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2人の王子

2人の王子・出会い

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ラファエル王子の部屋は本棚がたくさんあり、アルフレドの物はどれも最高級の家具ばかりりだが余計なものがない、割とスッキリしていた部屋とはまた違う雰囲気になっていた。


そして、そのラファエル王子の部屋には。


「あら、クロエじゃありませんの?久しぶりね」

「エリザベス!会いたかった!」


部屋の中でメイドに来訪者の名前を聞くなり慌てて自ら扉まで来て出迎えてくれたエリザベスは本日も大変美しく、深い紫の大人っぽいドレスをそれは気品溢れる姿で見事に着こなしていた。

そのエリザベスへと、クローディアが久々に会えた喜びで飛びつく。

エリザベスからは洗練された薔薇の良い香りがして、そばにいるだけで何やら心地いい気分になってしまう。


「もう、突然なんですの!?来るなら先に教えてくれれば、ちゃんとお茶の用意をさせましたのに・・・・・あら?」


ゴロゴロとエリザベスにくっついて離れないクローディアに対し顔を赤くしながらそっぽを向いたエリザベスの目には、その少し離れた場所で控えつつこちらに頭を下げている騎士院団長のジークフリート=ウルンリヒと、直接は会ったことのないーーーーーーー。


「あなたはもしや、グランハット国の第一王子、ランディ・ラル・シ・アンブリッジ様ではありませんの?」

「!?!?」


エリザベスとランディ王子の目がしっかりと合い、ランディ王子の顔がリンゴのように真っ赤に染まる。

その姿に、クローディアは心の中でガッツポーズをとった。


エリザベスはこの国一番の美人と名高いその美貌とともに、次期王妃として日々教育された淑女としてその気品溢れる姿は彼の心を一気に貫いたに違いない。

自分がどこにでもいそうな顔のモブだとは重々分かっているものの、ランディ王子のあのポカーーンとした顔が見れて少しスッキリしてることは内緒だ。


「初めまして、わたくしはエリザベート・サラ・デ・グラッツィアと申します。お目にかかれて光栄でございます」


エリザベスはニッコリ笑ってクローディアから自分の体を静かに離すと、ランディ王子に向かってドレスの裾をつまんで膝を降り優雅に頭を下げる。

さすがはエリザベス!

庶民の私には、あんな貴族の挨拶はすぐにでてきません。


「ふ、フン!ぼくのことを知っているとは、少しは話のわかる女のようだな!」

「今ちょうどラファエル様との勉強が一区切りついて、休憩していたところなんですのよ。追加のお茶を皆さんの分も入れますから、どうぞ中へお入りになって」


ランディ王子にニッコリ笑うと、エリザベスは扉を大きく開けて私たちを中へと通した。






数多くの本が収納された本棚を抜けた先の窓際にある1つのテーブルには、暖かな日差しを浴びながらその金髪を光り輝かせる、空から舞い降りた天使が穏やかな寝息を立てていた。

なんで彼の背中には白い翼が生えていないのかが、不思議なくらいの美しさと尊さ。


「あら。ちょっと、誰かここに毛布を急いで持ってきてちょうだい!」

「はい、すでに用意してございます」

「ありがとう。助かるわ」


用意していたのならなぜそのメイドが毛布をすぐ王子にかけなかったのかと思ったが、メイドからその美しい白い手で受け取ったエリザベスが、ラファエル王子の背中へと毛布をそっとかける姿を見て納得した。

天使のラファエル王子に、女神のような美しさのエリザベスが微笑みながら寄り添う。


「エリザベート様!なんてお美しい!」

「素晴らしい光景ですわ!!」


そんな2人を感動の涙で見守るメイドさん達の姿に、この瞬間の為にわざわざ毛布をかけずに待っていたのかというのが分かるほどそれは神々しい光景だった。


「な、なんだこいつは!こんな人前でいねむりなど、王族にあるまじきすがただ!!」


その神光景に耐えきれなくなったのは、恐らくエリザベスに一目惚れしたであろう、ランディ王子。

嫉妬心を顔中に出しながら、顔を悔しさと怒りに歪ませる。


「お許しくださいませ、ランディ様。ラファエル様はほぼ毎日寝る間も惜しんで勉学に励んでいるのですわ」


ランディ王子の言葉の意味も十分理解しているのだろう。

苦笑を浮かべながら、エリザベスは隣のテーブルへと皆を案内した。

エリザベスの命を受け、メイドさん達はすぐに私達のお茶や菓子の準備へと入る。


「ーーーーーーん」


その間に、私達にその美しい寝顔を見ることを許していた天使がゆっくりと目覚めた。


「あ、あれ?ぼく・・・・ご、ごめんなさい!!エリザベート様!」


 ラファエル王子は少女漫画のヒロインのように、恥ずかしさで真っ赤になったままエリザベスへと何度も頭を下げる。

なんだあの可愛さは!


「大丈夫ですよ、ラファエル様。寝ていたといってもほんの一瞬ですわ。もう少し休んでいてもよろしかったのに」

「い、いえ!だって、あなたとの貴重な時間なのに・・・・あ、あれ?お客様ですか?」


美少女、じゃなかった美少年がすぐさま私達の存在に気付く。


「あなたに断りもなく勝手をして申し訳ありません、ラファエル様。少しだけお勉強を中断してもよろしいかしら?先日この国にお越しになった、隣国のランディ王子がお越しくださいましたの」

「ら、ランディ王子!?は、はい!大丈夫です!ご挨拶が遅れてすみません!ぼくはアレキサンダー王の息子であり、次期国王であるアルフレド王子の弟のラファエル・ルカ・ド・オーギュストと申します!」


慌てつつも、不遜な態度で椅子に座るランディ王子に対してラファエル王子は貴族の礼を礼儀正しい姿で行った。

その姿は、まさに絵本に出てくる王子様そのもの。


「フン!ぼくはグランハット国の、次の王であるランディだ!」


それに対しランディは椅子に座って足を組み、腕を組みながら不機嫌そうな顔でそっぽを向く。


「ランディ王子!こうして直接お会い出来て、誠に光栄です!グランハット国と我がアルカンダル王国は友好条約を結んでから50年以上も平和が続いている、我が国にとっては最も親しくさせていただいている大切な国です。その国の王子とこうして公式の場以外でお会いできる事、恐悦至極に存じます!」

「ふ、ふん!この女にむりやりつれて来られただけだ!」

「それでも嬉しいです!ぜひ、グランハット国のことを色々聞かせてください!」

「!?」


その勢いにたじたじのランディ王子を気にすることもなく、キラキラした瞳でラファエル王子はそのままグランハット国のことで質問攻めだ。

ランディ王子は質問攻めが止まらないラファエル王子から逃げるために席を立って本棚のある方へと逃げ、ラファエル王子もその後を笑顔で追いかける。


「フフ・・・・ああなったラファエル様は、しばらく止まりませんわよ?」

「ラファエル王子って、あんな一面もあったんだね」

「そうですわ。新しい知識に関してはこちらが驚いてしまうほど貪欲ですから、ランディ様もしばらくは離してもらえませんわね」


メイドからのお茶が新しく入り、クローディアはゆっくりそのカップを口につける。

ジークフリート様は王子達やエリザベスと同席するのは不敬に当たるからと、近くで警護の為にと控えていた。

それならば王族を脅した庶民の私は同席よりも重い不敬罪で捕まりそうだが、なんだかんだこちらからは楽しそうに見える同世代の2人の姿に、ここへ連れてきたことは間違ってなかったなと改めて思う。


「エリザベス、元気そうでよかった」

「あら、それはわたくしのセリフですわ!あなたはいつも何も言わずに旅に出てしまうんですもの」

「ご、ごめんなさい!」


ムッとしたエリザベスが、すねた猫のようでなんとも可愛らしい。

しかも私の中では、高級で高貴なペルシャ猫のイメージ。


「次に何かで国を出る際は、わたくしにも一言声をかけてちょうだいね。全く、なんにも知らないまま心配だけをするこちらの身にもなってもらいたいわ!」

「・・・・・は、はい」


思わず体を小さくさせてうつむいてしまうが、ちらっと同じことをクローディアに話していたジークフリート様の方に目を向ければ、その通りだ!とでも言うようにじっと強い視線で見つめられて言葉を詰まらせてしまう。  


「そ、そういえば、ラファエル王子の勉強は、毎日エリザベスが見てるの?」


気まずい空気を変えたくて、思わず自分から質問をした。

前よりも2人が仲良くなったような感じがするのと、毛布をその背にかける際にエリザベスの瞳がすごく優しい光を放っていたのを思い出す。


「違うわ。ラファエル様には色んな専門家が教師役となって日々勉強づめで、しかもその知識をアルフレドに分かりやすく伝える為に、寝る間も惜しんでご自分の中で整理して。わたくしが彼にしてあげられることなど、少しでも心の休まる時間をさしあげることぐらいだわ」


「・・・・・エリザベス」


ラファエル王子の母親、アビゲイル第二夫人が国を追放されたことでラファエル王子は次期王位継承の権利を永久に剥奪され、今はアルフレドが次期国王となった際に彼を支える存在になれるよう、必死に知識を詰め込み勉学に励んでいると聞いた。

母親の罪の償いとして、息子である自分が国の為に尽くすことで少しでも晴らそうとしているのかもしれない。


「まだまだ幼いというのに、ラファエル様のその覚悟ある心意気と知識の膨大さに、わたくしはいつも敬服してしまいますのよ?」

「・・・・・エリザベス」


嫌がって逃げているランディ王子を、ノートと本を抱えながら嬉しそうに笑顔で詰め寄るラファエル王子を、エリザベスは愛あふれる眼差しと笑顔で見つめている。

もしかしたら、幼い頃のエリザベス自身を彼に重ねて見ている部分もあるのかもしれない。

彼女は幼い頃から『聖女』として未来の『王妃』として、厳しい躾と勉強を強いられ、その潰されそうなほどの大きな期待と責任常にを少しも裏切ることなく、全ての壁を白鳥のように見た目はどこまでも優雅に乗り越えてきた真に心の強く美しい女性だ。


そんな女性が『敬服する』のが、年齢に関係なく母親に守られた厳しくも優しい小さな箱庭の世界から飛び出し、これからは自分の力で生きていく為により強く在ろうと必死でもがきあがいているラファエル王子だというのは、必然なのか偶然なのか。


ゲームの中でのエリザベスの立ち位置はローズの前に立ちはだかる強力なライバルであったが、他キャラとの恋愛という意味では婚約者のアルフレドとの関わりくらいしか見られなかった。

エンディングもローズとその相手のことしか語られない為、ルートによっては国外追放もしくは大貴族の権利と財力などの全てが剥奪、一般の庶民へと格下げとなり事実上没落エンド的な感じにまでなるエリザベスのその後はどんなルートでも語られはしない。

こうしてみると、以外とそれはそれで面白そうな気がしてしまうが妄想だけに留めておきます。



「おい!!いいかげんにぼくからはなれろ!!」

「待って!グランハットの国では国中に水路や水車があるけど、その水車の様式が我が国とは全然異なるんだ!ぜひその違いを・・・・・・うわっ!!」

「ちょっ!まっ、う、うわぁっ!!」

「!!??」

「ら、ラファエル様っ!!」





バッターーーーンッ!!!





興奮してランディ王子へ詰め寄るラファエル王子の足がもつれてバランスを崩し、いきなり体重をかけられて支えきれなかったランディ王子がそのまま一緒に床へと倒れこむ。

クローディアと話をしながらもラファエル王子の様子をそれとなく横目で気にしていたエリザベスはその場で立ち上がり、クローディアはその後の光景に思わず息を飲んだ。


「お、おい!重いぞ!!すぐにぼくの上からどけっ!!」

「ご、ごめんね!!痛かったでしょ?」

「・・・・・・ッ!?」


床に仰向けになったランディ王子の上に、天使が覆いかぶさっているのだ。


こ、これはまさかのラファエル王子攻め!!


いかん!!


腐敗した頭の中で2人のストーリーがすでに広がっている。


この場合、ツンデレの受けに品行方正で一途な攻めになるのか?

実はラファエル王子に腹黒い一面も出てきたりとか?

カプ名はラファランか?呼びづらいな。



「大丈夫ですか!!」


2人の元へ護衛係のジークフリート様がすぐに駆けつけ、倒れた2人の無事を確認してから立ち上がらせる。

その姿に、クローディアは腐の妄想にふけっていた自分をしかりつけ頭のゴミ箱へと泣く泣く丸めて捨てた。


ジークフリート様にお礼を言うラファエル王子に対し、ランディ王子は立ち上がる際に手を貸そうと出された手を「無用だ!!」と強く払い退ける。


「ぼくはグランハット国の次期国王だぞ!!ケガでもしたらどうするつもりだ!!」

「ご、ごめんなさい」

「・・・・・・・」

「あ、エリザベス!」


頭から噴火する話じゃないかというぐらいに怒りながらラファエル王子を責め続けるランディ王子の元に、エリザベスが静かに歩み寄っていく。


「申し訳ありません、ランディさま。おケガはございませんか?」

「!?」

「え、エリザート様!」


エリザベスは自分よりも背の低いランディ王子と目線が合うようその場にひざまずき、自分の懐から出した白のレースのハンカチでその顔の汗や埃を拭き取る。


「この城には、ラファエル様と同世代の方は男女ともにほとんどおられません。ですので、自分と似たご年齢であり高貴な生まれのランディ様と過ごす時間はなおさらラファエル様には心から嬉しく、つい高揚してしまったのですわ」

「・・・・・ふ、ふん!そうだな!ぼくのような高貴な人間は、そうそういないからな!」


近距離でのエリザベスとの関わりにランディ王子は顔を真っ赤にして、偉そうに胸を張りながらも顔はそっぽに向いていた。

その隣で、ラファエル王子は申し訳なさそうに下をうつむいてシュンとなっている。


「まったく!!お前も一応はぼくと同じ王子のくせに、人をつきとばすような品のない子どもをそだてた母親の顔がみてみたいね!第二夫人というからには、どうせ身分のひくい貴族か庶民のおんなのはらからでも生まれたんだろうっ!!」

「!?」

「ラファエル様!いけません!!」

「ラファエル様ッ!!」


ランディ王子の言葉にカッとなったラファエル王子は、エリザベスやジークフリート様が止めるのも聞かずにそのままランディ王子の頬を開いた手でたたく。


「ぼ、ぼくのことで、誰に何を言われても構わない。でも、母上のことを何も知らないやつが母上を悪く言うのだけは許さない!!」

「ラファエル様!!」


涙をにじませたラファエル王子は、そのまま部屋を飛び出してしまう。


彼を追いかけようとすると、『俺が行く』とジークフリート様がクローディアに一声かけてすぐさまラファエル様の後を追った。

部屋に残されたランディ王子は頬の痛みから涙をにじませ、顔をこれまで以上の怒りで溢れさせている。

同世代だけでなく、大人からもあんな風に直接暴力を振るわれたことはこれまで一度もなかったのだろう。


「ふ、ふざけるなっ!グランハット国の王子であるこのぼくをなぐるなど!くそっ!!父上に言いつけてやるっ!!!」

「・・・・・・・・」


エリザベスは部屋を出て行ったラファエル王子が気にかかるのか、少しだけ扉の向こうに視線を向けていたが、メイドが濡らしたタオルを持ってくるとお礼を言って受け取り、そのタオルをランディ王子の頬に添える。


「大変、申し訳ありませんでした。ランディ様」

「あいつは、母親に愛されてたんだな」

「はい。ラファエル様の母上は、彼のことを深く愛しておられました。だからこそ」

「・・・・・・ッ!!」


エリザベスの言葉にランディ王子は唇を強く噛み締めてうつむくと、話の途中にも関わらずそのまま部屋を飛び出していく。


「ランディ様!!」

「私が行く、エリザベスは部屋で待ってて!!」

「クロエっ!!」


ランディ王子とクローディアがいなくなると、ラファエル王子の部屋は一気に静寂が訪れた。




「エリザベス様、新しいお茶をお入れします」

「・・・・・ありがとう、でも今はやめておくわ。お茶は、皆が戻ってからにしましょう」

「かしこまりました」


メイドを奥に下げさせると、エリザベスはラファエルが落としたノートと本を拾いあげる。


「!?」


拾い上げた時たまたまノートから紙切れが一枚床に落ち、そこには一言だけ彼の字でもって書かれていた。

その周りには、いくつもの水滴が落ちて乾いた跡がある。


「母上、会いたい・・・・」



その紙をノートの中に戻すと、エリザベスはそのノートと本を胸に抱えてしっかりと抱きしめた。
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