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博士の手記

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 私は人間の完全なクローンを作る実験に成功していた。

 そう、君を実験台にね。

 この世界の終わりは近い。私はそう実感していたのだ。しかし、いくらクローン技術を高めようとそこには「個性」は生まれない。

 このまま人類の再生を試みても、やがては独自性を失い、文明は生まれないまま再び人類は滅びる。

 そう、私はついに発見したのだ。人類存亡に必要な最後のパーツを。

 それは......愛だった。こうなってしまった今だが、彼女に本当の愛が芽生えれば、バックアップシステムは作動し、人類は救済されるはずだ。

 後は全て君に託したよ。人類の未来に栄光があらんことを。親愛なる君へ。
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