」
鈴香とクロも頭を下げた。
「うーん」
腕組みした高村は目を閉じたまま顔を上に向ける。
「よし!」
目を開くと「もう一番!」と頼み込む。
「はい」
そう答えた鈴香と高村が駒を整える。
全て並べ終えたところで、クロが左側の香車を右側に置き直した。
つまり左香落ちとなる。
「うん、よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
「クワア」
高村が一礼すると、鈴香とクロも頭を下げた。
コトン
クロが角道を開ける。
パシッ
高村が飛車先の歩を突く。
カタッ
クロが角を斜めに動かす。
ピシッ
高村が再び飛車先の歩を突く。
コトン
クロが飛車を大きく動かす。
「向かい飛車か…」
先ほどと同様に馬場、佐倉、そして臼木の3人が見守る。
「銀落ちまで行かなかったってことは、クロが勝っても僅差だったと見たってこと?」
馬場の質問に佐倉が「…おそらく」と答える。
「何とか勝って欲しいけど、先生、ちょっと冷静さに欠けてるかもなあ」
臼木が悩まし気につぶやいた。
ピシリ
カタッ
パチン
コトン
局面はクロが向かい飛車から美濃囲いにすると、高村が居飛車のままミレニアムに囲った。
「形勢はどう?」
ノートパソコンを操作している佐倉に馬場が尋ねる。
「香車がいないのもあって中村先生にちょっと振れてるけど、元からソフトは居飛車が有利に出ちゃうからなあ」
パシッ!
ひときわ駒音が高く響く。
高村が歩を突いた。
「クワッ」
鳴いたクロは歩をくわえて駒台に乗せると、歩があったマス目に銀を進める。
パチン
コトン
ピシッ
コトッ
パチン!
さらに2枚の歩を突き捨てた高村は、大きく飛車を移動させた。
「まだ高村八段が有利だ」
モニターでは高村が有利の数値が続いている。
「飛車を動かした筋から攻めるつもりみたいだね」
「それが上手く行くかどうか…」
「ただ…」
臼木が心配そうにつぶやく。
「先生、どうも焦ってるみたいなんだよなあ」
パチッ!
高村の攻撃が始まった。
カタン
一方のクロはしっかり受けていく。
ピシリ
コトッ
パチン
カタッ
互いに角と銀を交換した。
先着して高村がクロ陣に角を打ち込む。
そのままクロの飛車を圧迫していく。
しかし、クロも角を高村陣の一段目に打ち込んで馬を作った。
「こうなると高村先生が厳しいなあ」
クロが高村陣にある桂馬や香車を取って持ち駒に加えた反面、高村は桂馬こそ取ったものの香車はない。左香落ちで元から盤面に存在しないからだ。
高村は香車を取らない分、クロ陣に一手早く迫るものの、馬に加えて銀と桂馬だけの攻撃では迫力不足。そこでクロ陣に歩を打って“と金”を作ろうとしたところで、手番の回ったクロが高村の玉に襲い掛かる。
コトン
ピシリ
カタッ
パチン
コトッ
馬を主体に銀、桂馬、香車の巧みな攻めは高村玉をすぐに受け無しに追い込んだ。
パチン
コトン
ピシリ
カタン
最後の勝負とばかりに高村もクロ玉に攻めかかるものの、クロの玉はスルスルと上部に脱出し、高村の王手が途切れる。
「負けました」
「ありがとうございました」
「クワア」
駒台に手を乗せた高村が深く頭を下げると、鈴香とクロも頭を下げた。
「うーん」
腕組みした高村は前局とは反対に盤面を睨み続けた。
「もう…1局…どうかな?」
高村がそう言ったところで、臼木がお茶を出した。
「先生、一服入れましょ」
「あ、ああ」
高村はお茶をひと口飲んで、「ふーっ」と深呼吸した。
さらに臼木がアドバイスする。
「あえて指し慣れている平手にしてみたらどうですか?」
高村も鈴香も納得したことで、先ほどまで外していた香車を含めて全ての駒が並べられた。
「クロ、平手だよ」
鈴香の言葉にクロは「分かった」と言わんばかりに「クワッ」と答える。
「鈴香ちゃん、振り駒をしてもらえるかな?」
「私がですか?」
「うん、お願い」
高村に頼まれて、鈴香は5枚の歩を両手で包んだ。
そのまま何度か両手を振って盤に広げる。“歩”が3枚、“と”が2枚出た。
「じゃあ、クロが先手で」
「はい」
5枚の歩を並べ直した鈴香はクロに「先手だよ」と伝える。
クロは「クワッ」と鳴いて頭を下げた。
「よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
高村と鈴香も挨拶したのを見て、クロは飛車先の歩を1つ上げた。
パチン
高村も飛車先の歩を突く。
コトン
クロは角道を開ける。
ピシッ
高村も角道を開ける。
カタッ
クロは飛車先の歩をもう1つ進める。
「どちらも居飛車か…な?」
佐倉がノートパソコンに入力していく。
「高村先生は居飛車党として、クロがどうするか…」
「クロはオールマイティーなんですよね」
臼木の問いかけに、馬場が「はい」と答える。
「最近は駒落ちが多かったので別として、平手の時は居飛車、振り飛車、どっちも指しています」
「何か傾向と言うか、棋風みたいなものはあるんですか?」
臼木に聞かれた佐倉と馬場が考える。
「強いて言えば、攻めっ気が強いってことかなあ」
馬場の言葉に、佐倉も「そうだねえ」と同意する。
「駒落ちの時に攻めてくるのは常だし、平手の時にも隙あらばって感じで攻めてきます」
「その隙が私のようなアマレベルでは隙に見えないのが困りものなんですが」
佐倉と馬場の感想に臼木も事前に貰っていた棋譜を思い出す。
3人が話しているうちに、局面は中盤へと突入していた。
パチン
コトッ
ピシリ
カタン
パシッ!
駒音高く高村が銀を中段へと進める。
そのまま攻撃に出ようとの意思表示だ。
しかしこの一手がクロの攻めを呼び込む格好になった。
コトン
歩で銀の進出を止めると思われたところ、クロは5筋の歩を突く。
パチン
その歩を高村は取って駒台に置き、自陣の歩を進める。
カタッ
クロは交換を目指して角をぶつける。
パチン
高村は角交換に応じた。
こうなるとどちらも攻め合いに向けて一直線の展開となる。
「どちらが読み勝っているか…」
佐倉のノートパソコンでは、ほぼ互角の形勢が続いている。
「ここに銀を出て…」
「それは飛車回りがあるから」
「いや、歩の叩きで止まるよ」
「角打ちの隙が大きいな」
「強く同玉と」
佐倉と臼木がノートパソコンを見つつ、今後の展開を探る。
2人と比較して棋力が追いつかない馬場は、もっぱら応援だ。
パチン
高村は飛車を出た。
そのままクロ陣に成り込みを狙った手ながら、クロが歩で受けると大きく転換して四方ににらみを利かせることができる。
一見、好手に思えたが…
「あっ」
佐倉が操作するノートパソコンの形勢判断の数値が動いた。
これまでほぼ互角だったものの、クロに300点ほど傾く。
「ただ、この手は…」
「人には指せない…かも」
モニターに表示された最善手は、クロの自陣に角を打つ手だった。
それで300点ほどクロが有利になる。
「でも辻井八冠なら」
「…確かに」
当代最強と呼び声の高い辻井八冠なら指せるかもしれない。
臼木と佐倉は同じように感じた。
クロは1分少々置いて、持ち駒の角をくわえた。
「「「あっ」」」
離れたところで観戦していた3人が同時に叫んだ。
コトン
クロが角を自陣に置いた。
もちろんソフトが示した最善手。
「うっ」
高村の顔がわずかにゆがむ。
飛車は成り込めるが、その後に多少手数は長めながらも飛車が捕まってしまう。
また成り込まずに宙ぶらりんなままの飛車では、逆にクロから攻められる目標になる。
これまで大威張りに思えた飛車が、クロの一手で負担になってしまった。
パチン
コトン
ピシリ
カタッ
その後は一手一手押される格好で形勢が傾いていく。
クロが95手を指したところで、高村が「負けました」と投了した。
「ありがとうございました」
「カアッ」
鈴香とクロも頭を下げた。
「どこが悪かったのか」
投了したままの盤面を見つめて高村がつぶやく。
「最初から並べてみましょうか」
「…そうだね」
鈴香の勧めに応じて、初手から並べ始める。
高村が飛車を出たところで、クロが「クワッ」と鳴いた。
「ソフトではその手が悪いと」
臼木の指摘に、高村が「そうか」応じる。
「じゃあ、最善手は?」
高村の問いに臼木が答えようとすると、クロが「カァ」と鳴いて高村陣の銀を斜めに動かした。
「…そう、それ」
クロはその一手だけ動かすと、鈴香の膝に飛び乗った。
その後はどんな局面にしてもクロが動くことは無かった。
「1手だけ使える棋聖みたいなものか」
棋聖とは、アプリ「将棋バトラー」にある機能の1つ。対局者に代わって高性能なソフトが指し手を進めてくれるものだ。単純に遊ぶのとは異なり有料な機能ではあるものの、ソフトの助力を得ることで大きく局面を有利に進めることができる。
「もう一局お願いしたいところだけど…」
高村の求めに鈴香が首を振った。
「クロは『疲れちゃった』って」
鈴香は持ってきたマシュマロをクロに食べさせた。
「…そうか、いや、ありがとう」
その後は和気あいあいとした雰囲気で動画の締めを撮影して予定を終えた。
「それじゃあ、公開が決まったら連絡するね」
「はい、楽しみにしています」
3人と一羽は高村八段のところを後にした。
帰り道で佐倉は対局におけるクロのスタミナを振り返る。
最初に朝草将棋クラブで自分達と指した時は続けて5局。
しかし疲れた様子はなかった。
次に橋田五段との対局は3局指した。
ただし朝草将棋クラブの場として時間の制限があったので2局。そして動画の収録で1局。
どちらも疲れた様子はなかった。
その後で申し込みのあった愛媛女流四段と富士林五段との対局。
どちらもクロは4局指して「疲れた」となった。
そして今日の高村八段とは3局指して「疲れた」となった。
相手によって力の入れようが違うのか。
それとも他に何かあるのか。
「うーむ」
クロの将棋を追いかけてきた佐倉にとっても分からないことばかりだった。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
パパと息子のオタク談義
つづれ しういち
大衆娯楽
ここに、とあるパパと息子がいます。
息子の名前はタケシくん。いまは小学五年生です。
ふたりはちょっと見ると、どこにでもいそうな普通の親子。でも彼らはほんの少し風変わりな親子でもありました。
この物語では、読者のみなさんに、おもに彼らの普段の会話をのぞいていただこうと思います。
ではでは、風変りな親子のオタク談義、はじまりはじまり──。
※気が向くと更新します。
※小説家になろう、カクヨム、アルファポリスにて同時更新です。
男女比がおかしい世界に来たのでVtuberになろうかと思う
月乃糸
大衆娯楽
男女比が1:720という世界に転生主人公、都道幸一改め天野大知。 男に生まれたという事で悠々自適な生活を送ろうとしていたが、ふとVtuberを思い出しVtuberになろうと考えだす。 ブラコンの姉妹に囲まれながら楽しく活動!
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる