1 / 1
ごめんなさい
しおりを挟む
灰色の世界でたったひとり、きらきら輝いている男の子。私には彼が眩しくて、気がつくと彼ばかりを目で追っていた。
彼は誰にだって優しくて、いつも中心で煌めいている。その周りにはいつも沢山の人がいて、私には、入る余地もない。
初めからわかっていたことだ。これは叶わぬ恋なのだ。私がどれだけ足掻こうと、彼の目には映らない。彼に好意を抱くことさえ、愚かで、罪深いことなのだ。
彼の周りにあるのは、どれもが光彩陸離な真紅のバラたちで、それがより一層彼をひきたてている。
彼の目には、野に咲く小さなアスチルベはどう映っているのだろうか。バラに輝きを奪われた、哀れな雑草にしか、見えていないのだろうか。それとも、この白い花を、珍しいと一瞥くらいはしてくれるだろうか。
道端で、ひとり寂しく咲いている異端な花は、どう見繕っても不釣り合いで、背伸びをすればするほど、その差はぐん、と広がっていく。
涙を流すことすらも、私には許されていないというのに、どうしてこの愚かな体液は、私の醜い瞳から溢れて止まらないのだろう。
私は彼に謝ることしかできないのだ。好意を持ってしまってごめんなさい。好きになってごめんなさい。この好意を消すことができなくて、ごめんなさい。
ああ、神様。どうか来世では私を、美しいバラの花にしてください。そしてできることなら、こんな大罪を犯した私を、どうか誰かが裁いてくれますように。
彼は誰にだって優しくて、いつも中心で煌めいている。その周りにはいつも沢山の人がいて、私には、入る余地もない。
初めからわかっていたことだ。これは叶わぬ恋なのだ。私がどれだけ足掻こうと、彼の目には映らない。彼に好意を抱くことさえ、愚かで、罪深いことなのだ。
彼の周りにあるのは、どれもが光彩陸離な真紅のバラたちで、それがより一層彼をひきたてている。
彼の目には、野に咲く小さなアスチルベはどう映っているのだろうか。バラに輝きを奪われた、哀れな雑草にしか、見えていないのだろうか。それとも、この白い花を、珍しいと一瞥くらいはしてくれるだろうか。
道端で、ひとり寂しく咲いている異端な花は、どう見繕っても不釣り合いで、背伸びをすればするほど、その差はぐん、と広がっていく。
涙を流すことすらも、私には許されていないというのに、どうしてこの愚かな体液は、私の醜い瞳から溢れて止まらないのだろう。
私は彼に謝ることしかできないのだ。好意を持ってしまってごめんなさい。好きになってごめんなさい。この好意を消すことができなくて、ごめんなさい。
ああ、神様。どうか来世では私を、美しいバラの花にしてください。そしてできることなら、こんな大罪を犯した私を、どうか誰かが裁いてくれますように。
0
お気に入りに追加
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
妊娠したのね・・・子供を身篭った私だけど複雑な気持ちに包まれる理由は愛する夫に女の影が見えるから
白崎アイド
大衆娯楽
急に吐き気に包まれた私。
まさかと思い、薬局で妊娠検査薬を買ってきて、自宅のトイレで検査したところ、妊娠していることがわかった。
でも、どこか心から喜べない私・・・ああ、どうしましょう。
夫の幼馴染が毎晩のように遊びにくる
ヘロディア
恋愛
数年前、主人公は結婚した。夫とは大学時代から知り合いで、五年ほど付き合った後に結婚を決めた。
正直結構ラブラブな方だと思っている。喧嘩の一つや二つはあるけれど、仲直りも早いし、お互いの嫌なところも受け入れられるくらいには愛しているつもりだ。
そう、あの女が私の前に立ちはだかるまでは…
俺達は愛し合ってるんだよ!再婚夫が娘とベッドで抱き合っていたので離婚してやると・・・
白崎アイド
大衆娯楽
20歳の娘を連れて、10歳年下の男性と再婚した。
その娘が、再婚相手とベッドの上で抱き合っている姿を目撃。
そこで、娘に再婚相手を託し、私は離婚してやることにした。
“5分”で読めるお仕置きストーリー
ロアケーキ
大衆娯楽
休憩時間に、家事の合間に、そんな“スキマ時間”で読めるお話をイメージしました🌟
基本的に、それぞれが“1話完結”です。
甘いものから厳し目のものまで投稿する予定なので、時間潰しによろしければ🎂
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる