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【五章】仙人と魔物
二十五話* エダム×ルーシャン
しおりを挟む俺が振り向こうと上体動かせば、エダムも体を離して顔を見合わせてくれた。
しかし、その口元はニヤリと笑みを浮かべ、意地悪そうな表情をしている。
「エダム……?」
「さて、ルーシャン。今これからの話をしようか。そのネックレスがあればセックスを強制される事は無い。その上でルーシャンは何を望むかな?」
「……ん……っ」
首から鎖骨にかけてエダムの人差し指が俺の皮膚をなぞり、ゾクリとした感覚が襲う。
今じゃなくても抱かれる必要のない状況なんてすでにルービンの姿で経験済みだ。俺が心から抱かれたいなんてとっくにエダムも知っているだろうに。
それでもエダムが直接ルービンと接した訳ではない。だからこの状況が重要なのだ。俺が心からエダムを求める、嘘偽りのない言葉を欲している。
ここに来る前にエダムは初夜だからこそできることをしようと言った。その答えを考えた俺は、思い浮かんだ言葉を口にした。
「俺をエダムのお嫁さんに、して」
衣装の効果とは恐ろしいものだ。花嫁衣裳のせいで伴侶ではなくお嫁さんと口走ってしまった。それになんの抵抗も違和感もないのだから、身も心もメスだと言われても何一つ否定できない。
俺の言葉を聞き、満足気に目尻を下げたエダムは性急に唇を重ねてきた。
「は……あっ……んむ、ふっ……ん」
呼吸すら飲み込まれてしまいそうな深い口付けに脳が痺れてくる。唾液が零れるのもお構いなしで、エダムは俺の口内で舌を蹂躙する。
やはりエダムは上手いなと思う。敏感な器官を刺激され続けると、他の部分にまで疼きが伝播した。
触れられていないのにガチガチに張り詰めた性器も、少しずつ大きくなる乳首も、雄を求めて蠢く穴も、早く直接エダムに触れて欲しいと訴えている。
「んぁ……あ……エダム……」
「ふふ、ルーシャン、凄く蕩けた顔してる」
唇を解放したエダムは俺を抱き上げてベッドへ運び、皺ひとつ無いくらい綺麗に整えられたシーツに降ろされて波を作る。このままエダムが俺の上に来るのかと思いきや、何故か俺はクルリとうつ伏せにされた。
ん? と思う間もなく俺の両腕がどこからともなく取り出された枷に拘束された。その枷は白いリボンやレースなんかで飾られてて凝っている。ベッドの支柱に固定された鎖と繋がっていて、自分でベッドを降りる事ができないくらいの不自由さになった。
「な、なにこれ」
「僕との本当の初めてもこんな感じだったなって思ってさ」
「あぅっ」
エダムに後頭部を押さえつけられて俺の頬にシーツの感触が伝わる。
「ほら、腰上げて」
腰を引き上げられ、上体は下げたまま尻を突き出した姿勢になる。短いフワリとした素材が幾重にも重なるスカートは俺の下半身を守ってくれることなく下着を晒しているだろう。
下着もレースをあしらった純白のもので、いつもとは違って布面積がほとんどないタイプではない。だがこれも布があってもほとんど下着の役目は果たしていなかった。パックリと中心が割れていて、脱がすことなく挿入できる仕様だったから。
エダムはその割れ目から指を入れ、ヒクついている尻の中心を撫でた。
「ふあっ……」
「トロトロだ。あの時は痛がってたくらいなのに、肉体がこんなに変わっちゃうなんてね」
女のように濡れているそこにエダムの指が二本入り込む。それだけで俺の中は歓喜に打ち震えた。
「あ、あァッ……指、きもちい……」
「うん、丁寧に中を弄られるの好きだよね?」
「ああ、すき……スキッあ、ん……んぅ!」
指の腹で的確に俺の好きな場所を押し当ててくる。ゾワゾワと内側から快感が広がって汗が滲んだ。
エダムはグチュグチュと俺の中を掻きまわしながら、低い声で囁いた。
「ルーシャン。魔物化が進むにつれてどんどんエッチになっていったよね。今も十分エッチだけど少し理性が残ってる」
「そ、そりゃ……」
「うん。でもね、だからこそ僕はまた見たいなぁ。本能のまま男の性器を求めて、ルーシャンが滅茶苦茶に乱れるところが」
そう言ってエダムは指を引き抜き、自らのそそり勃つ性器の先端を俺の中心に当てた。
俺は餌を前にした飢えた獣みたいにハーハーと呼吸が荒くなる。毎日毎日教えこまれた快楽を期待して待ち望んでいる。
「あ……あ……」
「ふふ、ヒクヒクしてて可愛いね」
このまま一気に挿ってくると思ったのに、エダムの性器は俺の尻の狭間に滑らせるだけで一向に挿入しようとしなかった。
ヌルヌルと穴の上だけを刺激される感覚にもどかしくなって俺は素直に声をあげる。
「えだむ……ッ、いれて……早く……お願い」
「うーん。僕のお嫁さんにしては少し上品過ぎるかなぁ」
素直に求めたのに、エダムの中では不正解だったらしい。俺の願いは聞き届けられず、エダムは性器を尻から離した。
「ぇ……エダム……」
「そんなに物欲しげな声出すくらいなら思い出してよ、ルーシャンがどれだけはしたなく男を求めていたかを」
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