61 / 84
第7章 神の手のひらの上で
【61】神の膝下で
しおりを挟む
「あーあ…だから言ったじゃない」
寝転びながらモニター?らしき映像を見るボク。
そこには廃神殿で剣を手にするオーディンの姿が見えた。
コーラとファンタグレープを飲みながらポテチ(もちろん うすしお味!)とぼんち揚を貪り食うボクの横には恐怖に震える神様がいた。
そう、ここは神にはじめて出会った空間だ。
「ねぇ?カラムーチョも欲しいんだけど。あ、細長いやつね?ひらべったいのはダメだよ」
指先を舐めながら言うが神は聞いていないかのようにモニターに釘付けだ。
「そんなバカな…歴史が変わるじゃないか」
モニターの中でオーディンが自死しようとしているようだ。
神に向かって叫ぶオーディン、はぁ モニター越しでもカッコヨス。
あれは数時間前…
タイマーが0になった瞬間、やっぱりボクは死んだようだ。
気づくとボクはここにいて、目の前にはふんぞり返った神がいた。
「こんな簡単な勝負なのにまさか勝てるとはな」憎ったらしいことこの上ない。
だけどボクは悔しくなかった。だって勝負よりも何よりもオーディンに出会えて愛し愛されたことのほうが大事だったからだ。
「そうだね、エーリスにいた頃はボクもまさか負けるとは思ってなかったよ」
コーラを飲み干した。くぅーっ!この久々の喉越しタマラン!
高笑いをしながら喜び、じゃあさっさと次の輪廻の渦に飲み込まれろと言う神に1つの提案をした。
「オーディンが自死しないか心配だから、もうちょっとだけここにいさせて?」と。
すると神は
「そんな心配はいらない。この男の未来は歴史で決まっていて、これから大偉業を成して86歳になるまで死なないから」だって。ホントかなぁ…
だったら―――
「勝負しない?今日中にオーディンが死のうとしたらボクの勝ちで、そのときはボクのお願いきいてくれるってことで。今日中に死ななかったら神の勝ちでボクは輪廻に飲まれるよ、どう?」
「なんだその勝負は、歴史で決まってるって言っただろ?この男は死なない」
「だったらいいよね?勝負しよ」
こうして始まった神との2回戦、ボクは負ける気はしなかった。
歴史で決まってる?そんなことは知らない。けどボクはオーディンがどういう男かを知ってる。
できれば後追い自殺なんてさせたくないと色々布石は打っておいた。遺書にも書いた。
だけどね…
やっぱりオーディンは熱烈ストーカーなんだよ。いつまでたってもシルヴァリオンマニアで頭の中は常にボクでいっぱいなんだ。本人はバレテないつもりだろうけど、皇子宮の一室にボクに関するコレクション部屋を造ってるのも知ってる。そこにはボクが地面に落とした綿あめの残骸や初めてのデートの時に履いてた靴や変装に使ったカツラ、一体誰が隠し撮りしたのか学園でのボクの様子が写された写真などが所狭しと並べられてるんだ。ボクが少しでも触れたもの、脱いだ服も山盛りだよ?
死ななければそれでいい。そのほうがいい。
そしたらここでオーディンが86歳になるまでゴロゴロして待ってよう。負けたら輪廻の渦に飲み込まれる約束?そんなことシラネ。オーディンがここに来るその日までぜーーーーったいに動かないんだから!
モニター(?)の中のオーディンが神に向かって剣を振り上げたのが見える。
『私の最愛のシルヴァリオンがお前との勝負を捨てて私を選んでくれたというのに…』
アレー?知ってたの?なんでも知っててボクちょっと怖いよ…
『神だかなんだか知らぬがお前を決して許しはしない』
ヒィッ…隣で小さな悲鳴が上がる。ねぇ?カラムーチョまだぁ?
『待っていろ…今スグそっちに行って、お前を殺す。そしてシルヴィを取り戻す!』
ヒャァ!!ちょっと抱きつかないでよ!ボクこう見えても人妻なんだしっ!
「たっ、たすけて…!この人ここに来て私を殺すって言ってる!」
ウン、そうだね言ってるね。
「オーディンの記憶からボクを消すとか出来ないの?いなかったことにするとか」
「そんな高等技術まだ習ってない!あわわわわ剣で胸を刺そうとしてるよ?なんでだ!歴史っ!!変わっちゃう!怒られるよ!?」
あわてふためく神。威厳なさすぎてワラウ。
「その前にココに来たオーディンに殺されるんじゃ?ボクはスグに会えて嬉しいけど死ぬ瞬間は見たくないなぁ、痛そうだし」
寝そべったまま空になったポテチの袋を口につけ傾けるがもうカスすらなかった。ちぇ、おかわりちょーだい今度はコンソメパンチでね!
「やめ…!あーっ!!帰れ!お前スグにあの体に帰れ!」モニターとボクを交互に指差す神。
「えーもう2回も死んだのに…じゃボクの勝ちってことでOK?お願い聞いてくれる?」
「聞くっ!なんでも聞くからっ!」
ふわっと体が持ち上がったと思ったら、ものすごい勢いでどこぞに飛ばされた。
あぁ、大好きなファンタグレープよ、さようなら…。
こうしてボクは神との勝負にようやく勝てた。
心残りはカラムーチョ…まぁいいや、またあの店主と二人で研究してソックリなのを作ろうっと。
寝転びながらモニター?らしき映像を見るボク。
そこには廃神殿で剣を手にするオーディンの姿が見えた。
コーラとファンタグレープを飲みながらポテチ(もちろん うすしお味!)とぼんち揚を貪り食うボクの横には恐怖に震える神様がいた。
そう、ここは神にはじめて出会った空間だ。
「ねぇ?カラムーチョも欲しいんだけど。あ、細長いやつね?ひらべったいのはダメだよ」
指先を舐めながら言うが神は聞いていないかのようにモニターに釘付けだ。
「そんなバカな…歴史が変わるじゃないか」
モニターの中でオーディンが自死しようとしているようだ。
神に向かって叫ぶオーディン、はぁ モニター越しでもカッコヨス。
あれは数時間前…
タイマーが0になった瞬間、やっぱりボクは死んだようだ。
気づくとボクはここにいて、目の前にはふんぞり返った神がいた。
「こんな簡単な勝負なのにまさか勝てるとはな」憎ったらしいことこの上ない。
だけどボクは悔しくなかった。だって勝負よりも何よりもオーディンに出会えて愛し愛されたことのほうが大事だったからだ。
「そうだね、エーリスにいた頃はボクもまさか負けるとは思ってなかったよ」
コーラを飲み干した。くぅーっ!この久々の喉越しタマラン!
高笑いをしながら喜び、じゃあさっさと次の輪廻の渦に飲み込まれろと言う神に1つの提案をした。
「オーディンが自死しないか心配だから、もうちょっとだけここにいさせて?」と。
すると神は
「そんな心配はいらない。この男の未来は歴史で決まっていて、これから大偉業を成して86歳になるまで死なないから」だって。ホントかなぁ…
だったら―――
「勝負しない?今日中にオーディンが死のうとしたらボクの勝ちで、そのときはボクのお願いきいてくれるってことで。今日中に死ななかったら神の勝ちでボクは輪廻に飲まれるよ、どう?」
「なんだその勝負は、歴史で決まってるって言っただろ?この男は死なない」
「だったらいいよね?勝負しよ」
こうして始まった神との2回戦、ボクは負ける気はしなかった。
歴史で決まってる?そんなことは知らない。けどボクはオーディンがどういう男かを知ってる。
できれば後追い自殺なんてさせたくないと色々布石は打っておいた。遺書にも書いた。
だけどね…
やっぱりオーディンは熱烈ストーカーなんだよ。いつまでたってもシルヴァリオンマニアで頭の中は常にボクでいっぱいなんだ。本人はバレテないつもりだろうけど、皇子宮の一室にボクに関するコレクション部屋を造ってるのも知ってる。そこにはボクが地面に落とした綿あめの残骸や初めてのデートの時に履いてた靴や変装に使ったカツラ、一体誰が隠し撮りしたのか学園でのボクの様子が写された写真などが所狭しと並べられてるんだ。ボクが少しでも触れたもの、脱いだ服も山盛りだよ?
死ななければそれでいい。そのほうがいい。
そしたらここでオーディンが86歳になるまでゴロゴロして待ってよう。負けたら輪廻の渦に飲み込まれる約束?そんなことシラネ。オーディンがここに来るその日までぜーーーーったいに動かないんだから!
モニター(?)の中のオーディンが神に向かって剣を振り上げたのが見える。
『私の最愛のシルヴァリオンがお前との勝負を捨てて私を選んでくれたというのに…』
アレー?知ってたの?なんでも知っててボクちょっと怖いよ…
『神だかなんだか知らぬがお前を決して許しはしない』
ヒィッ…隣で小さな悲鳴が上がる。ねぇ?カラムーチョまだぁ?
『待っていろ…今スグそっちに行って、お前を殺す。そしてシルヴィを取り戻す!』
ヒャァ!!ちょっと抱きつかないでよ!ボクこう見えても人妻なんだしっ!
「たっ、たすけて…!この人ここに来て私を殺すって言ってる!」
ウン、そうだね言ってるね。
「オーディンの記憶からボクを消すとか出来ないの?いなかったことにするとか」
「そんな高等技術まだ習ってない!あわわわわ剣で胸を刺そうとしてるよ?なんでだ!歴史っ!!変わっちゃう!怒られるよ!?」
あわてふためく神。威厳なさすぎてワラウ。
「その前にココに来たオーディンに殺されるんじゃ?ボクはスグに会えて嬉しいけど死ぬ瞬間は見たくないなぁ、痛そうだし」
寝そべったまま空になったポテチの袋を口につけ傾けるがもうカスすらなかった。ちぇ、おかわりちょーだい今度はコンソメパンチでね!
「やめ…!あーっ!!帰れ!お前スグにあの体に帰れ!」モニターとボクを交互に指差す神。
「えーもう2回も死んだのに…じゃボクの勝ちってことでOK?お願い聞いてくれる?」
「聞くっ!なんでも聞くからっ!」
ふわっと体が持ち上がったと思ったら、ものすごい勢いでどこぞに飛ばされた。
あぁ、大好きなファンタグレープよ、さようなら…。
こうしてボクは神との勝負にようやく勝てた。
心残りはカラムーチョ…まぁいいや、またあの店主と二人で研究してソックリなのを作ろうっと。
22
お気に入りに追加
1,871
あなたにおすすめの小説
全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話
みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。
数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品
完結・虐げられオメガ妃なので敵国に売られたら、激甘ボイスのイケメン王に溺愛されました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
嫁側男子になんかなりたくない! 絶対に女性のお嫁さんを貰ってみせる!!
棚から現ナマ
BL
リュールが転生した世界は女性が少なく男性同士の結婚が当たりまえ。そのうえ全ての人間には魔力があり、魔力量が少ないと嫁側男子にされてしまう。10歳の誕生日に魔力検査をすると魔力量はレベル3。滅茶苦茶少ない! このままでは嫁側男子にされてしまう。家出してでも嫁側男子になんかなりたくない。それなのにリュールは公爵家の息子だから第2王子のお茶会に婚約者候補として呼ばれてしまう……どうする俺! 魔力量が少ないけど女性と結婚したいと頑張るリュールと、リュールが好きすぎて自分の婚約者にどうしてもしたい第1王子と第2王子のお話。頑張って長編予定。他にも投稿しています。
平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
Switch!〜僕とイケメンな地獄の裁判官様の溺愛異世界冒険記〜
天咲 琴葉
BL
幼い頃から精霊や神々の姿が見えていた悠理。
彼は美しい神社で、家族や仲間達に愛され、幸せに暮らしていた。
しかし、ある日、『燃える様な真紅の瞳』をした男と出逢ったことで、彼の運命は大きく変化していく。
幾重にも襲い掛かる運命の荒波の果て、悠理は一度解けてしまった絆を結び直せるのか――。
運命に翻弄されても尚、出逢い続ける――宿命と絆の和風ファンタジー。
ハイスペックストーカーに追われています
たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!!
と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。
完結しました。
【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」
洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。
子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。
人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。
「僕ね、セティのこと大好きだよ」
【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印)
【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ
【完結】2021/9/13
※2020/11/01 エブリスタ BLカテゴリー6位
※2021/09/09 エブリスタ、BLカテゴリー2位
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる