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ビターな愛を召し上がれ

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    ○学校 自販機置き場周辺
 【SE 自販機から飲み物が落ちる音】

いつき 「やっぱ、りんごジュースは
   紙パックに限るよなぁ」

    樹  ストローを刺し
       半分以上一気飲み。

樹 「んあ、そう言えば
   今日瑞穂みずほ
   呼ばれてたんだっけ。
   教室戻らなきゃ」

    樹  りんごジュースを
       飲み干し、
       ゴミ箱へ。

    樹  自販機置き場から
       立ち去る。

紀芽かなめ「そろ~り。
   よし、誰もいないね、にしし」

    紀芽 どこからとも無く
       顔を出す。

    紀芽 ゴミ箱を漁り始める。

紀芽「ゴミ箱さんちょっとごめんなさいね
   ちょっと失礼しますよ~よっと
   ん~どこだ?
   これじゃない。これも違う。
   ああ、もうばっちぃな
   こんな汚い物
   ここに置くんじゃないよ
   まったくもう」

     ○学校 教室
    【SE ドアの開く音】

樹 「瑞穂来たけど
   って、俺の席で何やってんだ?」

瑞穂「樹!?
   い、いや別に何も? 
   大丈夫、ヤラシイこと
   何もしてないから」

樹 「いやいや
   机でするヤラシイことって
   なんだよ、むしろ」

瑞穂「そ、そんなの
   乙女の口から言わせないでよ
   恥ずかしいじゃん!
   この変態、セクハラ!
   むっつりスケベ!」

樹 「呼び出されたから
   放課後まで残ってたのに
   罵られたんですけどヤダー。
   何この人怖い」

    樹  オネエっぽく

瑞穂「キモい」

樹 「おっと、俺の心は豆腐だぞ?」

瑞穂「やわいね」

樹 「それも自慢じゃないが、絹だ」

瑞穂「うん、やわいね!」

樹 「んで、わざわざ漫才するために
   呼んだわけじゃないだろ?」

瑞穂「あ、いや、えっと」

樹 「え、いや、マジかよ」

瑞穂「っ!! う、うん」

樹 「漫才のために呼び出したのkーー」

瑞穂「んなわけあるか、バカー!」

樹 「ガハッ」

    瑞穂 全力の右ストレート。

樹 「暴力は・・・
   いけない・・・・・・ガクッ」

瑞穂「花も恥じらう
   乙女の仕草を目の前にして
   よく何も無いと思えたな
   このスットコドッコイ!」

樹 「男の俺に女心なんて分かるか!」

瑞穂「分かれよ、この唐変木」

樹 「瑞穂さん
   今日ボキャブラリー凄くない?
   物理的にも精神的にも
   痛いんだけど」

瑞穂「それは樹がニブチンだからだ」

樹 「いや、敏感だぞ。
   どれくらい敏感かというと
   歩く亀やらキノコやらに
   接触しただけで死ぬ」

瑞穂「帰れ、配管工風情が」

樹 「配管工おじさんは偉大なんだぞ!
   学ぶことなく幾度と
   拐われるお姫様を
   飽きることなく助け続けてるんだ!
   赤い配管工は偉大なんだ!」

瑞穂「配管工の仕事して」

樹 「それはそう。
   姫と配管工じゃ結ばれないのにな」

瑞穂「なんか私たちみたいだね!」

樹 「いや、さすがに
   瑞穂が姫は無理ーー」

    瑞穂 極限全力の右ストレート。

    【SE 骨が折れる音】

    【SE 『KO』コール】

瑞穂「いくらガサツな私でも
   お、乙女したい時くらい
   あ、あるんだからな! ふん!」

樹 「ツンデレになってねえし、
   火力高いんよ。
   てか『乙女したい時』
   ってどういう日本語だよ。
   そんなことより救急車を。
   骨折れたよ、これ、救急車を頼む」

    樹  今にも死にそうな声。

瑞穂「私ね、思ったんだ」

樹 「俺の話聞いて」

瑞穂「このままじゃダメだって」

樹 「トドメ指す気!?」

瑞穂「小さい頃から
   たくさん樹のこと見てきたの。
   だからね、何が樹にとって
   効果的なのか
   ちゃんと分かってるつもり」

樹 「弱点バレバレだ」

瑞穂「だから受け取って欲しいの」

樹 「いやだ、まだ死にたくない
   俺まだ死にたくないよー!」

瑞穂「はい、これ」

樹 「なに、これ」

瑞穂「チョコ」

樹 「ちょこ?」

瑞穂「そう、チョコ」

樹 「Oh this is chocolate?」

瑞穂「Yes」

樹 「This is Valentine?」

瑞穂「Yeah」

樹 「Oh this is Valentine chocolate!!」

瑞穂「YEAH!!」

樹 「Ah・・・did you make this?」

瑞穂「I did it!!」

樹 「you?」

瑞穂「YES!!」

樹 「やだ、まだ死にたくない
   俺まだ死にたくないよー!」

瑞穂「ちょっと、どういう意味!?」

樹 「俺忘れてねえから、忘れねえから
   瑞穂が作ったチャーハン!
   台所洗剤の味がしたこと!
   そのあと3日間
   お腹壊して寝込んだこと!
   そのせいで
   運動会出れなかったこと!
   俺絶対忘れねえからな!!」

瑞穂「あれはそう若気の至りだから!
   今回は大丈夫だから!
   変なもの
   そんなに入ってないから!」

男 「そんなにって何だよ
   そんなにって」

    【SE ドアの開く音】

めぐ「その告白ちょっと
   待ったぁぁああ!」

    間

    【SE ドアの閉まる音】

    【SE ドアの開く音】

めぐ「その告白ちょっと
   待ったぁぁああ!」

2人「やり直すな!?」

めぐ「ノーリアクションだったから
   聞こえてないのかと思いまして」

樹 「いや、分からなすぎて
   コメントできなかっただけだよ」

めぐ「これはこれは
   私としてことが早計でした」

    めぐ チョコに気づく。

めぐ「あぁ、
   間に合いませんでしたか
   そうですか。
   それじゃあ私はこのへんで
   お暇しますね」

    【SE ドアの開閉音】

    【SE ドアの開く音】

めぐ「と言うとでも思ったか、バカめ!
   ぬわーはっはっはっ」

2人「ドアで遊ぶな!!」

めぐ「すみませんでした」

    めぐ 泣きっ声ぽく

瑞穂「あんた誰? 樹に何の用?」

めぐ「ああ、そうでした。
   樹先輩に渡すものが
   あったんでした『彼女』として」

瑞穂「か、彼女!?」

樹 「知らない知らない」

瑞穂「知らない間に
   彼女が出来てましたってか、はん」

樹 「こんな子知らない」

めぐ「え、樹先輩・・・
   私に胸を押し付けさせ
   太ももを力強く握り締めたアレは
   遊びだったって言うんですか」

瑞穂「樹っ!」

樹 「知らない記憶ですね。ていうか、
   押し付けられるほどの
   モノなiーー」

    樹  2人から殴られる

2人「最低」

樹 「あ、思い出した」

    樹  殴られたまま話す

樹 「4月の終わり、
   怪我してた女の子を
   保健室まで運んだことがあったわ」

めぐ「はい、それです!
   私、1年B組の星川めぐみです!
   助けて頂いたあの時から私その」

    瑞穂 めぐの手提げを奪う。

瑞穂「はん、何これ市販のチョコじゃん」

めぐ「返してください」

樹 「俺もう帰してください」

瑞穂「こんなチョコじゃ
   樹は喜ばないな!」

めぐ「壊滅的な
   手作りチョコよりマシです」

瑞穂「ぐっ」

樹 「おっと、会心の一撃だ。
   これはきつい」

めぐ「彼の周辺のことなら
   リサーチ済です。
   家族構成はもちろんのこと
   友人関係、ご近所付き合い、
   食の好みと
   身長年齢体重スリーサイズに
   至るまで完璧です
   もちろん、あなたの事もですよ
   川嶋瑞穂かわしま みずほさん」

樹 「あらやだ怖い」

瑞穂「料理が出来るからってなに?
   知ってるからってなに?
   高々1年足らずのぽっと出が
   樹への愛でこの私に勝てると
   本気で思ってるわけ?」

めぐ「17年も一緒に居て
   なんの進展もない人が
   随分と強気ですね!」

樹 「まあまあ、2人とも落ち着いて」

2人「樹(先輩)は黙ってて」

樹 「あ、はい」

紀芽「もう埒が明かないわね
   あなたたち」

樹 「紀芽かなめ先輩」

紀芽「どうも、柏崎紀芽かしわざき かなめちゃんデース。
   3年生だよ~!
   2人も『紀芽ちゃん』
   って気楽に呼んでね!」

樹 「ギャルっぽいの来たーー」

めぐ「出ましたね、厄介虫!」

紀芽「あれ、私って有名人? 
   困ったなぁ、ハハ
   あ、でもサイン考えてないから
   また今度でいいかな?」

樹 「求めてないんだよなぁ」

紀芽「あれれー、おかs」

樹 「言わせねえよ」

紀芽「やん、樹くん当たり強~い」

瑞穂「誰?」

紀芽「紀芽だよ」

瑞穂「あ、うん、苦手なタイプだ」

紀芽「ひどーい、ぴえんぴえーん」

めぐ「相変わらず情緒不安定ですね」

紀芽「あら、初対面のはずだけど?」

めぐ「さあ?
   どこかでお会いしているかも
   知れませんよー?」

樹 「すぐ険悪なムードになるね!!」

紀芽「まあ、それはおいといて。
   頭から観させてもらったわよ」

瑞穂「頭からって一体どこから?」

紀芽「ドアの影から」

瑞穂「場所じゃなくて
   タイミングを聞いたんだけど」

紀芽「ああ、あなたが『樹くん♡』の机を
   ぺろぺろハスハスぺろぺろハスハス
   ってしてるところからよ」

瑞穂「なっ」

樹 「え」

紀芽「冗談よ」

樹 「なんだ、冗談か」

紀芽「本当はもっとひどい」

樹 「え」

紀芽「冗談よ」

樹 「なんだ、冗談か」

紀芽「相変わらず
   後輩ちゃんは可愛いな」

樹 「どこが!?」

瑞穂「離れろ下さい」

めぐ「川嶋先輩日本語変です」

瑞穂「そ、そんなことより何の用! 
   あんたもまさか」

紀芽「ご明察。
   樹くんの初めてを貰いに来た」

めぐ「は、初めてって、そんな
   フレンチです」

樹 「ここでフランス人の登場だ」

紀芽「多分、ハレンチよ」

樹 「こりゃ失敬」

瑞穂「見なよ、樹。後輩ちゃん顔真っ赤」

樹 「ありゃあ
   メンタルクランチしちゃったか」

紀芽「文字通り、さよならバイバイね」

瑞穂「もっとタフに生きなくちゃな」

樹 「タイプはワイルドってことで」

瑞穂「hello,it my dream」

紀芽「夢ならば
   どれほど良かったでしょう」

樹 「そろそろやめて差し上げろ?」

紀芽「夢に見ちゃうから?」

瑞穂「大丈夫。別れはいつか来る」

めぐ「育てて歩かないでください!!」

紀芽「私、樹くんがいればどんな悲しみも
   苦しいも『それで良かったね』って
   笑えるわ」

樹 「モロパクリじゃないですかやだー」

瑞穂「でも、何がハレンチだったんだ?」

樹 「あーそれは」

紀芽「セッーー」

樹 「ファイナルフュージョン!!」

紀芽「1番を0番にドッキング!!」

樹 「その手を辞めろぉぉぉ!!」

瑞穂「ああ、なるほど!
   『初めて』ってそういう」

樹 「瑞穂もその手を辞めろぉぉお!!」

紀芽「6番と9番でドッキング!!」

瑞穂「完成!! シックスナーー」

樹 「言わせねえよ!!」

めぐ「不潔だァァァ!!!」

樹 「無実だァァァ!!!」

紀芽「うるさい」

2人「はい」

瑞穂「でも、残念だったな
   紀芽・・・さん」

紀芽「呼び捨てでいいわ」

瑞穂「でも、残念だったな、紀芽!」

紀芽「何が!?」

樹 「律儀にテンション合わせるんだ」

瑞穂「樹のファーストチョコは
   この私が小5の頃に貰ってる!」

めぐ「小学生の頃の話を持ち出すなんて
   器が小さいですね」

瑞穂「あんたに言われたくないね」

めぐ「どこ見てるんですか
   八つ裂きにしますよ!?
   別にでかけりゃ良いってもんでも
   ないでしょう!!」

紀芽「そこんとこどうなの?」

樹 「正直どうでもいい」

紀芽「揉めれば?」

2人「最低」

樹 「言ってない言ってない」

紀芽「違うの?」

樹 「・・・・・・」

めぐ「大きい方が好きなんですか」

樹 「しゃらくせぇー!!!
   大きさなんてどうでもいいんじゃ
   そう、男たるもの求めるものは
   『味』だぁぁあ!!!!」

3人「うわぁ」

樹 「もういっそ殺して」

紀芽「それはそれで。話戻すけど」

樹 「おっと?」

紀芽「私たち3人で争奪戦をしましょう」

瑞穂「争奪戦?」

紀芽「そう。樹くんを賭けた愛の勝負よ」

樹 「な、なんだって」

めぐ「先輩うるさいです」

樹 「はい」

紀芽「それぞれ樹くんに対する
   愛情を語り、表現し、愛の強さで
   雌雄を決するの」

めぐ「勝つとどうなるんです?」

紀芽「知らないのか?
   チョコを食べさせることが出来る」

樹 「全部食べるけど」

    樹  女性陣に睨まれる。

樹 「はい、すみません。
   出しゃばりました」

めぐ「ふっふっ良いですよ
   その勝負乗りましょう」

瑞穂「わ、私も乗る!!」

紀芽「っとその前に」

    紀芽 谷間から板チョコを出す。

全員「うわぁ・・・」

紀芽「これが私のチョコよ」

瑞穂「どこから出してんの」

めぐ「札束とか挟む人いますよね」

樹 「凄い板チョコだ。とても溶けてる」

瑞穂「そりゃ谷間から出てきたらな」

めぐ「溶けますよね」

樹 「それにひとかじりされてますけど」

紀芽「気にしないで」

樹 「気になるね、
   とても気になっちゃうね!」

瑞穂「樹! そんなの食べちゃダメ!」

紀芽「そんなのって何よ
   私の温もり付きチョコよ!!」

めぐ「セクハラだ、セクハラ上司だ」

樹 「あ、確かにあれ、先輩の胸の」

紀芽「きゃぁあ、言うな!」

    樹  突き飛ばされる。

2人「ならやるな!?」

樹 「もうしっちゃかめっちゃかだ」

紀芽「ほんと」

樹 「誰のせいですか」

紀芽「てへ」

瑞穂「可愛くないぞー」

めぐ「そーだそーだ」

紀芽「さて、気を取り直して行くわよ」

めぐ「メンタル強すぎませんか?」

瑞穂「誰かさんとは大違いね」

樹 「豆腐の話か?」

瑞穂「フランスの話よ」

    めぐ 椅子を持ち出す。

樹 「おっと誰か来たようだ」

瑞穂「辞めなさい」

めぐ「っ!?」

瑞穂「死ぬよ」

めぐ「ちっ」

瑞穂「私が」

全員「お前がかい」

瑞穂「仲良いんだね」

樹 「拗ねるのかーい」

瑞穂「私もハモリたかった」

樹 「そこかぁ」

紀芽「はいはい。
   それじゃあ、切り替えていくわよ」

樹 「部活みたーい」

めぐ「はい部長!」

紀芽「何かね、めぐりくん」

めぐ「誰が警部ですって?
   私はめぐみです」

瑞穂「順番はどうすんの?」

紀芽「シンプルに
   瑞穂ちゃん、めぐりちゃん
   紀芽ちゃんの順番で
   いいと思うよ?」

めぐ「巡らないでください」

紀芽「ごめんごめん、めぐむちゃん」

めぐ「わざとですよね?!」

紀芽「テヘッ」

めぐ「『テヘッ』じゃありません!」

紀芽「ヘケッ」

樹 「違うそうじゃない」

瑞穂「思わず突っ込んでんの」

紀芽「やん」

めぐ「セクハラです」

樹 「なんでだよ」

瑞穂「セクハラだー」

樹 「話進まないなぁ、帰っていい?」

瑞穂「いくわ、私のターンドロー!」

樹 「黙って帰ればよかった」

瑞穂「10年以上寄り添った
   私の愛を舐めるなよ、雑種!!
   コイツが私の愛の形だ!!」

    瑞穂 スマホケースから
       写真を取り出す。

3人「こ、これは!?」

樹 「なに」

紀芽「ブレブレじゃないの」

めぐ「何を撮ろうとしかのかさえ
   サッパリです」

瑞穂「ふふ、これはな
   『ゴムプールで
   水浴びをしている
   樹の写真』だ!」

3人「な、なんだ(です)って」

樹 「いやマジでなんだって!?」

瑞穂「これ私の初めて」

樹 「なんでスマホにまで入ってんだよ」

紀芽「幼なじみの特権である
   幼い頃からの成長記録が今ここに
   くっなんという破壊力なの
   震えて上手く
   撮れていないことすらも
   愛がなせる技だと言うの!?」

樹 「凄い、俺には何も見えないけど
   各々がダメージを受けている
   怖い」

めぐ「ぐっなんていう奥ゆかしさです。
   でも、私も負けてられません!!
   私のターン! ドロー!!
   私は手札から
   樹先輩の家計簿を発動!!」

瑞穂「なんだって!?」

紀芽「どういうものなの!?」

樹 「どういうことなの!?」

めぐ「この手帳は、学校内・帰り道等、
   樹先輩が買い物したものと日時、
   値段を記したものなのです!」

瑞穂「私すら出来ずにいた
   ストーキング行為を
   この子はこの幼さにして
   やってのけたというの」

紀芽「恐ろしい子」

樹 「ほんとにな!」

めぐ「降参ですか? 
   まあ、無理もないですよね」

紀芽「いいえ、まだよ」

めぐ「どんなに足掻こうと
   この私の手帳に勝てるものなど
   ありはしませんけどね」

紀芽「ふふ、それはどうかしらね」

瑞穂「何する気」

紀芽「デッキが0になるまで
   何が起こるかわからないから
   ゲームは面白いのよ
   私のターン!」

樹 「いいこと言ってる感出してるけど
   パクリだから」

紀芽「ドロー!!」

瑞穂「なんで毎回胸からなの」

紀芽「あなたたち、
   これが何か分かるかしら」

瑞穂「なにってただのストローでしょ?」

めぐ「ま、まさか」

瑞穂「めぐみん、分かるの」

めぐ「誰が爆煙魔法の使い手ですか
   吹き飛ばしますよ?」

紀芽「もういいかしら」

めぐ「はい
   大体察しがついていますけどね」

瑞穂「分からないの私だけ」

樹 「お、おい、それってまさか」

紀芽「ええ、そのまさかよ」

めぐ「そんな、バカな。
   有り得ません、そんな」

樹 「そんな、バカな。いや、バカか」

紀芽「このストローはね」

めぐ「そんな、そんなことって」

紀芽「樹くんの使用済みストローよ!」

瑞穂&めぐみ
  「ぐわぁぁぁぁぁあああ」

    【SE ライフが0になる音】

瑞穂「使用済みシリーズだと」

めぐ「この私ですら
   躊躇った使用済みシリーズを」

瑞穂「この女は」

めぐ「この人は」

瑞穂&めぐみ
  「平然とやってのけたというの!」

紀芽「当然よ。このくらい愛の前では
   なんの問題にもならないわ」

樹 「社会的問題になるんだわ」

めぐ「くっ私はまだ
   倫理の壁の中だと言うことですか」

樹 「お前はもう外だよ」

瑞穂「こんなことなら
   パンツの1つや2つ
   盗んでおくんだった」

樹 「幼なじみ怖いぴえん」

紀芽「私の勝ちね、
   さあ、樹くん私にチョコを」

樹 「い、嫌だ。来るな、来るなぁ」

瑞穂「樹、往生際が悪い」

めぐ「そうです
   女の子に恥を
   かかせるものじゃありませんよ」

樹 「離せ、瑞穂、めぐみちゃん。
   なんでさっきまでバトってた
   お前らが一致団結してんだよ」

めぐ「先輩知らないんですか」

瑞穂「昨日の敵は今日の友ってね」

樹 「まだワンデイすら経ってない」

紀芽「め・し・あ・が・れ」

樹 「ぎゃぁぁぁぁあ!!!!」

樹 「(M)父さん母さん
   先立つ不孝をお許しください。
   口の中に押し込まれた
   ヌチョヌチョのチョコレート。
   鼻に抜けるカカオの香りは、
   少しだけアンモニアの臭いを
   帯びていた。
   舌の上で転がる酸っぱい感覚は
   恋なのだろうか。
   遠のく意識の中で
   微かに感じた青春の味は
   とても苦かったような気がした」


                       
              FIN
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